見てるだけはもう終わり！～創造主は地上に降りる～

第一章

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入学式は滞りなく進み、残すは在校生の挨拶と新入生の挨拶のみ。

在校生の挨拶に立ったのは、現生徒会長であるヨランダ王女で、彼女も私を見ながら話すものだから周囲はヒソヒソボソボソと小声で話し始めた。

それはやめた方が・・・と思った時、ヨランダ王女が吠えた。

「あなた方、聞いているのですか？この学園に通う栄誉を汚す方達は許しませんわよ！」

雷が落ちた後のように震えるのは、喋っていた生徒達。
ヨランダ王女は人の顔を覚えるのが得意だし、驚く程に視力がいいから、先ほど話をしていた生徒達の顔はしっかりと覚えたでしょうね。

怒るヨランダ王女が壇上を降り、つぎに新入生代表として上がったのはリオン。
ショーン殿下だとばかり思っていたから、これには私も驚いたわ。リオンも当たり前のように私を見て話すけれど、もう何か言う人達はいない。

ヨランダ王女の逆鱗に触れたせいで怯えているのでしょうね。

リオンの挨拶もつつがなく終わり、もう一度学園長が少し話をして入学式は終了。
次はホールに貼ってある紙を見て教室へと向かうのだけど、この学園では魔力のある者は問答無用で魔法科に入学となるから、友人達は普通科で私は魔法科になる。校舎も食堂も別だから、普通科の友人達とは登校中位にしか会えなくなる。部屋に呼べばいいけれど、最上階へ来るには、かなりめんどくさい手続きが必要となっているから難しいし、同室の人達がいる彼女達の所へ入り浸るわけにもいかない。ローナとノーマは同室だけど、やはり人の目というものはある・・・。

これは盲点だったわ。

タバサの動向は視る事はできるし、白銀やしもべ達もつけているから大丈夫だけど、何かあった時にすぐに動く事ができないの。

ローナとノーマは、お花畑達と婚約して悪役令嬢になる予定だった。
でも、タバサはそれを知らないだろうから、知れば二人に詰め寄るのは目に見えてる。

心配そうに見ているのが分かったのか、ローナが私の所へ来て囁いた。

「さっきの子、転生者だと思うから気をつけるわ。あの子はモブっぽいけど、逆に危険に感じるから用心するわ。アリスだけ魔法科なのは痛いけど何とかするから心配しないで」

「ええ、でも何かあったら知らせてちょうだいね」

「分かってるわよ。うちの参謀に内緒になんてしないわ」

ホホホと口元を隠して笑いながら、ローナは皆の所へと戻った。

私はそれを寂しく見ながら、魔法科の紙を確認して移動する・・・もちろん、リオンとショーン殿下と一緒に。

魔法科は遠くにあるらしく、三人並んで転移陣を潜ったわ。

本当に何なのこれ。