28 / 45
さわやかな朝に
しおりを挟む
隣国の問題が片付いた後、私は自分の未熟さに呆れていた。私はこの国の王家に生を受けてから随分と偏った思考で、生活していたことに気がついた。
自身が側妃の子で第二王子であることを気にしていないはずだったのに、今では誰よりも私自身がその身分に囚われていたことを思い知った。
私はずっと、側妃である母は、王妃に割り込んできた隣国の公爵令嬢を恨んでいたと思っていた。でも、違った。母と王妃は互いに友人だった。当時の婚約者であった陛下に友人を王妃として、娶ってもらい、彼女の身柄を守った。だから、彼女の子の父も知っていたし、知っていた上で、守っていた。
王妃がジャンヌに優しかったのは、自分の姿を重ねてみていたからだし、自分の子に対する愛情は、彼にその父である人の面影を見て、恐怖が蘇ったからだ。
王妃はとても厳しい人生を送ってきた。それを知らなかったとは言え、真実に打ちのめされた。
最初からあの人達の掌の上で、私達はコロコロと転がされていただけだ。それを全て自分達の手柄だと浮かれていたのだから。恥ずかしくて、顔をあげられないでいると、ジャンヌが頭を撫でてくれた。
あまりの気持ち良さに眠くなって、せがむと、もっと撫でてくれた。
さっきから視線が痛い。いや、わかっているんだ。やらなければいけないことがたくさんあるって。
まず第一に、書類をなんとかしなくてはならないし、自国に戻らなかったダミアンとクロエの身分を作ってあげなければならない。隣国では、侯爵家が数々の悪事の露見によって、爵位返上になり、潰れた。
ダミアンとクロエは帰る家がなくなったこともあり、こちらに永住することを希望した。
ダミアンもクロエも貴族社会に疲れていたため、平民としての生活をサポートすることになっている。
どちらも勉強ができるため、将来的には、仕事を手伝ってくれないかなぁ、とか考えていたりした。無理強いはしないけれど、聞くだけなら良いよね?
ジャンヌには、苦笑いされた。
顔を見合わせて、ようやく仕事に取り掛かる。泣いても笑っても、実力がなくても、掌で転がされても、色々な人に助けられながら、これから二人で国を守るしかないのだから。
「ジャンヌは、私についてきてくれる?頼りない私だけれど、一緒に歩いてくれる?」
「私で良ければ是非、ビシバシお尻を叩かせていただきますわ。」
少し痛そうな気がするのは何故だ。しかも、微妙に話が噛み合っていないのでは?
私達の発言に、周りの人達は、生温かい目をして、見守ってくれていた。
終わり
本編終わりです。長々とありがとうございました。番外編として、王妃の過去話とか書こうかな、と思いましたが、暗くなりそうなのでやめて、クロエとかダミアンとかジャンヌとかのほのぼのを番外編として書こうと思います。
もうしばらくお付き合いいただけると嬉しいです。
mios
自身が側妃の子で第二王子であることを気にしていないはずだったのに、今では誰よりも私自身がその身分に囚われていたことを思い知った。
私はずっと、側妃である母は、王妃に割り込んできた隣国の公爵令嬢を恨んでいたと思っていた。でも、違った。母と王妃は互いに友人だった。当時の婚約者であった陛下に友人を王妃として、娶ってもらい、彼女の身柄を守った。だから、彼女の子の父も知っていたし、知っていた上で、守っていた。
王妃がジャンヌに優しかったのは、自分の姿を重ねてみていたからだし、自分の子に対する愛情は、彼にその父である人の面影を見て、恐怖が蘇ったからだ。
王妃はとても厳しい人生を送ってきた。それを知らなかったとは言え、真実に打ちのめされた。
最初からあの人達の掌の上で、私達はコロコロと転がされていただけだ。それを全て自分達の手柄だと浮かれていたのだから。恥ずかしくて、顔をあげられないでいると、ジャンヌが頭を撫でてくれた。
あまりの気持ち良さに眠くなって、せがむと、もっと撫でてくれた。
さっきから視線が痛い。いや、わかっているんだ。やらなければいけないことがたくさんあるって。
まず第一に、書類をなんとかしなくてはならないし、自国に戻らなかったダミアンとクロエの身分を作ってあげなければならない。隣国では、侯爵家が数々の悪事の露見によって、爵位返上になり、潰れた。
ダミアンとクロエは帰る家がなくなったこともあり、こちらに永住することを希望した。
ダミアンもクロエも貴族社会に疲れていたため、平民としての生活をサポートすることになっている。
どちらも勉強ができるため、将来的には、仕事を手伝ってくれないかなぁ、とか考えていたりした。無理強いはしないけれど、聞くだけなら良いよね?
