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序章
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お茶会が終わる時間になると、先程までの熱狂ぶりはどこへ行ったのか令嬢達はさっさと帰路についた。
令嬢は演技ができなくてはいけないし、オン・オフもはっきりしてるわよね。
もちろん、私も最後の挨拶だけしてその場を後にしたわ。
付き添いの父は、急な仕事ができたと憎々しげな顔で宰相の執務室へ行ってしまったから、私はそこにお邪魔する予定。
1人で勝手知ったる王宮を歩いていると、2人の令嬢が私を待っていたの。
「アリス!見てたわよー。王太子殿下にまとわりつかれてたわね!あれ、どうやって撃退したの?」
「大変そうだったよな。顔だけ王族が何を企んでこんな茶会を開いたんだか」
この2人は私の親友。
噂が大好きなプリシラ・オパール侯爵令嬢と、騎士になるには言葉遣いから男になるべきと斜め上の解釈をしたアンナ・アルマンディ伯爵令嬢、騎士団長の娘でもあるわ。
「王妃様が真実の愛には障害が必要よ、と言ってお二人を唆したのでしょうね」
私の笑みにニヤリと笑った2人も同意し、子供達の不敬な発言を止める事なく一緒に笑う親達を見ると、この国の王族がどれだけ馬鹿にされているかが分かるというもの。
「コーラルバイン公爵家からは王太后が出てるんだし、結婚できる筈がないな」
「そうよ、3代は結婚できない決まりがあるのに、何故私を招待したのだか。どうせ、婚約破棄しやすいとかでしょうけど腹が立つわね」
私の腹が立つ発言に、2人の両親達は顔を青くしたわ。
それはそうよね、コーラルバイン公爵家と言えば腹黒で有名だもの。感化されそうな位にね。
その時、噂をすれば何とやらでお父様が私の方へと走って来たわ。
侯爵と伯爵が挨拶をしようとするも無視して、私を抱き上げたの。
「アリスティア!大丈夫だったい?あの馬鹿共に毒されていないか?何かされたのなら、この国を滅ぼしてあげるから正直に言ってごらん」
「あら、お父様。私が毒されるような弱い人間だと仰るの?」
「そんな事はないが、あのマグノリア様の血を持ってしても馬鹿が治らなかった王族だからね。心配で仕方がないんだ」
マグノリア王太后は武に秀でた苛烈な性格の方で、近衛隊の副隊長まで務めた方なのだけど、王族を何とかしたい貴族達に頼み込まれて女好きな先代国王の元へ嫁いだのよ。
まあ、陛下はマグノリア様に育てられたおかげで歴代の王よりはマシだけど、大恋愛した相手が悪かったの。
王族の更に上を行くとされるお花畑一家の、リリア・ネフラー伯爵令嬢とね。
王妃様は自分の友人を側妃に推薦して、2人は一週間違いで王子も産んだわ。
その理由が「見知らぬ女より友人の方が仲良くできるもの(私より可愛くないから王の寵愛を奪われる事もないから安心よ)」なのだけど、心の声の方が理由としては有名ね。
この国は大丈夫なのかしら?
貴族達も、5代も前のまともだった頃の王族の血を引くお父様に期待しているのよ。
クーデター起こしませんか?は挨拶のようなものだものね。
令嬢は演技ができなくてはいけないし、オン・オフもはっきりしてるわよね。
もちろん、私も最後の挨拶だけしてその場を後にしたわ。
付き添いの父は、急な仕事ができたと憎々しげな顔で宰相の執務室へ行ってしまったから、私はそこにお邪魔する予定。
1人で勝手知ったる王宮を歩いていると、2人の令嬢が私を待っていたの。
「アリス!見てたわよー。王太子殿下にまとわりつかれてたわね!あれ、どうやって撃退したの?」
「大変そうだったよな。顔だけ王族が何を企んでこんな茶会を開いたんだか」
この2人は私の親友。
噂が大好きなプリシラ・オパール侯爵令嬢と、騎士になるには言葉遣いから男になるべきと斜め上の解釈をしたアンナ・アルマンディ伯爵令嬢、騎士団長の娘でもあるわ。
「王妃様が真実の愛には障害が必要よ、と言ってお二人を唆したのでしょうね」
私の笑みにニヤリと笑った2人も同意し、子供達の不敬な発言を止める事なく一緒に笑う親達を見ると、この国の王族がどれだけ馬鹿にされているかが分かるというもの。
「コーラルバイン公爵家からは王太后が出てるんだし、結婚できる筈がないな」
「そうよ、3代は結婚できない決まりがあるのに、何故私を招待したのだか。どうせ、婚約破棄しやすいとかでしょうけど腹が立つわね」
私の腹が立つ発言に、2人の両親達は顔を青くしたわ。
それはそうよね、コーラルバイン公爵家と言えば腹黒で有名だもの。感化されそうな位にね。
その時、噂をすれば何とやらでお父様が私の方へと走って来たわ。
侯爵と伯爵が挨拶をしようとするも無視して、私を抱き上げたの。
「アリスティア!大丈夫だったい?あの馬鹿共に毒されていないか?何かされたのなら、この国を滅ぼしてあげるから正直に言ってごらん」
「あら、お父様。私が毒されるような弱い人間だと仰るの?」
「そんな事はないが、あのマグノリア様の血を持ってしても馬鹿が治らなかった王族だからね。心配で仕方がないんだ」
マグノリア王太后は武に秀でた苛烈な性格の方で、近衛隊の副隊長まで務めた方なのだけど、王族を何とかしたい貴族達に頼み込まれて女好きな先代国王の元へ嫁いだのよ。
まあ、陛下はマグノリア様に育てられたおかげで歴代の王よりはマシだけど、大恋愛した相手が悪かったの。
王族の更に上を行くとされるお花畑一家の、リリア・ネフラー伯爵令嬢とね。
王妃様は自分の友人を側妃に推薦して、2人は一週間違いで王子も産んだわ。
その理由が「見知らぬ女より友人の方が仲良くできるもの(私より可愛くないから王の寵愛を奪われる事もないから安心よ)」なのだけど、心の声の方が理由としては有名ね。
この国は大丈夫なのかしら?
貴族達も、5代も前のまともだった頃の王族の血を引くお父様に期待しているのよ。
クーデター起こしませんか?は挨拶のようなものだものね。
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