8 / 33
サミュエル 7歳 ローラ 12歳
ローラの独り言 1
しおりを挟む
王宮の花を背景にして、サラサラの金色の髪を靡かせて、クスクス笑うサミュたん(7)。
……可愛すぎないか、おい。
あの両親にして、あの兄にして、何でこんな最高傑作が生まれたのか。(←失礼)
私は実を言うと、王太子みたいな男が嫌いだった。婚約者になったところで、人を利用しようとしかしない。人間の心をどこかに置いてきてしまったみたいな傲慢な男。人に傷つけられることは滅法弱いが、自分は何も気にせずに話すから、人が傷つくのを理解できない。欠陥人間じゃない?あれが、王太子でいいの?
それに比べて……比べるのも烏滸がましいが、私のサミュたんは、もう可愛いの、可愛いのって。私がきっと傷ついたと思ったんだろうな。本当に優しい子だ。
王太子にはああいったものの、私にはサミュたんの婚約者の座を適当な女に明け渡すつもりは毛頭ない。何故なら、王太子の目を信用していないからだ。
少し可愛いとか、少し優しくしてもらったとかで、印象がコロコロ変わる。
あれはそう、初めて私がデイヴィスと会った日、あの男は、私に暴言を吐いたミーナと言う侯爵令嬢に少し微笑みかけられただけで、顔を真っ赤にしていた。またある時は、全く絡みのなかったご令嬢に少し褒められたぐらいで、鼻の下を伸ばしていた。
チョロすぎるでしょう。あんなのが、王太子でいいのか。(←2回目)
幼馴染同士の婚約は、不幸しか生まない。あいつの隠したい過去を私はたくさん見ているし、向こうもそうだ。しかも、そのどこにも、愛が芽生えたことはない。
エミリー嬢だってそうだ。彼女の人生は奴によって狂わされたのだから。まあ、それには私も関わっているから、同罪なんだけど。
エミリー嬢がどうとか言う前に、彼女の場合、家庭環境に問題があるんだよね。だから、彼女としては、すこしサミュたんに構ってほしいぐらいの絡みを、私達大きい組が勘違いしたのかもしれない、とは思った。
意外にも懸念された私達の関係は案外良い。エミリー嬢がやたらと絡んでくるのはサミュたんではなくて、私だし。私なら慣れてるから我儘なご令嬢の相手など楽勝だ。とか思っていたら、やられた。
サミュたんを寂しがらせてしまった。抱きしめてヨシヨシしたい。この前みたいに匂いを嗅がせてもらおうとしたら、侍女に首根っこ掴まれて引き剥がされたので、やめます。
あの時、若干ピリッとした空気になったのは、サミュたんについている護衛からの殺気かしら。
王太子からは傷つけたり、泣かせたりしなければ、隣りにいてもいいらしいから、サミュたんに嫌がられないようにしよう。
私からサミュたんに触れるのは、犯罪の匂いがするから遠慮しているのに、サミュたんは何故か積極的に来てくれるから、なんだか試されているみたい。
恋人と言ってくれたのは、嬉しいけれど、どちらかといえば、姉とか母の立ち位置だと思うのよ。
ママ目線だったら許される?誰か教えて。
……可愛すぎないか、おい。
あの両親にして、あの兄にして、何でこんな最高傑作が生まれたのか。(←失礼)
私は実を言うと、王太子みたいな男が嫌いだった。婚約者になったところで、人を利用しようとしかしない。人間の心をどこかに置いてきてしまったみたいな傲慢な男。人に傷つけられることは滅法弱いが、自分は何も気にせずに話すから、人が傷つくのを理解できない。欠陥人間じゃない?あれが、王太子でいいの?