ジャンヌには、苦笑いされた。
顔を見合わせて、ようやく仕事に取り掛かる。泣いても笑っても、実力がなくても、掌で転がされても、色々な人に助けられながら、これから二人で国を守るしかないのだから。
「ジャンヌは、私についてきてくれる?頼りない私だけれど、一緒に歩いてくれる?」
「私で良ければ是非、ビシバシお尻を叩かせていただきますわ。」
少し痛そうな気がするのは何故だ。しかも、微妙に話が噛み合っていないのでは?
私達の発言に、周りの人達は、生温かい目をして、見守ってくれていた。
終わり
本編終わりです。長々とありがとうございました。番外編として、王妃の過去話とか書こうかな、と思いましたが、暗くなりそうなのでやめて、クロエとかダミアンとかジャンヌとかのほのぼのを番外編として書こうと思います。
もうしばらくお付き合いいただけると嬉しいです。
mios
17
あなたにおすすめの小説
婚約者の命令により魔法で醜くなっていた私は、婚約破棄を言い渡されたので魔法を解きました
天宮有
恋愛
「貴様のような醜い者とは婚約を破棄する!」
婚約者バハムスにそんなことを言われて、侯爵令嬢の私ルーミエは唖然としていた。
婚約が決まった際に、バハムスは「お前の見た目は弱々しい。なんとかしろ」と私に言っていた。
私は独自に作成した魔法により太ることで解決したのに、その後バハムスは婚約破棄を言い渡してくる。
もう太る魔法を使い続ける必要はないと考えた私は――魔法を解くことにしていた。
あなたは一体誰ですか?
らがまふぃん
恋愛
その帝国には四人の皇子と二人の皇女がいる。一番末の第四皇子カダージュは、怠惰、陰気、愚かなど、侮蔑の言葉を向けられる皇子として知られていた。皇族からも見放され、成人後は皇位継承権を返上させられ、通常であれば返上した者が就く大公の位まで下げられようとしている。そんな噂が流れるほど、カダージュの評価は低い。そんなカダージュの婚約者であるメリオラーザに、第一皇子の生誕祭で――。 本編全12話プラス番外編です。 ※ご都合主義ですので、何でも笑って読んでいただける方向けのお話しです。 R5.12/24HOTランキング入りしておりました。たくさんのお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます(泣)読んでくださったみなさまに心から感謝を!素敵なクリスマスプレゼントを、ありがとうございました!
