侯爵家に不要な者を追い出した後のこと

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本編

実母が死んだ後

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父が死んだあの日がライラが彼女達を見た最後だった。

父の後妻シルヴィアと、その娘ソフィア。伯爵家の娘として生まれ、母が亡くなったのが十歳の頃。母の死後一年が経ち、父が王命により再婚したのだが、後妻には娘がいた。二歳下の綺麗な金髪の娘、ソフィア。歳下ながら、所作は美しく、明らかに自分より蝶よ花よと育てられた感じがあり、最初から感じは良くなかった。

伯爵令嬢として、カーテシーをする私に後妻シルヴィアは、にこやかに笑って挨拶を返す。ソフィアもご丁寧に小さな手足で挨拶をするも、その姿はとても愛らしく、美しい。

ライラの侍女や侍従が目を見開き、ソフィアに温かな目を向けるのがライラは何故か嫌だった。モヤモヤとした気持ちのまま、新しい生活を送ることになった。

後妻であるシルヴィアは元は伯爵夫人だったようで離縁後は、生家に戻り、居心地の悪い生活をしていたという。

ライラにそれらを教えてくれるのは父の妹である叔母のマリアで、彼女はつい最近子爵家子息と離縁が成立したばかりである。

お相手には愛する人がいて、白い結婚を提示されたとかで叔母は大層お怒りだった。が、父は父で、叔母の振る舞いに辟易していた。叔母は若い頃、大層おモテになったらしく、それが元でたくさんの婚約を壊してしまったそうだ。

叔母は当時の王太子殿下にも愛を囁かれていたらしいが身分の違いに泣く泣く別れたという。

「だからね、皆彼に遠慮して、私との縁談を尻込みしているのよ。もう随分昔の話だというのに。」

当時の王太子殿下は、今はご病気で静養されているために真偽の程はわからない。だけど、叔母の話が本当ならば確かに怖くて叔母には求婚できないな、と思った。

叔母に関わらなければ、当時の王太子殿下は、王太子のままでいられたんじゃないか、と容易に推測できるからだ。

叔母はライラを可愛がってくれているが、真偽不明な噂話が多い上に話を大きく盛る癖があって話し半分に聞いていた。

「シルヴィアとかいう女は多分学園に通っていないんじゃないかしら。歳は私と同じなのに、学園にはいなかったから、絶対にそうよ。馬鹿だったか、素行が悪かったか、ね。見た目は清楚でも案外遊んでいる女なんて山程見て来たからわかるのよ。」

叔母は何故かシルヴィアに並々ならぬ対抗心を抱いているように見えた。

義母シルヴィアからは知性しか感じない。勉強の嫌いなライラは、同じ勉強嫌いはなんとなくわかるのだが、シルヴィアからはそんな印象は受けない。寧ろ、こちらの馬鹿さ加減を見抜かれているような居心地の悪さを感じる。

そして、義妹のソフィアからもそんな視線を感じることがあった。

子連れ同士の再婚は、珍しくはない。お産や事故で命を落とすことはあるし、離縁だって珍しくはないからだ。

確か義母の前の夫は、馬車の事故で亡くなったそうだ。だけどそれで何故再婚が王命になったのかは、叔母は教えてくれなかった。
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