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一人目の証言 タリー伯爵令嬢
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タリー伯爵家が娘、シリルでございます。私は先のお茶会で、被害者であるリリア・アーレン公爵令嬢のお側に座っておりました。
あの時、第一王子殿下と、あの破廉恥な女は、遅れて登場いたしました。主人公は遅れてくるものだ、とか何とか仰って、今までの穏やかな空気を一掃したのですわ。
リリア様は、毅然とされていました。最近の第一王子殿下は、目に余る行為が多く、リリア様はそのフォローに努めてらして、心労が多くおありでした。
あの平民の女、名前は何でしたかしら、あの方が、昼間だと言うのに、露出した、夜会でも自重するような格好で来られて目のやり場に困りましたが、それ以前に婚約者のいらっしゃる方にまあ、ベタベタと。
第一王子殿下は、リリア様に向かって、横柄な態度を取られていて、主催の王妃様は勿論皆一様に呼ばれていないお二方のご登場に眉を顰めておりました。
あの女の方の甘ったるい話し方は、不快でしたが、目に入らなければどうと言うこともありません。リリア様が興味を失くされたので、こちらはこちらで楽しもうとなったのです。リリア様とお二方の位置は離れておりましたので。
あら、婚約者同士で離れて座るのは珍しいですか?それなら婚約者がいながら、別の女性を侍らす男性というのも、珍しいのではなくって?
嫌な言い方になってしまいましたね、ごめんなさい。
リリア様に非がないことなのですから、腹が立ってしまったのですわ。大人げなく申し訳ありません。
それで、それぞれお茶を楽しんでおりました。私はリリア様と隣でしたので楽しかったですが、王子殿下の辺りに座られた方達は不幸でしたわね。気の毒になりましたわ。何故って、あの女の方、作法の一つもご存知ないのですよ。カチャカチャと音を立てて、傍若無人に振る舞って、挙げ句の果て、それを人の所為にするのですから。
甲高い声で叫び、お茶をこぼされた、と仰るのです。確かにドレスには紅茶の染みがついておりました。
お側に座っていらした方はまあ、おかわいそうに震えていらっしゃってそれはもう、無実を訴えていらっしゃいました。
それはそうですわ。だってご自分で、勝手に溢したに違いありませんもの。
溢したところ?見ておりませんが、わかるでしょう。あの方、ドレスでただ歩くのさえ、ろくにできないのですわ。しなだれかかるようにしか歩けない、破廉恥な女ですのよ。
平民にお茶会の作法なんて、わからないでしょう。かわいそう?ええ、かけられたことにされた女性はかわいそうでしたわ。
真っ青な顔で震えていらっしゃったのよ。
それで第一王子殿下は、お怒りになられて、その彼女を叱責されたの。周りの女性は、巻き込まれてはたまらないから、口を出さないけれど、リリア様は違いましたの。
まず、あの恥知らずな女に火傷はしなかったか確認して、冤罪で震えている彼女にも同じことを聞きました。
彼女が憔悴していましたので、彼女をその場から遠ざけて、リリア様が王子殿下と話をされたのです。あの女には、新しいドレスを、と話をされて着替えを促していましたので、女はその話し合いの場にはいませんでした。
リリア様と王子殿下は、正反対のご様子でした。王子殿下は怒りが収まらない様子で、リリア様を睨みつけていて、リリア様は無表情でしたわ。私なら呆れた顔を見せてしまうかもしれません。本当に情けなかったですわ。
王子殿下に対して、不敬だと仰りたいの?私の態度が、不敬、ねぇ。まあ、それはそうでしょうね。私はリリア様を尊敬していますから。リリア様に失礼な態度を取り続ける王子殿下には不敬かもしれませんわね。
それで捕らえられたところで、後悔は致しませんわ。捕らえます?
まあ、今となれば、あの方にそんな権限はありませんもの。そうですわよね。
だってあの方は、リリア様に暴力を振るったのですから。信じられませんわ。話し合いもろくにせず、すぐに腕力に訴えるなんて。
殴ったところを見たか、ですって。見ましたわ。王子殿下が手を振り下ろして、バシンと音がして、リリア様が倒れていらしたのよ。頬が赤くなって、痛々しく。リリア様の白いお肌に、あの男は……。
王子殿下だからって、不当な暴力を許していいのですか?
私は許せません。あんなに、素敵な女性を不当に扱うなんて、許せない。
ましてや、婚約破棄ですって。破棄されるのは王子殿下であるべきでしょう。どうして、不貞をおかして、暴力まで振るった側が破棄をできるのですか。
慰謝料だって、リリア様に支払われるべきですわ。女性を侮りすぎよ。許せない。
え?だから、見たと言っているでしょう。王子殿下が手を振り下ろして……どちらの手?王子殿下の振り下ろした手?……右手だったかしら。ええ、多分。それ、何の証言になるの?
リリア様の赤くなった頬は左側でしたわ。だから、対面で、王子殿下の振り下ろした手は、右手よ。そうだわ。
何がおかしいの?王子殿下は左利き?
