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記憶の在処
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記憶は戻らない、にもかかわらず、私にはようやく引き合わされた彼女が、私の求めていた彼女とは全くの別人であることがわかった。
「エリーは何処にいる?」
紹介された女は、なおも食い下がろうとしていたが、私の拒絶を見たシャルの呟きによって口を噤んだ。
「記憶が戻ったわけではないのに、彼女のことはわかるんですか。」
「彼女が誰かはわからないが、エリーではないことはわかる。」
彼女は一体誰で、どうして嘘をついたのかはわからない。しかも、この様子ではこの茶番に、アーロンもシャルも、それどころか、ここにいる全員が、関わっているようだ。
「じゃあ、姉様に会わせるのも良いかもしれませんね。」
シャルは目を伏せて、力なく呟く。若干、先程よりも空気が重く感じるが、それは思い込みではなかったようだ。
エリーと、紹介された女は、シャルに命じられてエリーのフリをするように言われたシャルの侍女だった。雰囲気を似せただけで、私が正常だったならすぐにでも、バレていたお粗末な変装だったらしい。
「気を悪くされたなら謝ります。私は兄様と、姉様をどちらも大切に思っています。だから、それだけに、傷つけたくなかったのです。兄様が思い出したくないのならば、作られた幸せの中で生きることも致し方ないと……余計なことでしたね。」
「……お前は、私がエリーのことを思い出すのが辛いことだと、思っているのだな。」
シャルは泣きそうな顔になりながら、首を振った。
「兄様と姉様の間に何があって、一人は記憶を失い、一人は……、そのような状況で、私達にはそれが、どう言うことか想像するしか許されませんでした。ようやく見つけた兄様に、真実を告げることがこんなに困難だとは。すみません、私のせいです。」
「そちらの状況を整理すると、エリーは話をできる状態ではない、と言うことか。生きているのは、間違いないのか。」
最悪なことを考えると、胸が痛くなる。すぐに会える、と思っていたのに、ズキズキと鈍い痛みが胸いっぱいにじわじわと広がっていく。
「生きている……と、言えますかね。今はまだ。姉様は何らかの攻撃を受けて、仮死状態になっています。名前による制約も含め、姉様自身にかけられたものか、兄様を庇ったのかは、わかりませんが、姉様を見つけた時から、ずっと同じ状態で眠り続けておいでです。」
「エリーに会いたい。」
「はい。今度こそ、案内いたします。」
シャルと、アーロンが跪く。一度は自分を騙そうとした彼らを、叱る気にもならず、後について行く。
エリーを見て、何もかもを、思い出したりできるのか。
記憶が戻るより、発狂するのが先だったりして。
笑えない冗談は、盛大なフラグのようで、口にするのを躊躇わせた。
「エリーは何処にいる?」
紹介された女は、なおも食い下がろうとしていたが、私の拒絶を見たシャルの呟きによって口を噤んだ。
「記憶が戻ったわけではないのに、彼女のことはわかるんですか。」
「彼女が誰かはわからないが、エリーではないことはわかる。」
彼女は一体誰で、どうして嘘をついたのかはわからない。しかも、この様子ではこの茶番に、アーロンもシャルも、それどころか、ここにいる全員が、関わっているようだ。
「じゃあ、姉様に会わせるのも良いかもしれませんね。」
シャルは目を伏せて、力なく呟く。若干、先程よりも空気が重く感じるが、それは思い込みではなかったようだ。
エリーと、紹介された女は、シャルに命じられてエリーのフリをするように言われたシャルの侍女だった。雰囲気を似せただけで、私が正常だったならすぐにでも、バレていたお粗末な変装だったらしい。
「気を悪くされたなら謝ります。私は兄様と、姉様をどちらも大切に思っています。だから、それだけに、傷つけたくなかったのです。兄様が思い出したくないのならば、作られた幸せの中で生きることも致し方ないと……余計なことでしたね。」
「……お前は、私がエリーのことを思い出すのが辛いことだと、思っているのだな。」
シャルは泣きそうな顔になりながら、首を振った。
「兄様と姉様の間に何があって、一人は記憶を失い、一人は……、そのような状況で、私達にはそれが、どう言うことか想像するしか許されませんでした。ようやく見つけた兄様に、真実を告げることがこんなに困難だとは。すみません、私のせいです。」
「そちらの状況を整理すると、エリーは話をできる状態ではない、と言うことか。生きているのは、間違いないのか。」
最悪なことを考えると、胸が痛くなる。すぐに会える、と思っていたのに、ズキズキと鈍い痛みが胸いっぱいにじわじわと広がっていく。
「生きている……と、言えますかね。今はまだ。姉様は何らかの攻撃を受けて、仮死状態になっています。名前による制約も含め、姉様自身にかけられたものか、兄様を庇ったのかは、わかりませんが、姉様を見つけた時から、ずっと同じ状態で眠り続けておいでです。」
「エリーに会いたい。」
「はい。今度こそ、案内いたします。」
シャルと、アーロンが跪く。一度は自分を騙そうとした彼らを、叱る気にもならず、後について行く。
エリーを見て、何もかもを、思い出したりできるのか。
記憶が戻るより、発狂するのが先だったりして。
笑えない冗談は、盛大なフラグのようで、口にするのを躊躇わせた。
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