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鐘が鳴り響いたら ※無理矢理表現あり
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司祭様が訪れたのはそれから直ぐのこと。初めて会った司祭様は何だか胡散臭い笑顔を見せている。
「貴女が新しく入った方ですね。」
アメリの全身を舐めるようにみると、また胡散臭い笑顔を貼り付ける。
アメリは気持ち悪くてたまらないのに、周りの修道女達は、普通に接している。
(あれは聖職者と言うより生臭坊主の類ね。)
自分も修道女でありながら、愛欲に溺れている時点で同罪なのだが、だからこそなのか、気持ち悪くて仕方なかった。
ミルアやルーナも、司祭に全身くまなく、下卑た目で見つめられていると言うのに、気がつかない。鈍感な奴らめ。
ルーナにはやっぱりいい感情は持てないアメリだが最近はミルアや他の修道女には嫌な気分になることなく接することが出来ていた。自分なりに考えた結果、ミルアや他の修道女は平民出身なので、自分を知る由もないが、ルーナには子爵家という繋がりがあるため、いつ知られてもおかしくない。だから、なのかもしれない。男爵家の入婿となり、貴族から平民となったアメリを嘲笑うあいつらと同じ立場にルーナはいる。それが、いつまでも悔しくて、悔しい。
司祭様がルーナに何やら熱弁を奮っている中、アメリは司祭様の目から離れて、座っていた。集まりの中から抜け出したミルアを見た瞬間、またあの鐘の音が今度は頭に響くみたいに鳴り響いた。頭を押さえて、周りを見渡すと驚いた顔のミルアと、アメリが蹲ったことにより、驚いた修道女達がわらわらと集まってくるのが見えた。アメリはそのまま意識を無くした。
目が覚めた時、アメリはベッドに寝かされていた。辺りには、少し離れたところにミルアがいて、アメリを見たあと、すぐに人を呼びに行った。
連れてきた人の後ろに司祭様が真面目な顔をして立っていた。
「大丈夫?頭を押さえて倒れたのよ、今は痛くない?」
頭を押さえていたのは、鐘が鳴り響いたからで痛いわけではない。そう言おうとして……やめた。何故かわからないけれど、ここでそれを口にしては不味いと思った。何故かはわからない。ただあの司祭に聞かれてはいけないと。
なのに、ミルアが言った。
「さっき、貴女が倒れる前にどこかで、鐘が鳴ってなかった?あれ、何処の鐘かしら。ねえ、聞こえなかった?」
案の定、その声に反応したのは司祭様。ニンマリと気持ち悪い笑みを浮かべ、その後唐突にアメリを見た。
「ごめん、わからない。」
咄嗟に否定したものの、司祭様がアメリもその鐘の音を聞いたと理解したことはわかった。
ただ嫌な汗が流れた。
安静に、と言われ、周りの人が居なくなって、ふと司祭様がアメリに近づいた。
「ゆっくりおやすみなさい。神は見ていますよ。」
鐘の音を二回聞くと、神様から救済が来る、とは誰が言ったのか。
ああ、あの日、司祭によく似た男に嬲られながら聞いたのだった。
教会の地下には、普通の修道女は入ることができない。司祭様も最近ようやく入れるようになったとか。
「貴女を神の子に認定する。」
そう男は言い、アメリの衣服を剥ぎ取ると、別の衣装に着替えさせる。そこにあったのは、純白のドレス。
貴族だった時に着ていたものとは雲泥の差ではあるが、平民なら喜ぶそのドレスは、何度も使用されているらしく、くたっとしている。
「貴女は生娘ではないのか?」
裸に剥かれて叫び声すらあげないアメリに男は不満そうだ。
「私は生娘ではないわ。」
真実を告げると逃がしてくれるかと思ったが、そうではなかった。
あの気持ち悪い笑顔を張り付けて、「なら、私が確認しても構わないな。」と言い、ドレスを丁寧に脱がせると、アメリの上に跨った。
さっきは突然のことで、叫び声が上げられなかったものの、今はようやく声が出た。
でも、誰も助けには来ない。男はアメリの絶望の表情を見てニヤニヤ笑うと、呟いた。
「確かに、男を煽る悲鳴は中々だ。これは期待できるぞ。生娘は、泣き叫ぶばかりで詰まらん。お前は、神の子として、最高の稼ぎ頭となるだろう。」
どれだけ叫んでも誰かがくることはなく、そのまま、男の好き放題にされたアメリは力なく床に寝かされている。
小さな部屋というには粗末な牢獄に入れられる。そこには、お風呂だけがあり、自由に入っていいという。隣の牢にも人がいて、啜り泣く声が響く。
アメリは神の子に認定された、と男は口にした。神の子とは、何なのだろう。
牢にずっと入っていると、毎日ではないが、司祭のような男達が中を覗いてくることがあった。まるで肉食獣が、獲物を狙うみたいに舌なめずりをしているような錯覚に陥る。
