43 / 63
第一章
42
しおりを挟む
「お断り致します」
「えっ」
ダメかな?と言いつつ、王子である自分の願いを断る筈がないといった感じの第二王子に、私は薄く微笑んでから口を開いた。
「守りあい、支え合い、時にはライバルにもなるのが友人というものですわ。第二王子殿下の仰っているのは友人ではなく護衛でしょう?私達は女ですので男性の力には負けてしまいますし、お役に立てそうにはありませんので失礼致します」
唖然とする第二王子にカーテシーをして、私はその場を立ち去った。
第二王子が追いかけてくる様子はなく、他の人に頼るのか考え方を変えるのかを覗こうかと思ったけれど、本人の態度で分かる事だからとやめておく。
成長するか後退するか、どちらに転ぶのか少し楽しみだと思いながら学園までの道を歩く。
「さすがね、アリスティア・コーラルバイン公爵令嬢さん」
「ヨランダ・スピネル王女殿下、ごきげんよう」
カーテシーをして頭を下げる。
スピネルでは王族の顔を見てはいけないというめんどくさーい決まりがあるの。
ここは学園だけど、初日だから一応ね。
「ここは学園よ。全ての生徒は平等なのだから顔をおあげなさい」
「ありがとうございます」
ニコリと微笑んで顔をあげる。
この人は色んな意味で危険だから私は関わりたくないのだけど、視察の案内役をした時からまとわりつかれているのよね。
「それで、ショーンとの婚約の事は考えて下さったのかしら?」
「私の一存ではなんとも・・・父は学園を卒業するまでに決めようとは言っておりましたわ」
「そんな悠長な事を言っていたらセレスタイトに取られてしまいそうなのよね・・・まぁいいわ。あなたと私は部屋も隣ですし、1年間しっかりと話し合いましょうね」
「ショーン王太子殿下のお気持ちもありますし、ヨランダ王女殿下が先走ってはお困りになりますわよ」
私の気持ちもね、とは言えないけれど、ちゃんと伝えておかないとこの方は地の果てまでも追ってきて結婚を迫るのよ・・・。
「ま、それはそうですわね。ですが、あなたが第一候補である事は変わりないから心構えはしておいてね。では、わたくしはこれで失礼するわ」
「はい、それでは私も失礼致します」
寮の方へと戻って行くヨランダ王女を見送り、私は学園まで歩いた。
10分程の道程でややこしい人に2人も会うなんて最悪だわと思いながら、精神体をチェックしていく。
パパから聞いた女に創造主である事を感知できないようにはしているけれど、この数は異様すぎる。
何かを探しているような、いえ誰かね。
ここまでに見た精神体の数は121体、この執拗さは誰か憎んでいる人でもいるのかしら。
パパに詳しく聞けば良かったけれど、眠るお母さんに見とれて役に立たないのよね・・・他に誰か詳しい人はいないの?
白銀に聞いてみるしかないわね。
理から外れた人達には、きちんと戻ってもらわないといけないから。
「えっ」
ダメかな?と言いつつ、王子である自分の願いを断る筈がないといった感じの第二王子に、私は薄く微笑んでから口を開いた。
「守りあい、支え合い、時にはライバルにもなるのが友人というものですわ。第二王子殿下の仰っているのは友人ではなく護衛でしょう?私達は女ですので男性の力には負けてしまいますし、お役に立てそうにはありませんので失礼致します」
唖然とする第二王子にカーテシーをして、私はその場を立ち去った。
第二王子が追いかけてくる様子はなく、他の人に頼るのか考え方を変えるのかを覗こうかと思ったけれど、本人の態度で分かる事だからとやめておく。
成長するか後退するか、どちらに転ぶのか少し楽しみだと思いながら学園までの道を歩く。
「さすがね、アリスティア・コーラルバイン公爵令嬢さん」
「ヨランダ・スピネル王女殿下、ごきげんよう」
カーテシーをして頭を下げる。
スピネルでは王族の顔を見てはいけないというめんどくさーい決まりがあるの。
ここは学園だけど、初日だから一応ね。
「ここは学園よ。全ての生徒は平等なのだから顔をおあげなさい」
「ありがとうございます」
ニコリと微笑んで顔をあげる。
この人は色んな意味で危険だから私は関わりたくないのだけど、視察の案内役をした時からまとわりつかれているのよね。
「それで、ショーンとの婚約の事は考えて下さったのかしら?」
「私の一存ではなんとも・・・父は学園を卒業するまでに決めようとは言っておりましたわ」
「そんな悠長な事を言っていたらセレスタイトに取られてしまいそうなのよね・・・まぁいいわ。あなたと私は部屋も隣ですし、1年間しっかりと話し合いましょうね」
「ショーン王太子殿下のお気持ちもありますし、ヨランダ王女殿下が先走ってはお困りになりますわよ」
私の気持ちもね、とは言えないけれど、ちゃんと伝えておかないとこの方は地の果てまでも追ってきて結婚を迫るのよ・・・。
「ま、それはそうですわね。ですが、あなたが第一候補である事は変わりないから心構えはしておいてね。では、わたくしはこれで失礼するわ」
「はい、それでは私も失礼致します」
寮の方へと戻って行くヨランダ王女を見送り、私は学園まで歩いた。
10分程の道程でややこしい人に2人も会うなんて最悪だわと思いながら、精神体をチェックしていく。
パパから聞いた女に創造主である事を感知できないようにはしているけれど、この数は異様すぎる。
何かを探しているような、いえ誰かね。
ここまでに見た精神体の数は121体、この執拗さは誰か憎んでいる人でもいるのかしら。
パパに詳しく聞けば良かったけれど、眠るお母さんに見とれて役に立たないのよね・・・他に誰か詳しい人はいないの?
白銀に聞いてみるしかないわね。
理から外れた人達には、きちんと戻ってもらわないといけないから。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
悪役令嬢のビフォーアフター
すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。
腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ!
とりあえずダイエットしなきゃ!
そんな中、
あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・
そんな私に新たに出会いが!!
婚約者さん何気に嫉妬してない?
混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない
三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる