52 / 63
第一章
51
しおりを挟む
「えっ?そうなんですかぁ?でも、私はここに来てしまいましたよ」
「転移陣の所には警備の騎士がいた筈ですが、その方にお話はされましたか?」
ニーナは目を泳がせて黙り込んでしまったけれど、そこにシトリン先生が来てくださったから安心したわ。
「ん?普通科の生徒がどうしてここにいるんだ?」
「転移陣に乗ったらこちらに来てしまったようです」
「それは有り得ないだろう。見た所、魔力は一切ないようだしな。仕方ない、俺が向こうに連れて行くから一緒に来い」
「い、いえ、あの私・・・」
ニーナがチラリとこちらを見たけれど、その視線の先にいるのはリオンとショーン殿下。
仕方ない、と心を読んでみると・・・何これとしか言い様のないものだった。
これを切っ掛けにリオン殿下とお近付きになりたいとか、リオン殿下に選ばれるなら婚約破棄でもなんでもするとか・・・こんな事でいっぱい。
でも、その中に聞き捨てならない言葉もある。
(ショーン殿下も捨て難いわね。どちらにしようかしら。レオンハルト殿下やラインハルト殿下もいいのよね。迷うわぁ)
(タバサがよく私はヒロインだって言ってたわよね。ヒロイン補正もあるとか。意味は分からないけど、私が優位って事よね。そこにいる邪魔な女も消せるのかなぁ?)
ヒロイン補正は黒銀が教えてくれたけれど、まさか本当にあるとは思わなかったわ。
「シトリン先生、陣の不具合なら私も修理する所を拝見したいのですが」
「お!お前は熱心だな!でもな、残念だがそれは秘密なんだよ。魔法省に入るか、この学園の魔法科教師になればできるから頑張れよ!」
「それは残念ですわ。上を目指すしかないのですね・・・ダイアクロスには魔法省はありませんし、他国に移住か魔法科教師ですわね」
「アリスティア嬢、スピネルはいい国だよ」
「セレスタイトもいいぜ!姉上から聞いてるだろ?」
「そうですわね。検討しておきますわ」
リオンは分かるけれど、ショーン殿下とは視察の時にご案内した程度なのにどうして私に近付くのかしら?
ヨランダ王女に何か言われているとか?
「じゃ、俺はこいつを連れて行くからお前らはのんびりしておけ。明日からは地獄だぞ」
ガハハと笑ってニーナの腕を掴み、引きずるように連れていくシトリン先生を見送って、私達はカフェへと移動した。
「結構混んでいますのね」
「皆、考える事は同じなんだろうね。王族専用席があるからそこに行こうか」
「そうだな。その方がゆっくりできるしな」
「私は王族ではありませんわよ?」
「俺達がいれば大丈夫だって。連れはOKだよな」
「そうだね。私達の連れであればいいよ」
そう言われては断る事はできない。
私は2人の後ろを歩いて、王族専用席へと向かったのだけれど、ここでもやっぱり女子生徒の視線が痛い。
その中で一番激しいのは、メラニー・アゲット侯爵令嬢。
リオンに片思いしているのなら、ハッキリと口に出して伝えればいいのに。
「転移陣の所には警備の騎士がいた筈ですが、その方にお話はされましたか?」
ニーナは目を泳がせて黙り込んでしまったけれど、そこにシトリン先生が来てくださったから安心したわ。
「ん?普通科の生徒がどうしてここにいるんだ?」
「転移陣に乗ったらこちらに来てしまったようです」
「それは有り得ないだろう。見た所、魔力は一切ないようだしな。仕方ない、俺が向こうに連れて行くから一緒に来い」
「い、いえ、あの私・・・」
ニーナがチラリとこちらを見たけれど、その視線の先にいるのはリオンとショーン殿下。
仕方ない、と心を読んでみると・・・何これとしか言い様のないものだった。
これを切っ掛けにリオン殿下とお近付きになりたいとか、リオン殿下に選ばれるなら婚約破棄でもなんでもするとか・・・こんな事でいっぱい。
でも、その中に聞き捨てならない言葉もある。
(ショーン殿下も捨て難いわね。どちらにしようかしら。レオンハルト殿下やラインハルト殿下もいいのよね。迷うわぁ)
(タバサがよく私はヒロインだって言ってたわよね。ヒロイン補正もあるとか。意味は分からないけど、私が優位って事よね。そこにいる邪魔な女も消せるのかなぁ?)
ヒロイン補正は黒銀が教えてくれたけれど、まさか本当にあるとは思わなかったわ。
「シトリン先生、陣の不具合なら私も修理する所を拝見したいのですが」
「お!お前は熱心だな!でもな、残念だがそれは秘密なんだよ。魔法省に入るか、この学園の魔法科教師になればできるから頑張れよ!」
「それは残念ですわ。上を目指すしかないのですね・・・ダイアクロスには魔法省はありませんし、他国に移住か魔法科教師ですわね」
「アリスティア嬢、スピネルはいい国だよ」
「セレスタイトもいいぜ!姉上から聞いてるだろ?」
「そうですわね。検討しておきますわ」
リオンは分かるけれど、ショーン殿下とは視察の時にご案内した程度なのにどうして私に近付くのかしら?
ヨランダ王女に何か言われているとか?
「じゃ、俺はこいつを連れて行くからお前らはのんびりしておけ。明日からは地獄だぞ」
ガハハと笑ってニーナの腕を掴み、引きずるように連れていくシトリン先生を見送って、私達はカフェへと移動した。
「結構混んでいますのね」
「皆、考える事は同じなんだろうね。王族専用席があるからそこに行こうか」
「そうだな。その方がゆっくりできるしな」
「私は王族ではありませんわよ?」
「俺達がいれば大丈夫だって。連れはOKだよな」
「そうだね。私達の連れであればいいよ」
そう言われては断る事はできない。
私は2人の後ろを歩いて、王族専用席へと向かったのだけれど、ここでもやっぱり女子生徒の視線が痛い。
その中で一番激しいのは、メラニー・アゲット侯爵令嬢。
リオンに片思いしているのなら、ハッキリと口に出して伝えればいいのに。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる