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第一章
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百合は笑いながら口を開いた。
「桜純は私より不幸でなくちゃいけないのに、なんで幸せになってんの?あんたの報告書読んだ時、すっごい笑ったんだよね。あれから私は強くなれたんだよ。不幸な奴を作れば私は幸せになれるって分かって、権力使えばどんな奴だって私に頭を下げてさ。なのに一番不幸でなくちゃいけないあんたはいつも笑ってて・・・許せない、許せない、許せない!」
「他人の不幸を願う人は、幸せにはなれないのよ?」
「幸せだったわよ!あんたが幸せそうに笑ってるのを見るまでは!どこかに売られたと思ってたのになんでここにいるんだよ!」
靴を地面に叩きつけ、百合は私の方へと歩いてくる。
その手にナイフを持ったまま、ブツブツと何かを呟きながら。
『主さん、あれにはなんもついてへん。あれがあいつの本性や!俺がどないかしてもええか?主さんに仇なす奴は絶対に許さん!』
『待って。百合も辛かったのよ』
『アホか!神さんは優しいだけやったらあかんのと違うんか?罰する事もできんと神さんなんかすなや!』
白銀の言葉は私の胸を抉った。
自分が怖いから、自分が嫌だからは甘えでしかない事に気づいたの。
『そうね。強くならないといけないわね』
『せや、主さんの背負うもんはデカい分、強くならんとあかんのや』
私は百合に力を使う。
これまで百合がしてきた事を、眠る度にされる側として夢に見続けるように・・・。
その間も百合は近付いて来ようとしていたけど、その足は何度踏み出しても前には進めない。
その場で足踏みをしている状況にも気付かずに、百合は進もうとし続ける。その異様さに、その場にいた誰もが恐怖を覚えている。
百合の心の中はどす黒く、その全てが傷つけられた人達の心が裂かれて流れた血だと分かった時、初めて怒りが湧いたのよ。
私に出会っていてもいなくても、人を傷つける喜びを知る日は来る。殺人鬼となる百合の最初の犠牲者は・・・宮ノ森君。
私が御剣桜純としてここにいる事で、その未来は途絶えたけれど。
さぁ、眠りなさい。
彼、彼女達の傷が癒えるまで、あなたは苦しみ続けなくてはならない。揉み消したおじさんとおばさんも、うなされ続けるあなたを見続けるという罰を与えるわ。あなたの本性に気付き、何とかしようとしていた茉莉姉さんの事は任せて。
百合がゆっくりと倒れて行くのを、私は冷たい目で見ていたの。誰も倒れた百合に近寄らない、これが百合のしてきた事なのだと心の中で自分を戒めた。
もう二度と神としての生き方を間違えない為に。
「桜純は私より不幸でなくちゃいけないのに、なんで幸せになってんの?あんたの報告書読んだ時、すっごい笑ったんだよね。あれから私は強くなれたんだよ。不幸な奴を作れば私は幸せになれるって分かって、権力使えばどんな奴だって私に頭を下げてさ。なのに一番不幸でなくちゃいけないあんたはいつも笑ってて・・・許せない、許せない、許せない!」
「他人の不幸を願う人は、幸せにはなれないのよ?」
「幸せだったわよ!あんたが幸せそうに笑ってるのを見るまでは!どこかに売られたと思ってたのになんでここにいるんだよ!」
靴を地面に叩きつけ、百合は私の方へと歩いてくる。
その手にナイフを持ったまま、ブツブツと何かを呟きながら。
『主さん、あれにはなんもついてへん。あれがあいつの本性や!俺がどないかしてもええか?主さんに仇なす奴は絶対に許さん!』
『待って。百合も辛かったのよ』
『アホか!神さんは優しいだけやったらあかんのと違うんか?罰する事もできんと神さんなんかすなや!』
白銀の言葉は私の胸を抉った。
自分が怖いから、自分が嫌だからは甘えでしかない事に気づいたの。
『そうね。強くならないといけないわね』
『せや、主さんの背負うもんはデカい分、強くならんとあかんのや』
私は百合に力を使う。
これまで百合がしてきた事を、眠る度にされる側として夢に見続けるように・・・。
その間も百合は近付いて来ようとしていたけど、その足は何度踏み出しても前には進めない。
その場で足踏みをしている状況にも気付かずに、百合は進もうとし続ける。その異様さに、その場にいた誰もが恐怖を覚えている。
百合の心の中はどす黒く、その全てが傷つけられた人達の心が裂かれて流れた血だと分かった時、初めて怒りが湧いたのよ。
私に出会っていてもいなくても、人を傷つける喜びを知る日は来る。殺人鬼となる百合の最初の犠牲者は・・・宮ノ森君。
私が御剣桜純としてここにいる事で、その未来は途絶えたけれど。
さぁ、眠りなさい。
彼、彼女達の傷が癒えるまで、あなたは苦しみ続けなくてはならない。揉み消したおじさんとおばさんも、うなされ続けるあなたを見続けるという罰を与えるわ。あなたの本性に気付き、何とかしようとしていた茉莉姉さんの事は任せて。
百合がゆっくりと倒れて行くのを、私は冷たい目で見ていたの。誰も倒れた百合に近寄らない、これが百合のしてきた事なのだと心の中で自分を戒めた。
もう二度と神としての生き方を間違えない為に。
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