侯爵家に不要な者を追い出した後のこと

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本編

侯爵家となった後

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後妻との再婚のタイミングで我が家は伯爵家から侯爵家になった。生活自体は変わらないけれど、父ではなく義母が執務室に籠るようになって、父の代わりに仕事をするようになった。父は彼女に任せて遊んでばかりいるようになって、ライラは驚いた。勤勉だけが取り柄のあの父が、侯爵という爵位は何をして得たものかをライラはよくわかっていなかったが、父のこれまでの功績が認められたのだと思っていた。

後妻は後妻で、父から執務を奪って、何かよからぬことを企んでいるのかと勘ぐれば、そうではないらしい。目に見えて領地が栄えていけば、さすがに何も言えない。

伯爵夫人だった前の婚姻時、義母は似たような仕事を経験済みだから、慣れないで失敗ばかりする父の代わりに仕事をするようになったという。

義母の侍女は、義母の生家からついて来た者で、ライラに対する目が厳しい。まるでライラが何か悪いことをしでかすかのように見張られている。義妹は義妹で彼女は本が好きらしく図書館に入り浸っている。いつも持ち歩いているボロボロの本は年代物らしく、売れば高値がつく、と叔母が密かに狙っていた。

ライラの侍女は大して美しくないのに、ソフィアの侍女は美人揃いだ。ソフィアの侍女を見てライラの侍女達は、綺麗になるために努力をし始めた。成果は今一つだが。

ソフィアの侍女に乗せられて、まるで自分が美人になったかのように動くから、ライラは可笑しくて仕方ない。だが、笑っているのがわかると、恨みを買うからギリギリまで我慢している。

彼女達は表立っては、此方を刺激してこない。皆一様にライラにも丁寧に接してくれる。ただ何かを命令してもそれをライラの侍女に言うだけで、自分で動くことはない。棲み分けは徹底されている。

父が遊び呆けている間、叔母の訪問が多くなったのは単なる野次馬根性からだろう。ライラの勉強中に乗り込んできては邪魔をする叔母のことを、ライラの家庭教師は嫌っていた。

勉強がいくら嫌いでも、結局やらなければならないのだから、家庭教師のいる間くらいは邪魔するのはやめてほしいと、正直思っていた。だが、叔母はそもそも良かれと思ってわざわざこの時間帯にやって来るのだ。

叔母とライラはよく似ているらしい。勉強嫌いだったところも、努力が大嫌いなところも、難しいことは誰かにやって貰いたいと思っているところも、全て。

義母は、基本ライラと叔母には関わって来ない。義妹のソフィアに対しても何か特別可愛がっている、とかではないから、元々娘への情があまりないのだと、また叔母が義母を罵っていた。

叔母は、また真偽不明な世間話を仕入れて来ていた。隣国の第三王子が嫁を探しているそうだが、そのお相手が、一度結婚を経験している人、と指定があるそうで。

「私でも立候補できるのよ。」

頬を染めて乙女みたいな仕草をしている叔母は置いといて、ライラは何故第三王子がそんな指定をしたかを考えた。

叔母は、年上が好きなんじゃない?とか言っていたけれど。ライラの意見は違う。

「誰かを探しているんじゃないかしら。」

叔母が行きたいならいけば良いけれど、何の情報も持たない叔母は、きっと選ばれないだろう、とライラは思った。
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