王子の婚約者の決定が、候補者によるジャンケンの結果であることを王子は知らない

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何も知らなかった伯爵令嬢①

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コリーナは王子殿下の提案を受け入れた。だが、マリアの提案については、難色を示した。婚約者に決まったのは大変だが、それで候補者だったご令嬢達に逆恨みされても困ってしまう。貴族でいる以上社交界で生きていけなくなることは避けなければならない。

「最近では政略結婚も珍しくなりましたし、どうしても私と結婚したくない、と殿下が仰るなら、それも認められるのではと思うのです。ただ、マリアさんが平民である以上は、殿下が身分を捨て、平民になるしか道はないと思います。」

「私が地位もマリアも手に入れるのは難しいと?」

「ええ、マリアさんは平民で、貴族令嬢ではありませんから。例え、どこかの貴族家に、養子として迎え入れられたとしても、社交界て生き延びるには大変な努力が必要ですわ。そもそも元平民の肩身の狭さはご存知でしょう?」

コリーナと殿下の話し合いに、入って来たのは、あの日側にいた護衛だった。彼は最初のジャンケン大会の時からコリーナを不憫に思っていたが、そういえば、と思い出したことがあった。

「差し出がましいと思いましたが、念の為。あの日の出来事は、王城内での出来事です。当然ながら、王家の影も監視が行き届いておりました。よって、その、ジャンケンで決めたことも、数々の不敬発言もすでに陛下及び王妃様に報告が届いているかと。あの時、コリーナ嬢は失意の中何も発言されておりませんでしたが、他の方は……」

ジャンケン大会の時のことを思い出して、顔色が悪くなるのはコリーナだけではない。周りの目を漸く見た王子殿下は、それだけで色々と察した。

「実は、……コリーナ嬢に決まった後に他の候補者に会いに行ったことがあるんだ。あの時の対応で、気がつけば良かったんだな。皆一様にホッとした様子で私と婚約しなくて良いと、楽しんでいた。私はそれをとても不満に思って……」

「ああ、それで。」
コリーナを慰めると言う目的で開かれた会では、コリーナの為というよりも、皆が話したいからと言う形で話が進んでいた。

「あの、何故殿下は先触れを出さずに来られるのでしょうか。サプライズと言われても、身分が上の方をあまりお待たせするのは忍びなく、かと言って行動を制限されるのも嫌なので、できれば先触れをだしていただけると、少なくとも皆の不満は一旦なくなると思うのですが。」

「そうだな。相手のことを思いやれないから、こんな仕打ちを受けるようになったのだろう。婚約者候補者にスキンシップとして、体に触れたのもマリアからは「気持ち悪い」と一喝されてしまった。もう少しマナーについて学ばなければならなかった。」

ゲラゲラと笑ってマリアさんにちゃんと怒られた殿下は相変わらずのところもあるがちゃんと反省はしたらしい。かと言って婚約したいかと言うと、それはまた別の話だけど。

婚約者を辞退しても、前の候補者が復活することはないと知って、コリーナは胸を撫で下ろした。ただ、婚約者お披露目の夜会は一応あるらしい。

殿下と護衛から話を聞いた王妃が率先して決めたと言うからには何かお考えがあるのだろう。殿下の顔はこわばっていたが、それには見ないふりをした。

平民となったご令嬢も含め、元婚約者候補も全員参加するらしい。これは強制参加らしく、ジャンケン大会のことがどこからか漏れたと思わざるを得なかった。婚約者は免れたが不敬罪で捕らえられたらどうしよう、と悩んでいると、コリーナの元へある人から手紙が届いた。

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