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第1章
フェリシア・オーストレース
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フェリシア・オーストレース公爵令嬢。
「彼女を表す言葉を見つけるのは難しい」と、名高い詩人にさえ言わしめた美しい令嬢。
ミルク色の肌、白金の腰まで伸びる髪、完璧なアーモンド型の目に光るのは、この世界で奇跡と呼ばれるアースアイ、唇は赤く熟れたリンゴのよう。
貴族には白薔薇と呼ばれ、民衆からは白金の乙女と呼ばれる彼女は、凛とした空気を纏いながらも明るく朗らかな性格で、誰からも愛される。
だが、彼らは知らない。
彼女が一部からは白い悪魔と呼ばれている事を。
「え、もう終わり?そんなんでよく強盗グループなんてやってるね?」
20人はいる屈強な男達が呻きながら倒れている中、ただ1人悠然と立つ少年。
「お・・・お前はなんなんだ・・・」
痛みに呻きながら強盗グループのリーダーが問うと、少年は小さなため息をついた。
「僕は正義の味方って言ってるんだけど、君達のお仲間には白い悪魔って言われるんだよね。失礼だと思わない?」
その言葉に、犯罪者達は終わったと理解した。
白い悪魔
数年前から現れた、正義の味方を名乗る少年の異名である。
幼い子供だと舐めてかかった犯罪者達は、軒並み倒され処罰を受けた。
狂戦士と呼ばれた大悪党も、警官がかけつけた時に「早く捕まえてくれ」と、泣きながら懇願したという・・・。
月を背に立つ少年は、帽子を目深にかぶっているせいで目が見えないにも関わらず美しかった。
「今日のは手応えなかったなー。新しい魔法も試せなかったしつまんない」
白い夜着に着替えながらボヤく美少女は「魔法学園の円舞曲~今日、あなたと恋します~」、通称まほガクと呼ばれる乙女ゲームの中で、全ルートで処刑される悪役令嬢である。
彼女には2つの前世の記憶があった。
と言っても
前世では、日本という異世界に住んでいた円香という女性であった事、平和な国でのほほんと大学生として生きていた事、まほガクの内容、日本で読んだ異世界転生や悪役令嬢の出てくる本の知識程度の記憶のみ。
前前世に至っては、威厳のある顔を歪めた男から
「とにかく逆らえ、魅了も強制力もお前なら何とかできる!絶対に諦めるな!ああ、でもあいつには気を付けるんだぞ!」
と、両肩を掴まれてガックガックと音が鳴る位に強く揺すぶられながら熱く言われてる場面のみ。
『何に逆らうの?ヒロイン?攻略対象?
でも、あの子達はゲームと全然違うし、もしかしたらヒロインもいい子かもね』
ベッドに入りながらフェリシアは独り言ちた。
「彼女を表す言葉を見つけるのは難しい」と、名高い詩人にさえ言わしめた美しい令嬢。
ミルク色の肌、白金の腰まで伸びる髪、完璧なアーモンド型の目に光るのは、この世界で奇跡と呼ばれるアースアイ、唇は赤く熟れたリンゴのよう。
貴族には白薔薇と呼ばれ、民衆からは白金の乙女と呼ばれる彼女は、凛とした空気を纏いながらも明るく朗らかな性格で、誰からも愛される。
だが、彼らは知らない。
彼女が一部からは白い悪魔と呼ばれている事を。
「え、もう終わり?そんなんでよく強盗グループなんてやってるね?」
20人はいる屈強な男達が呻きながら倒れている中、ただ1人悠然と立つ少年。
「お・・・お前はなんなんだ・・・」
痛みに呻きながら強盗グループのリーダーが問うと、少年は小さなため息をついた。
「僕は正義の味方って言ってるんだけど、君達のお仲間には白い悪魔って言われるんだよね。失礼だと思わない?」
その言葉に、犯罪者達は終わったと理解した。
白い悪魔
数年前から現れた、正義の味方を名乗る少年の異名である。
幼い子供だと舐めてかかった犯罪者達は、軒並み倒され処罰を受けた。
狂戦士と呼ばれた大悪党も、警官がかけつけた時に「早く捕まえてくれ」と、泣きながら懇願したという・・・。
月を背に立つ少年は、帽子を目深にかぶっているせいで目が見えないにも関わらず美しかった。
「今日のは手応えなかったなー。新しい魔法も試せなかったしつまんない」
白い夜着に着替えながらボヤく美少女は「魔法学園の円舞曲~今日、あなたと恋します~」、通称まほガクと呼ばれる乙女ゲームの中で、全ルートで処刑される悪役令嬢である。
彼女には2つの前世の記憶があった。
と言っても
前世では、日本という異世界に住んでいた円香という女性であった事、平和な国でのほほんと大学生として生きていた事、まほガクの内容、日本で読んだ異世界転生や悪役令嬢の出てくる本の知識程度の記憶のみ。
前前世に至っては、威厳のある顔を歪めた男から
「とにかく逆らえ、魅了も強制力もお前なら何とかできる!絶対に諦めるな!ああ、でもあいつには気を付けるんだぞ!」
と、両肩を掴まれてガックガックと音が鳴る位に強く揺すぶられながら熱く言われてる場面のみ。
『何に逆らうの?ヒロイン?攻略対象?
でも、あの子達はゲームと全然違うし、もしかしたらヒロインもいい子かもね』
ベッドに入りながらフェリシアは独り言ちた。
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