それに加えて、司祭によく似た男は毎日のように、牢に現れ、乱暴にアメリを抱いた。その頃にはいくら抵抗しても無駄だと思うようになっていた。それでも抵抗しないのは、嫌だったので、抵抗し続けると、男は満足だったらしく、アメリの思いとは裏腹に彼女を大切にし始めたのだった。
「貴女が新しく入った方ですね。」
アメリの全身を舐めるようにみると、また胡散臭い笑顔を貼り付ける。
アメリは気持ち悪くてたまらないのに、周りの修道女達は、普通に接している。
(あれは聖職者と言うより生臭坊主の類ね。)
自分も修道女でありながら、愛欲に溺れている時点で同罪なのだが、だからこそなのか、気持ち悪くて仕方なかった。
ミルアやルーナも、司祭に全身くまなく、下卑た目で見つめられていると言うのに、気がつかない。鈍感な奴らめ。
ルーナにはやっぱりいい感情は持てないアメリだが最近はミルアや他の修道女には嫌な気分になることなく接することが出来ていた。自分なりに考えた結果、ミルアや他の修道女は平民出身なので、自分を知る由もないが、ルーナには子爵家という繋がりがあるため、いつ知られてもおかしくない。だから、なのかもしれない。男爵家の入婿となり、貴族から平民となったアメリを嘲笑うあいつらと同じ立場にルーナはいる。それが、いつまでも悔しくて、悔しい。
司祭様がルーナに何やら熱弁を奮っている中、アメリは司祭様の目から離れて、座っていた。集まりの中から抜け出したミルアを見た瞬間、またあの鐘の音が今度は頭に響くみたいに鳴り響いた。頭を押さえて、周りを見渡すと驚いた顔のミルアと、アメリが蹲ったことにより、驚いた修道女達がわらわらと集まってくるのが見えた。アメリはそのまま意識を無くした。
目が覚めた時、アメリはベッドに寝かされていた。辺りには、少し離れたところにミルアがいて、アメリを見たあと、すぐに人を呼びに行った。
連れてきた人の後ろに司祭様が真面目な顔をして立っていた。
「大丈夫?頭を押さえて倒れたのよ、今は痛くない?」
頭を押さえていたのは、鐘が鳴り響いたからで痛いわけではない。そう言おうとして……やめた。何故かわからないけれど、ここでそれを口にしては不味いと思った。何故かはわからない。ただあの司祭に聞かれてはいけないと。
なのに、ミルアが言った。
「さっき、貴女が倒れる前にどこかで、鐘が鳴ってなかった?あれ、何処の鐘かしら。ねえ、聞こえなかった?」
案の定、その声に反応したのは司祭様。ニンマリと気持ち悪い笑みを浮かべ、その後唐突にアメリを見た。
「ごめん、わからない。」
咄嗟に否定したものの、司祭様がアメリもその鐘の音を聞いたと理解したことはわかった。
ただ嫌な汗が流れた。
安静に、と言われ、周りの人が居なくなって、ふと司祭様がアメリに近づいた。
「ゆっくりおやすみなさい。神は見ていますよ。」
鐘の音を二回聞くと、神様から救済が来る、とは誰が言ったのか。
ああ、あの日、司祭によく似た男に嬲られながら聞いたのだった。
教会の地下には、普通の修道女は入ることができない。司祭様も最近ようやく入れるようになったとか。
「貴女を神の子に認定する。」
そう男は言い、アメリの衣服を剥ぎ取ると、別の衣装に着替えさせる。そこにあったのは、純白のドレス。
貴族だった時に着ていたものとは雲泥の差ではあるが、平民なら喜ぶそのドレスは、何度も使用されているらしく、くたっとしている。
「貴女は生娘ではないのか?」
裸に剥かれて叫び声すらあげないアメリに男は不満そうだ。
「私は生娘ではないわ。」
真実を告げると逃がしてくれるかと思ったが、そうではなかった。
あの気持ち悪い笑顔を張り付けて、「なら、私が確認しても構わないな。」と言い、ドレスを丁寧に脱がせると、アメリの上に跨った。
さっきは突然のことで、叫び声が上げられなかったものの、今はようやく声が出た。
でも、誰も助けには来ない。男はアメリの絶望の表情を見てニヤニヤ笑うと、呟いた。
「確かに、男を煽る悲鳴は中々だ。これは期待できるぞ。生娘は、泣き叫ぶばかりで詰まらん。お前は、神の子として、最高の稼ぎ頭となるだろう。」
どれだけ叫んでも誰かがくることはなく、そのまま、男の好き放題にされたアメリは力なく床に寝かされている。
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アメリは神の子に認定された、と男は口にした。神の子とは、何なのだろう。
牢にずっと入っていると、毎日ではないが、司祭のような男達が中を覗いてくることがあった。まるで肉食獣が、獲物を狙うみたいに舌なめずりをしているような錯覚に陥る。
それに加えて、司祭によく似た男は毎日のように、牢に現れ、乱暴にアメリを抱いた。その頃にはいくら抵抗しても無駄だと思うようになっていた。それでも抵抗しないのは、嫌だったので、抵抗し続けると、男は満足だったらしく、アメリの思いとは裏腹に彼女を大切にし始めたのだった。
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