見てるだけはもう終わり!~創造主は地上に降りる~

樹林

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第一章

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百合は駆けつけたおばさんと警備の人が連れて行き、そのま入院したそう。
後日、おばさんが靴の弁償と口止め料を渡そうとしたけれど、身元引受け人として来てくれた恵比寿天が断ってくれたの。

「何でも金で解決できると思いますか?」

恵比寿天は静かだけど威圧感のある話し方で、おばさんは顔を真っ青にして俯いてしまったけど、心の中で「桜純が悪いのよ」と罵っているの。
反省しないなら仕方ないわよねと、恵比寿天と目配せをしあったわ。

「理事の解任請求を出させてもらうよ。忘れているようだが、うちもこの学園の創立には一枚噛んでてね。権利はあるんだ」

恵比寿天はそれだけ言って立ち上がり、私もそれに続く。後ろでおばさんが何か叫んでるけど、無視して理事長室を出た。

そこから話はトントン拍子に進み、百合は退学、おばさんは理事を解任され、新しい理事には恵比寿天が就任した。

そして、秋も深まった11月。
一時は開催を危ぶまれた文化祭は、恵比寿天の鶴の一声で開催される事となったの。
こういう催しは初めてだから気持ちを切り替えて楽しもうと思うわ。

「桜純様、こんな感じでいいかしら」

「メイド喫茶って本当にこんな格好をするの?」

「これでも大人しい方ですわよ」

私達のクラスは執事とメイドが接客する喫茶店で、女子は髪型以外はお揃いなんだけど、ミニスカートというよりミニミニスカートで、その下にはフリフリのアンダースコート。
私は料理ができるから裏方を希望した筈なのだけど・・・。

「桜純様のは鷹司様とお客様の呼び込みをお願いしますわ!」

「この格好でですか?」

「当たり前でしょう!一番呼び込める方に頑張って頂かないとですわ!」

私の背中を押して控え室を出るこの方は転校初日に話しかけてきた方で、名前を真行寺あやめ様。
彼女達はイジメをしていたのではなく、百合のイジメを止めようとしていた事が分かり、私がその誤解を解いたのが縁で今はとても仲良しなのよ。

「鷹司様、桜純様をお連れしましたわ!」

「待って、あやめ様!私の心の準備がまだです!」

なんて言ってももう遅く、私は蒼の前へと押されたのよ!蒼の執事服はとても似合っていて、思わず見惚れたわ。

「桜純、お前はそれで接客するのか?」

「女子は全員これなのよ。この後は蒼と呼び込みですって」

「ダメだ」

「鷹司様、文化祭は勝負ですのよ!1年生で友人という快挙を成し得る為に、お二人には客寄せパンダになっていただきますわ」

「そうそう、お前らはいるだけで目立つしな。ほれ、これ持って行ってこーい」

宮ノ森君にプラカードまで持たされて、私達は教室を追い出されたの。顔を見合わせて溜息をつく私達の周りには、既にお客様達でいっぱいでその中には恵比寿天、毘沙門天、布袋尊の姿も・・・。。

「やあ、二人共よく似合っているね」

「本当に。特に桜純さんは素晴らしいです」

「お爺様、何故こちらに?」

「友人を案内していてね。桜純ちゃんの学園生活を見てみたいと言うから」

楽しそうに笑う4人だけど、私達の後ろには大魔神が立っていたのよ・・・。

「理事長先生、2人は呼び込みに行くので邪魔をしないでくださいませ!」

「おや、真行寺さん。これは申し訳なかったね。じゃあ二人共頑張って。また後で来るよ」

もうこなくていいから!
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