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.10/30に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
あなたを愛する心は珠の中
れもんぴーる
恋愛
侯爵令嬢のアリエルは仲の良い婚約者セドリックと、両親と幸せに暮らしていたが、父の事故死をきっかけに次々と不幸に見舞われる。
母は行方不明、侯爵家は叔父が継承し、セドリックまで留学生と仲良くし、学院の中でも四面楚歌。
アリエルの味方は侍従兼護衛のクロウだけになってしまった。
傷ついた心を癒すために、神秘の国ドラゴナ神国に行くが、そこでアリエルはシャルルという王族に出会い、衝撃の事実を知る。
ドラゴナ神国王家の一族と判明したアリエルだったが、ある事件がきっかけでアリエルのセドリックを想う気持ちは、珠の中に封じ込められた。
記憶を失ったアリエルに縋りつくセドリックだが、アリエルは婚約解消を望む。
アリエルを襲った様々な不幸は偶然なのか?アリエルを大切に思うシャルルとクロウが動き出す。
アリエルは珠に封じられた恋心を忘れたまま新しい恋に向かうのか。それとも恋心を取り戻すのか。
*なろう様、カクヨム様にも投稿を予定しております
『めでたしめでたし』の、その後で
ゆきな
恋愛
シャロン・ブーケ伯爵令嬢は社交界デビューの際、ブレント王子に見初められた。
手にキスをされ、一晩中彼とダンスを楽しんだシャロンは、すっかり有頂天だった。
まるで、おとぎ話のお姫様になったような気分だったのである。
しかし、踊り疲れた彼女がブレント王子に導かれるままにやって来たのは、彼の寝室だった。
ブレント王子はお気に入りの娘を見つけるとベッドに誘い込み、飽きたら多額の持参金をもたせて、適当な男の元へと嫁がせることを繰り返していたのだ。
そんなこととは知らなかったシャロンは恐怖のあまり固まってしまったものの、なんとか彼の手を振り切って逃げ帰ってくる。
しかし彼女を迎えた継母と異母妹の態度は冷たかった。
継母はブレント王子の悪癖を知りつつ、持参金目当てにシャロンを王子の元へと送り出していたのである。
それなのに何故逃げ帰ってきたのかと、継母はシャロンを責めた上、役立たずと罵って、その日から彼女を使用人同然にこき使うようになった。
シャロンはそんな苦境の中でも挫けることなく、耐えていた。
そんなある日、ようやくシャロンを愛してくれる青年、スタンリー・クーパー伯爵と出会う。
彼女はスタンリーを心の支えに、辛い毎日を懸命に生きたが、異母妹はシャロンの幸せを許さなかった。
彼女は、どうにかして2人の仲を引き裂こうと企んでいた。
2人の間の障害はそればかりではなかった。
なんとブレント王子は、いまだにシャロンを諦めていなかったのだ。
彼女の身も心も手に入れたい欲求にかられたブレント王子は、彼女を力づくで自分のものにしようと企んでいたのである。
恋は雪解けのように
ミィタソ
恋愛
王国アルテリア。
公爵家の令嬢エステルは幼馴染の侯爵嫡子クロードと婚約していた。
しかし社交界デビューを目前に、突然の婚約破棄を通告される。
「貴女の瞳には野心がない。装飾品でしかない女性に、我が家の未来は託せぬ」
冷徹に宣告するクロードの手元に、安物とは思えぬ新たな指輪が光っていた。
屈辱に震えるエステルは、古びた温室で偶然出会った謎の青年に差し出された赤い薔薇を握りしめる。
「この花のように、貴女は凍てついた大地でも咲ける」
そう囁いた青年こそ、政敵である辺境伯爵家の嗣子レオンだった。
雪解けと共に芽吹く二人の恋は、王家の陰謀に巻き込まれていく――。
不機嫌な侯爵様に、その献身は届かない
翠月 瑠々奈
恋愛
サルコベリア侯爵夫人は、夫の言動に違和感を覚え始める。
始めは夜会での振る舞いからだった。
それがさらに明らかになっていく。
機嫌が悪ければ、それを周りに隠さず察して動いてもらおうとし、愚痴を言ったら同調してもらおうとするのは、まるで子どものよう。
おまけに自分より格下だと思えば強気に出る。
そんな夫から、とある仕事を押し付けられたところ──?
[完結]貴方なんか、要りません
シマ
恋愛
私、ロゼッタ・チャールストン15歳には婚約者がいる。
バカで女にだらしなくて、ギャンブル好きのクズだ。公爵家当主に土下座する勢いで頼まれた婚約だったから断われなかった。
だから、条件を付けて学園を卒業するまでに、全てクリアする事を約束した筈なのに……
一つもクリア出来ない貴方なんか要りません。絶対に婚約破棄します。
わたくしが悪役令嬢だった理由
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、マリアンナ=ラ・トゥール公爵令嬢。悪役令嬢に転生しました。
どうやら前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生したようだけど、知識を使っても死亡フラグは折れたり、折れなかったり……。
だから令嬢として真面目に真摯に生きていきますわ。
シリアスです。コメディーではありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる