そう言うと思ってた

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元王女は告白する

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「そんなに警戒しなくても何もしないわ。必要がないもの。」

優雅な仕草は流石公爵夫人と言った様子で正直トラヴィスは、今までの彼女と今の彼女が別人だとは思えなかった。

「貴方が思っているようなことはないわ。公爵に嫁いだのは最初から私一人。可哀想な元公爵令嬢のエリーヌは、夫人になるのが嫌で逃げ出したの。」

彼女は元王女で間違いないようだ。

「あの企みの中、確かに私は侍女の誘いに乗ってやったわ。だけど、私、薬が効かないの。理由は、わかるでしょう。高位貴族なら、毒に慣れさせられるのはどこの国も同じ。侍女はね、自分は高貴な血が流れてると言っていたけど、流れていただけで、教育を受けてないの。そんなだから、私にちゃんと効く毒が何かすらも知らなかったわけ。

ああ、そうそう。エリーヌのことだったわね。彼女は人生に悲観していたの。彼女は元婚約者を、あの浮気者をあれでも愛していたから。あんなに嫌われていても夫に好かれていても、あのロクデナシを愛していたの。趣味が悪いと思わない?

あの日、侍女にお膳立てされて、あの男が関係を持ったのは私ではなく、彼女よ。彼女も勿論毒には慣れていたから、ちゃんと彼女は正気だったわ。

もうあの時には、彼女の愛する婚約者は公爵家から出されることが決まっていたの。

彼女も公爵令嬢に生まれたからには、愛する人に嫁げないことはわかってはいたけれど。

私は彼女を初めて見た時思ったの。私、彼女を逃がしてあげられる、って。何というか、彼女の顔立ちって似せようと思えば似せられるってぐらいには似てたのよ。

貴女達なら、同盟国が何をしてきたか知っているでしょう?

この国に入り込んで息を潜めるぐらい簡単なことで。私はこの国での居場所を見つけたって訳。」

「公爵様は貴女がエリーヌ嬢ではないことに気づいていらっしゃるのですか。」

「いいえ。あの人は弟以外に興味がない人なのよ。エリーヌに興味を持ったのも、弟の婚約者だったからだし。弟ばかりを可愛がった両親の影響を強く受けているから、弟を可愛がる気持ちはしつこいぐらいにあるの。あの人は、私との間に生まれた子が亡くなった時、それを私にわからないようにしたの。

私がショックを受けるとでも思ったのね。彼はとても鈍感ではあるけれど、多分善人なのよね。

だから愛する弟の子がどこから現れたのかも確認せずに私達の子としてしまったのよ。」

「アランは、エリーヌ嬢と、男爵の間の子、ということですか?」

「ええ、エリーヌはたった一回のあの夜だけで愛する男の子を授かったの。だけど彼女達が一緒にその子を育てることは難しかった。彼女はとても善良な人だったから、コチラの事情を疑いもせずに信じたの。」

「貴女は、自分の子を始末したの?」

「流石に殺しはしないわよ?ただ王女の子だから、それなりの証拠が残ってしまうのよ。だから、祖国に引き取ってもらったの。

今公爵家の墓に入っているのは息子じゃなくて、偶々あった骨を入れただけの、偽物ね。」
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