見てるだけはもう終わり!~創造主は地上に降りる~

樹林

文字の大きさ
24 / 63
第一章

23

しおりを挟む
「桜純様、鷹司様、とてもお似合いです!」

「桜純さん、一緒に写真撮りませんか!」

「誰が撮らせるか!」

「うるせぇ、お前に言ってねえよ」

この会話は何度目?と思いながら、私達は寄り道をしたり文化祭を楽しみながら楽しく呼び込みをしたの。

「鷹司君、御剣さん。ベストカップルで今一位よ!」

知らない先輩から声をかけられて、私達はパネルがあるという場所へと急いだの。そんな話は聞いていないからびっくり!

「変な顔で写ってたらどうしよう」

「心配するのはそこか?それとも僕とベストカップルでいいとか?」

「それはまだ考え中!」

やっぱりなと苦笑する蒼を見ていると、このまま蒼に恋をして結婚してと夢を見たくなってくる。
でも、まだその決断には早すぎるからもう少しだけ待ってね。

パネルの前に着くと、私達とパネルを見比べて歓声をあげる人達でいっぱいで、前に進めなくなったわ。
蒼に引っ張られてやっと着いて、誰が撮ったのか問い詰めたい写真が飾ってあったの。

「誰がこんなの撮ったんだ」

「君達は嫌がるだろうから写真部に依頼したのよ」

「「生徒会長!」」

私達の前に出てきたのは、文武両道で名高い真行寺すみれ様、あやめ様のお姉様なの。

蒼が私の読んでいた本を覗き込んで、それに気付いた私が蒼を見上げるという写真は、どう見てもカップルで・・・。

「これ撤去してもいいですか?」

「却下する」

「知ってました!桜純、逃げるぞ。ここは危険地帯だ」

蒼が私の手を取って走り出し、後ろからはまた歓声が聞こえて来たものだから私の顔は真っ赤になっていたと思うわ。



だから・・・この生活が楽しすぎて、もう少し、もう少しと先延ばしにしていたから、私がこの生活を手放さなかったから罰が当たったのかもしれない。


「今、何か聞こえた?」

「これだけうるさかったら色んな音がするだろ」

「そうね」

「少し休憩するか?」

「そうしましょうか、お客様もかなり入ってるようだし大丈夫ね」

学園の関係者以外立ち入り禁止の中庭で、私達は休憩をとる事にしてベンチに腰かけた瞬間、私の体から光が出てきた。
黒銀が呼んでいると感じた私は、驚きで目を見開いている蒼に向き直った。

「蒼、ごめんね。私は行かないといけないみたい」

「どこへ行くんだ!」

「遠い、遠い所なの」

「俺も行く!桜純を1人にはしない!」

蒼が私の腕を掴んだ瞬間、私達は今の世界から向こうの世界へと飛んだの。

知られたくなかった事実を、私が決断できなかった理由を、蒼に伝えなければならない。

私の心は、嫌われたらどうしよう不安でいっぱいになっていたの。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

私は貴方を許さない

白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。 前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

十八歳で必ず死ぬ令嬢ですが、今日もまた目を覚ましました【完結】

藤原遊
恋愛
十八歳で、私はいつも死ぬ。 そしてなぜか、また目を覚ましてしまう。 記憶を抱えたまま、幼い頃に――。 どれほど愛されても、どれほど誰かを愛しても、 結末は変わらない。 何度生きても、十八歳のその日が、私の最後になる。 それでも私は今日も微笑む。 過去を知るのは、私だけ。 もう一度、大切な人たちと過ごすために。 もう一度、恋をするために。 「どうせ死ぬのなら、あなたにまた、恋をしたいの」 十一度目の人生。 これは、記憶を繰り返す令嬢が紡ぐ、優しくて、少しだけ残酷な物語。

悪役令嬢のビフォーアフター

すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。 腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ! とりあえずダイエットしなきゃ! そんな中、 あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・ そんな私に新たに出会いが!! 婚約者さん何気に嫉妬してない?

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

処理中です...