利き手ではない方で、手が出ることだってあるわよ。
被害者がリリア様なのは変わらない事実なのよ。許してはならないの。暴力も、浮気も、絶対に!
あの時、第一王子殿下と、あの破廉恥な女は、遅れて登場いたしました。主人公は遅れてくるものだ、とか何とか仰って、今までの穏やかな空気を一掃したのですわ。
リリア様は、毅然とされていました。最近の第一王子殿下は、目に余る行為が多く、リリア様はそのフォローに努めてらして、心労が多くおありでした。
あの平民の女、名前は何でしたかしら、あの方が、昼間だと言うのに、露出した、夜会でも自重するような格好で来られて目のやり場に困りましたが、それ以前に婚約者のいらっしゃる方にまあ、ベタベタと。
第一王子殿下は、リリア様に向かって、横柄な態度を取られていて、主催の王妃様は勿論皆一様に呼ばれていないお二方のご登場に眉を顰めておりました。
あの女の方の甘ったるい話し方は、不快でしたが、目に入らなければどうと言うこともありません。リリア様が興味を失くされたので、こちらはこちらで楽しもうとなったのです。リリア様とお二方の位置は離れておりましたので。
あら、婚約者同士で離れて座るのは珍しいですか?それなら婚約者がいながら、別の女性を侍らす男性というのも、珍しいのではなくって?
嫌な言い方になってしまいましたね、ごめんなさい。
リリア様に非がないことなのですから、腹が立ってしまったのですわ。大人げなく申し訳ありません。
それで、それぞれお茶を楽しんでおりました。私はリリア様と隣でしたので楽しかったですが、王子殿下の辺りに座られた方達は不幸でしたわね。気の毒になりましたわ。何故って、あの女の方、作法の一つもご存知ないのですよ。カチャカチャと音を立てて、傍若無人に振る舞って、挙げ句の果て、それを人の所為にするのですから。
甲高い声で叫び、お茶をこぼされた、と仰るのです。確かにドレスには紅茶の染みがついておりました。
お側に座っていらした方はまあ、おかわいそうに震えていらっしゃってそれはもう、無実を訴えていらっしゃいました。
それはそうですわ。だってご自分で、勝手に溢したに違いありませんもの。
溢したところ?見ておりませんが、わかるでしょう。あの方、ドレスでただ歩くのさえ、ろくにできないのですわ。しなだれかかるようにしか歩けない、破廉恥な女ですのよ。
平民にお茶会の作法なんて、わからないでしょう。かわいそう?ええ、かけられたことにされた女性はかわいそうでしたわ。
真っ青な顔で震えていらっしゃったのよ。
それで第一王子殿下は、お怒りになられて、その彼女を叱責されたの。周りの女性は、巻き込まれてはたまらないから、口を出さないけれど、リリア様は違いましたの。
まず、あの恥知らずな女に火傷はしなかったか確認して、冤罪で震えている彼女にも同じことを聞きました。
彼女が憔悴していましたので、彼女をその場から遠ざけて、リリア様が王子殿下と話をされたのです。あの女には、新しいドレスを、と話をされて着替えを促していましたので、女はその話し合いの場にはいませんでした。
リリア様と王子殿下は、正反対のご様子でした。王子殿下は怒りが収まらない様子で、リリア様を睨みつけていて、リリア様は無表情でしたわ。私なら呆れた顔を見せてしまうかもしれません。本当に情けなかったですわ。
王子殿下に対して、不敬だと仰りたいの?私の態度が、不敬、ねぇ。まあ、それはそうでしょうね。私はリリア様を尊敬していますから。リリア様に失礼な態度を取り続ける王子殿下には不敬かもしれませんわね。
それで捕らえられたところで、後悔は致しませんわ。捕らえます?
まあ、今となれば、あの方にそんな権限はありませんもの。そうですわよね。
だってあの方は、リリア様に暴力を振るったのですから。信じられませんわ。話し合いもろくにせず、すぐに腕力に訴えるなんて。
殴ったところを見たか、ですって。見ましたわ。王子殿下が手を振り下ろして、バシンと音がして、リリア様が倒れていらしたのよ。頬が赤くなって、痛々しく。リリア様の白いお肌に、あの男は……。
王子殿下だからって、不当な暴力を許していいのですか?
私は許せません。あんなに、素敵な女性を不当に扱うなんて、許せない。
ましてや、婚約破棄ですって。破棄されるのは王子殿下であるべきでしょう。どうして、不貞をおかして、暴力まで振るった側が破棄をできるのですか。
慰謝料だって、リリア様に支払われるべきですわ。女性を侮りすぎよ。許せない。
え?だから、見たと言っているでしょう。王子殿下が手を振り下ろして……どちらの手?王子殿下の振り下ろした手?……右手だったかしら。ええ、多分。それ、何の証言になるの?
リリア様の赤くなった頬は左側でしたわ。だから、対面で、王子殿下の振り下ろした手は、右手よ。そうだわ。
何がおかしいの?王子殿下は左利き?
利き手ではない方で、手が出ることだってあるわよ。
被害者がリリア様なのは変わらない事実なのよ。許してはならないの。暴力も、浮気も、絶対に!
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