それに比べて……比べるのも烏滸がましいが、私のサミュたんは、もう可愛いの、可愛いのって。私がきっと傷ついたと思ったんだろうな。本当に優しい子だ。
王太子にはああいったものの、私にはサミュたんの婚約者の座を適当な女に明け渡すつもりは毛頭ない。何故なら、王太子の目を信用していないからだ。
少し可愛いとか、少し優しくしてもらったとかで、印象がコロコロ変わる。
あれはそう、初めて私がデイヴィスと会った日、あの男は、私に暴言を吐いたミーナと言う侯爵令嬢に少し微笑みかけられただけで、顔を真っ赤にしていた。またある時は、全く絡みのなかったご令嬢に少し褒められたぐらいで、鼻の下を伸ばしていた。
チョロすぎるでしょう。あんなのが、王太子でいいのか。(←2回目)
幼馴染同士の婚約は、不幸しか生まない。あいつの隠したい過去を私はたくさん見ているし、向こうもそうだ。しかも、そのどこにも、愛が芽生えたことはない。
エミリー嬢だってそうだ。彼女の人生は奴によって狂わされたのだから。まあ、それには私も関わっているから、同罪なんだけど。
エミリー嬢がどうとか言う前に、彼女の場合、家庭環境に問題があるんだよね。だから、彼女としては、すこしサミュたんに構ってほしいぐらいの絡みを、私達大きい組が勘違いしたのかもしれない、とは思った。
意外にも懸念された私達の関係は案外良い。エミリー嬢がやたらと絡んでくるのはサミュたんではなくて、私だし。私なら慣れてるから我儘なご令嬢の相手など楽勝だ。とか思っていたら、やられた。
サミュたんを寂しがらせてしまった。抱きしめてヨシヨシしたい。この前みたいに匂いを嗅がせてもらおうとしたら、侍女に首根っこ掴まれて引き剥がされたので、やめます。
あの時、若干ピリッとした空気になったのは、サミュたんについている護衛からの殺気かしら。
王太子からは傷つけたり、泣かせたりしなければ、隣りにいてもいいらしいから、サミュたんに嫌がられないようにしよう。
私からサミュたんに触れるのは、犯罪の匂いがするから遠慮しているのに、サミュたんは何故か積極的に来てくれるから、なんだか試されているみたい。
恋人と言ってくれたのは、嬉しいけれど、どちらかといえば、姉とか母の立ち位置だと思うのよ。
ママ目線だったら許される?誰か教えて。
0
あなたにおすすめの小説
『出来損ない』と言われた私は姉や両親から見下されますが、あやかしに求婚されました
宵原リク
恋愛
カクヨムでも読めます。
完結まで毎日投稿します!20時50分更新
ーーーーーー
椿は、八代家で生まれた。八代家は、代々あやかしを従えるで有名な一族だった。
その一族の次女として生まれた椿は、あやかしをうまく従えることができなかった。
私の才能の無さに、両親や家族からは『出来損ない』と言われてしまう始末。
ある日、八代家は有名な家柄が招待されている舞踏会に誘われた。
それに椿も同行したが、両親からきつく「目立つな」と言いつけられた。
椿は目立たないように、会場の端の椅子にポツリと座り込んでいると辺りが騒然としていた。
そこには、あやかしがいた。しかも、かなり強力なあやかしが。
それを見て、みんな動きが止まっていた。そのあやかしは、あたりをキョロキョロと見ながら私の方に近づいてきて……
「私、政宗と申します」と私の前で一礼をしながら名を名乗ったのだった。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
【完結】断頭台で処刑された悪役王妃の生き直し
有栖多于佳
恋愛
近代ヨーロッパの、ようなある大陸のある帝国王女の物語。
30才で断頭台にかけられた王妃が、次の瞬間3才の自分に戻った。
1度目の世界では盲目的に母を立派な女帝だと思っていたが、よくよく思い起こせば、兄妹間で格差をつけて、お気に入りの子だけ依怙贔屓する毒親だと気づいた。
だいたい帝国は男子継承と決まっていたのをねじ曲げて強欲にも女帝になり、初恋の父との恋も成就させた結果、継承戦争起こし帝国は二つに割ってしまう。王配になった父は人の良いだけで頼りなく、全く人を見る目のないので軍の幹部に登用した者は役に立たない。
そんな両親と早い段階で決別し今度こそ幸せな人生を過ごすのだと、決意を胸に生き直すマリアンナ。
史実に良く似た出来事もあるかもしれませんが、この物語はフィクションです。
世界史の人物と同名が出てきますが、別人です。
全くのフィクションですので、歴史考察はありません。
*あくまでも異世界ヒューマンドラマであり、恋愛あり、残業ありの娯楽小説です。
私、お母様の言うとおりにお見合いをしただけですわ。
いさき遊雨
恋愛
お母様にお見合いの定石?を教わり、初めてのお見合いに臨んだ私にその方は言いました。
「僕には想い合う相手いる!」
初めてのお見合いのお相手には、真実に愛する人がいるそうです。
小説家になろうさまにも登録しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる