4 / 17
本編
思考を放棄した後
暴論かもしれないが、若いご令嬢達よりも経験豊富な女性の方が井戸端会議の話は弾む。結婚している女性には話す内容に制約が多くても、嫁入りを期待している二度目を狙うご令嬢というには年齢がいき過ぎている方達は、叔母を含めあまり制約はない。
一箇所に彼女達を集めて話しているのを聞くだけで、真偽不明を問わなければいくらでも情報は集まってくる。
ライラの思った通り、第三王子のお探しの人は第二王子の妻子であった。平和な我が国とは違って、少々きな臭い隣国は第一王子と第三王子が王太子の地位をかけて争っている最中だ。
第二王子は王族に残るつもりはなく、臣籍降下をして幼馴染の公爵令嬢と結婚した。賜った爵位は伯爵位。公爵の地位だと、いつまた継承権争いに担ぎ出されるかおそろしいので、伯爵位を賜ることになったと言う。
王族のことはライラにはよくわからない。ただライラの小さな頭でもわかるのは王になりたい、と願う人って割と強欲だと言うことだけ。彼らは自分があれもこれも欲しいと思うからか、周りもそうだと思い込む。
第二王子が王位継承権を放棄したこともラッキーではなく、何かしらの裏があるのでは、と疑心暗鬼になったのだろう。
第二王子は事故で亡くなり、妻子は行方知れず。
本人は心配だと言ってはいるけれど、本音はどうかわからない。第二王子の元妻を娶り、第二王子の遺志を、などと宣えば公爵家の後ろ盾を手に入れられる。そんな打算が働いたのでは?
それとも見つけた瞬間、何らかの罪でも被せて処刑でもする気かもしれない。
叔母は第三王子に選ばれる気でいる。王太子殿下とのロマンスは彼女に身の丈に合わない自信と、傲慢さを齎した。第三王子の周辺は随分と怪しい匂いがするのに。
ライラは叔母を止めるべきか悩んでいた。だが、此方がどれほど止めたとしても止まる相手でもない。
叔母は過去の成功体験からすっかり自分は選ばれる側だと思ってしまっている。女性の価値は頭の良さでも淑女らしさでもなく、見た目の華やかさだと今でも本気で信じているのだ。叔母はシルヴィアに比べてどうしても芋臭さが抜けない。洗練された所作のシルヴィアと比べると、教養の無さが目立ってしまう。そんな叔母にとって、ライラの母みたいな地味な真面目な女は自分より下の存在として認識しやすかったのだろう。
母と父は政略結婚ではあったが昔からの婚約者でお互いに思い合っていた為に、過度に着飾っていらぬ火種を振り撒かなくても、と地味にしていたようだ。
叔母はそんな母を馬鹿にして、ライラが生まれた時も「母に似てブサイクで可哀想だ」と言ったらしい。
母が死んで何の因果か、ライラに構って来るようになった叔母は、そんなことをいい、下に見ていたライラを可愛がる。フリなのか、あまりよく考えていないのか微妙なところだが、シルヴィアやソフィアのことを話す姿に母や自分のことを蔑む姿を見たようで、気持ち悪くなる。
結局、叔母が第三王子に選ばることなどないだろう、と思考を放棄した。
叔母はライラと同じく勉強が嫌いだ。誰かがやってくれるならそれに任せるぐらいには責任感がない。
そして自分が得をする為なら、どんな手段でも後先考えずに取ってしまうのだ。
義母のドレスと宝石が何者かによって盗まれたのは今朝のことだった。盗んだ人物には心当たりしかない。
十中八九叔母の仕業だ。
朝食の席で若干申し訳なさそうなのは義母シルヴィア。彼女は盗まれた被害者側なのだが、どうしてだろう。
その理由をライラが知るのは割とすぐのことだった。
一箇所に彼女達を集めて話しているのを聞くだけで、真偽不明を問わなければいくらでも情報は集まってくる。
ライラの思った通り、第三王子のお探しの人は第二王子の妻子であった。平和な我が国とは違って、少々きな臭い隣国は第一王子と第三王子が王太子の地位をかけて争っている最中だ。
第二王子は王族に残るつもりはなく、臣籍降下をして幼馴染の公爵令嬢と結婚した。賜った爵位は伯爵位。公爵の地位だと、いつまた継承権争いに担ぎ出されるかおそろしいので、伯爵位を賜ることになったと言う。
王族のことはライラにはよくわからない。ただライラの小さな頭でもわかるのは王になりたい、と願う人って割と強欲だと言うことだけ。彼らは自分があれもこれも欲しいと思うからか、周りもそうだと思い込む。
第二王子が王位継承権を放棄したこともラッキーではなく、何かしらの裏があるのでは、と疑心暗鬼になったのだろう。
第二王子は事故で亡くなり、妻子は行方知れず。
本人は心配だと言ってはいるけれど、本音はどうかわからない。第二王子の元妻を娶り、第二王子の遺志を、などと宣えば公爵家の後ろ盾を手に入れられる。そんな打算が働いたのでは?
それとも見つけた瞬間、何らかの罪でも被せて処刑でもする気かもしれない。
叔母は第三王子に選ばれる気でいる。王太子殿下とのロマンスは彼女に身の丈に合わない自信と、傲慢さを齎した。第三王子の周辺は随分と怪しい匂いがするのに。
ライラは叔母を止めるべきか悩んでいた。だが、此方がどれほど止めたとしても止まる相手でもない。
叔母は過去の成功体験からすっかり自分は選ばれる側だと思ってしまっている。女性の価値は頭の良さでも淑女らしさでもなく、見た目の華やかさだと今でも本気で信じているのだ。叔母はシルヴィアに比べてどうしても芋臭さが抜けない。洗練された所作のシルヴィアと比べると、教養の無さが目立ってしまう。そんな叔母にとって、ライラの母みたいな地味な真面目な女は自分より下の存在として認識しやすかったのだろう。
母と父は政略結婚ではあったが昔からの婚約者でお互いに思い合っていた為に、過度に着飾っていらぬ火種を振り撒かなくても、と地味にしていたようだ。
叔母はそんな母を馬鹿にして、ライラが生まれた時も「母に似てブサイクで可哀想だ」と言ったらしい。
母が死んで何の因果か、ライラに構って来るようになった叔母は、そんなことをいい、下に見ていたライラを可愛がる。フリなのか、あまりよく考えていないのか微妙なところだが、シルヴィアやソフィアのことを話す姿に母や自分のことを蔑む姿を見たようで、気持ち悪くなる。
結局、叔母が第三王子に選ばることなどないだろう、と思考を放棄した。
叔母はライラと同じく勉強が嫌いだ。誰かがやってくれるならそれに任せるぐらいには責任感がない。
そして自分が得をする為なら、どんな手段でも後先考えずに取ってしまうのだ。
義母のドレスと宝石が何者かによって盗まれたのは今朝のことだった。盗んだ人物には心当たりしかない。
十中八九叔母の仕業だ。
朝食の席で若干申し訳なさそうなのは義母シルヴィア。彼女は盗まれた被害者側なのだが、どうしてだろう。
その理由をライラが知るのは割とすぐのことだった。
あなたにおすすめの小説
思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。
私を欠陥品と呼ぶ執事長が鬱陶しいので、侯爵夫人として排除することにしました
菖蒲月(あやめづき)
ファンタジー
「欠陥品に払う敬意など無い」
結婚後もそう言って嫌がらせを続けるのは、侯爵家の執事長。
どうやら私は、幼少期の病が原因で、未だに“子を産めない欠陥品”扱いされているらしい。
……でも。
正式に侯爵夫人となった今、その態度は見過ごせませんわね。
証拠も揃ったことですし、そろそろ排除を始めましょうか。
静かに怒る有能侯爵夫人による、理性的ざまぁ短編。
________________________________
こちらの作品は「小説家になろう」にも投稿しています。
「義妹に譲れ」と言われたので、公爵家で幸せになります
恋せよ恋
恋愛
「しっかり者の姉なら、婚約者を妹に譲ってあげなさい」
「そうだよ、バネッサ。君なら、わかるだろう」
十五歳の冬。父と婚約者パトリックから放たれた無慈悲な言葉。
再婚相手の連れ子・ナタリアの図々しさに耐えてきたバネッサは、
その瞬間に決意した。
「ええ、喜んで差し上げますわ」
将来性のない男も、私を軽んじる家族も、もういらない。
跡継ぎの重責から解放されたバネッサは、その類まれなる知性を見込まれ、
王国の重鎮・ヴィンセント公爵家へ嫁ぐことに。
「私は、私を一番に愛してくれる場所で幸せになります!」
聡明すぎる令嬢による、自立と逆転のハッピーエンド。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
「姉なんだから妹に従え」と命じる両親。でも、その妹、お父様の子じゃありませんよ?
