君の顔が思い出せない

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名前を人質に

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「エリーの名前を介して人に呪いをかけることは可能か。」

ここに揃っている誰からも信用されていなかったため、誰からの情報かは言わなかったが、ずっと気になっていたことを聞きたかった。

エリーと別れるように勧められた日々を思い出す。あの頃は誰が味方で、誰が敵か判断がつかずに、知らない間に、うっかりした発言をしていたように思う。

「可能かどうかと言われたら可能です。ただ術をかけるのは少し難しく、普通の人では勿論できません。熟練の魔術を扱う者がいるのでしょう。」

「アレックスと言う男は……」

「無理でしょうね。」鼻で笑いながら即座にシャルは否定する。

うん、そんな気はした。

「あの、アレックスの妻のリディアだったか、彼女はどうかな。魔術を使えるか?」

「ああ、あの方なら使えるかもしれません。と言うより、十中八九、その方ですね。他には考えつきません。」

嫌な予感は当たるものだ。

「リディア・ボートウェルか。厄介だな。」

アーロンが難しい顔をしている。

「あの人、そんな凄いの?」
「ええ、彼女にかかれば、国一つぐらいは滅ぼされます。まあ、こちらの国はエドワード様さえいらっしゃるなら大丈夫ですが。」

「もしかして、私の記憶にも彼女は関与しているのだろうか。」

「そうと考えるのが自然でしょうね。残念ながら。」

「そうか。」目に見えて落ち込んだ私に、シャルが忌々しげに唸り、アーロンは悲しげな顔をする。二人とも私に対してと、他の人に対しての態度に差がありすぎる。心配するレベルだ。

こんなことで、大丈夫なのだろうか。

「彼女以外にその術を回避できるものはいるのか?」

「いるには、いるけど……」

シャルは、上目遣いになる。

私はシャルの言わんとしてることがわからなくて首を傾げると、じっと見つめていたシャルは諦めたように首を振った。

「あとで、文句言わないでね。彼と話して腹が立っても、責任持てないから。」

「もう一つ、聞いても良いか?」

リディア・ボートウェルについて、もう少し聞いておきたい。

「あの、リディア・ボートウェルが、アレックスに虐げられることって……」

「ないですね。逆ならあるかもしれませんが、リディアならされた百倍ぐらいで仕返ししますよ。」

「そうか。やっぱりか。じゃあ、何でリディアはアレックスと結婚したんだ?」

政略結婚とは言え、そんなに互いに利が無さそうなのに。

シャルは、ちょっと迷った末にもう一度首を振り、返事の代わりにため息をつく。

「それは聞かない方が良いと思います。」

アーロンが後ろで、頷いている。何かよくわからないが、そうか。
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