君の顔が思い出せない

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アレックス

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アレックスは荒れていた。みすみす、エドワードを逃してしまった。エリーにつながる鍵であったのに。エリーの居場所は未だにわからないでいる。どうやら、エドワードの軍隊が、彼女を隠しているようだ。

今頃、エドワードは、軍隊に連れて行かれて、合流している頃だろう。彼らが合流するのは予想の範囲内だ。

寧ろ、私が邪魔をした分、遅らせることができたのだから、喜ぶところだ。

エドワードの記憶がどれほど早く戻るのかは正直運任せだが、生まれながらに人の上に立つことが当たり前のあの男なら、あの場にいるだけで、自分の役割を思い出すことができるだろう。

アレックスは、昔、エドワードの隣にいて、こちらを睨みつけていた小柄な生意気な少年を思い出す。

きっとあの少年も、いまではエドワードを支え続けているはずだ。彼らの主人は、エドワードだけだ。まさに、忠犬。彼らにとってはエドワード以外は人ではない。

悔しいことに、エリーにもそれは当てはまる。エドワード以外は男ではないらしい。

アレックスは以前エリーに話しかけた際の屈辱を思い出し震えた。

エドワードだけに向けられる天使の微笑み。可憐な姿は、エドワード以外の人がどれだけ欲しても無駄だと、思い知らされた。

以前のエドワードとは似ても似つかない記憶喪失の時の暢気な顔を思い出す。全くの別人のようだった。もしかしたら、あちらの方が素なんじゃないか。

昔は知ろうとしなかった仇敵の可愛らしい一面に笑いが溢れる。あの、エドワードなら好きになれたかもしれない。目覚めた時に口走った友人と言う言葉も、これから本当にしていけばよかった。

記憶を、無くしている間の記憶と取り戻した記憶の擦り合わせで彼が壊れてもよかったのに。彼はそうなる前に真実を知り、既にこの場にはいない。

まだ自分にできることはある。あのリックとか言う護衛と仮の妻のことはまだ味方であると思っているし、いつか接触がある。

あの謎の正義感は、以前のエドワードにはなかった。もしかすると、彼の幼少期にはあったものの、不要と捨てられたものかもしれない。

エドワードの弟であるオリバーにはそういった感覚はあるような気がして、やはり生まれながらに取捨選択はされていたのだ、と知らされる。

以前のエドワードに恨みつらみがあったとして、あれは全て虚像で本来の彼は愛すべき性格で、と言われても理解はできない。現実に会っていても、本当に、これはエドワード本人なのか確信出来なかったと言うのに。

奪われて初めて、彼が本物だったことを理解している。ただ、今の彼に会って、エリー嬢は、彼がわかるのだろうか。それ以前に、彼がエリー嬢を認識できるのだろうか。

その場面を見たかった、と見当違いの苛立ちがアレックスの思考を支配した。


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