恋せよ恋
恋愛
「姉なんだから、妹に譲りなさい」
その言葉で婚約者も居場所も奪われた。
でもお父様、お母様。
私に押し付けたその妹、実は不義の子ですよね?
狂った愛の箱庭で虐げられた伯爵令嬢が、
真実という名の火を放ち、自由を掴み取る物語。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
愛されヒロインの姉と、眼中外の妹のわたし
香月文香
恋愛
わが国の騎士団の精鋭二人が、治癒士の少女マリアンテを中心とする三角関係を作っているというのは、王宮では当然の常識だった。
治癒士、マリアンテ・リリベルは十八歳。容貌可憐な心優しい少女で、いつもにこやかな笑顔で周囲を癒す人気者。
そんな彼女を巡る男はヨシュア・カレンデュラとハル・シオニア。
二人とも騎士団の「双璧」と呼ばれる優秀な騎士で、ヨシュアは堅物、ハルは軽薄と気質は真逆だったが、女の好みは同じだった。
これは見目麗しい男女の三角関係の物語――ではなく。
そのかたわらで、誰の眼中にも入らない妹のわたしの物語だ。
※他サイトにも投稿しています
「静かで、退屈な婚約者だった」と切り捨てられたので、最後くらい全部言って去ることにしました
桃我タロー
恋愛
「静かで、退屈な婚約者だった」
婚約破棄のその日、王太子は広間でそう言い捨てた。
三年間、失言を隠し、場を整え、黙って支えてきたのに。
どうやら私に必要だったのは婚約者ではなく、“便利な人”という役割だけだったらしい。
しかも隣には、つい三日前まで殿下の従兄に求婚していた令嬢まで立っていて――。
ならばもう、黙っている理由はない。
これは、最後まで笑って終わるつもりだった令嬢が、自分の声を取り戻す話。
『彼を解放して!』とおっしゃいましたが、何から解放されたいのですか?
シエル
恋愛
「彼を解放してください!」
友人たちと教室に戻ろうとしていると、突如、知らない令嬢に呼び止められました。
「どなたかしら?」
なぜ、先ほどから私が問いかける度に驚いているのでしょう?
まるで「え!?私のこと知らないの!?」と言わんばかりですけれど、知りませんよ?
どうやら、『彼』とは私の婚約者のことのようです。
「解放して」とおっしゃっいましたが、私の目には何かに囚われているようには見えないのですが?
※ 中世ヨーロッパモデルの架空の世界
※ ご都合主義です。
※ 誤字、脱字、文章がおかしい箇所は気付いた際に修正しております。
兄のお嫁さんに嫌がらせをされるので、全てを暴露しようと思います
きんもくせい
恋愛
リルベール侯爵家に嫁いできた子爵令嬢、ナタリーは、最初は純朴そうな少女だった。積極的に雑事をこなし、兄と仲睦まじく話す彼女は、徐々に家族に受け入れられ、気に入られていく。しかし、主人公のソフィアに対しては冷たく、嫌がらせばかりをしてくる。初めは些細なものだったが、それらのいじめは日々悪化していき、痺れを切らしたソフィアは、両家の食事会で……