9 / 16
壊れたらまた次を
しおりを挟む
「それで、わざわざどうされたので?」
イーサンは出された紅茶の香りを楽しんで、一口飲んだ。普通の紅茶だ。何か頼み事があるらしいので、殺す為の毒ではなく、こちらが何でもいうことを聞く系の何かが入っているのでは?と魔道具を仕込んでいたのだが、反応はない。
「貴女、次の王太子になる気はない?」
イーサンの王位継承権は公爵家に向かった時に剥奪されている。王妃の話によると、今の今までなんと、王妃の裁量で留められていたらしい。
「今は、大人しく勉強をなさっているのでしょう?その努力を無になさるおつもりで?」
いつもは堂々とした態度なのに、イーサンの前だと儚げでオドオドした態度を取る王妃をイーサンは昔から好きになれなかった。アイリスに対しての態度と、まるで違う。
「あれが、使い物になるかどうかはわからないわ。」
魔道具を使われることのない王妃は、話には聞いていても、あれがどういう代物かわかっていないらしい。念には念を、と本来なら自分の夫より継承順位は上のイーサンを取り込もうとしている。
「壊れたら次を、ということですか。その際もし挿げ替えるならば、ジェイミー達ではなく、貴女達では?それに元はと言えば、ピアスの効果を過信して、彼をあんな風に育ててしまったのはそちら側の責任です。そのために、犠牲を強いてきた者に、今更虫の良い話です。」
「あの子を奪ったのだから、それほどの義務は生じるはずよ。あの子は私が完璧な教育を施した最高傑作なのよ。」
「アイリスは貴女のおもちゃではありません。お人形遊びはもう卒業したら如何です?それに論点がズレていますよ。アイリスは返してもらったんですよ。奪ったのはそちらです。」
それに、付け加えるならば、アイリスをどうしても欲しかったそもそもの原因は王妃にある。それが侍女に強く出られない理由でもあり、こちらに恥知らずな願いを口にする訳でもある。
「人払いを、とは思いますが、まあ良いですね。」
ここにはイーサンを睨みつける者しかいない。皆が敵対の立場を取るのなら、こちらが気遣う必要もない。
「ジェイミーは貴女の子ではありませんね。だから、王家の血は全く入っていない。」
驚いた顔を見せて、王妃は黙ってしまった。イーサンはまさかばれていないと思っていたとは心外だった。
「いいえ、ジェイミー王太子殿下は王妃様の御子です。」
話に勝手に割り込んできたのは、やはりあの侍女。あれが本当の母親か?いや、関係者か?
本来なら無作法な行為を咎めるのだが、彼女がうっかり何かを口走るのでは、と黙ってみることにした。
「よりにもよって、王妃様の不貞を疑うなんて」
ん?何でそうなる?
「いやいやいや、違うよ。不貞だろうが何だろうが、王妃様が産んでいたら問題はないんだ。王妃様の子ならね。今の問題は、王妃様が産んでいない子が王太子にはなれないよね、って話だよ。論点をずらして、煙に巻こうとしないで。もう全てわかっているんだよ。」
侍女に反論も反抗も出来なかった少年時代。こんな驚いた侍女の顔を拝めるなんて思わなかった。
「それで?本物は、君が殺したの?」
大方、王妃の産んだ子は死産で、たまたま生まれたばかりの子を身代わりに据えた、とかいう筋書きだろうが、甘いんだよ。そんな偶然があってたまるか。
「王妃の子を殺したなら重罪だよ?」
王妃は気がついていなかったのか、目を大きく開いて、侍女を見た。イーサンを憎みすぎて歪んだ顔で全てを物語っている。
「どうされたいですか?」
王妃に向き直り、意思の確認をする。おそらく、王妃は何も知らなかった。うまく誤魔化されていたのだろう。
だからといって、彼女の罪がなくなる訳ではないけれど。
イーサンは出された紅茶の香りを楽しんで、一口飲んだ。普通の紅茶だ。何か頼み事があるらしいので、殺す為の毒ではなく、こちらが何でもいうことを聞く系の何かが入っているのでは?と魔道具を仕込んでいたのだが、反応はない。
「貴女、次の王太子になる気はない?」
イーサンの王位継承権は公爵家に向かった時に剥奪されている。王妃の話によると、今の今までなんと、王妃の裁量で留められていたらしい。
「今は、大人しく勉強をなさっているのでしょう?その努力を無になさるおつもりで?」
いつもは堂々とした態度なのに、イーサンの前だと儚げでオドオドした態度を取る王妃をイーサンは昔から好きになれなかった。アイリスに対しての態度と、まるで違う。
「あれが、使い物になるかどうかはわからないわ。」
魔道具を使われることのない王妃は、話には聞いていても、あれがどういう代物かわかっていないらしい。念には念を、と本来なら自分の夫より継承順位は上のイーサンを取り込もうとしている。
「壊れたら次を、ということですか。その際もし挿げ替えるならば、ジェイミー達ではなく、貴女達では?それに元はと言えば、ピアスの効果を過信して、彼をあんな風に育ててしまったのはそちら側の責任です。そのために、犠牲を強いてきた者に、今更虫の良い話です。」
「あの子を奪ったのだから、それほどの義務は生じるはずよ。あの子は私が完璧な教育を施した最高傑作なのよ。」
「アイリスは貴女のおもちゃではありません。お人形遊びはもう卒業したら如何です?それに論点がズレていますよ。アイリスは返してもらったんですよ。奪ったのはそちらです。」
それに、付け加えるならば、アイリスをどうしても欲しかったそもそもの原因は王妃にある。それが侍女に強く出られない理由でもあり、こちらに恥知らずな願いを口にする訳でもある。
「人払いを、とは思いますが、まあ良いですね。」
ここにはイーサンを睨みつける者しかいない。皆が敵対の立場を取るのなら、こちらが気遣う必要もない。
「ジェイミーは貴女の子ではありませんね。だから、王家の血は全く入っていない。」
驚いた顔を見せて、王妃は黙ってしまった。イーサンはまさかばれていないと思っていたとは心外だった。
「いいえ、ジェイミー王太子殿下は王妃様の御子です。」
話に勝手に割り込んできたのは、やはりあの侍女。あれが本当の母親か?いや、関係者か?
本来なら無作法な行為を咎めるのだが、彼女がうっかり何かを口走るのでは、と黙ってみることにした。
「よりにもよって、王妃様の不貞を疑うなんて」
ん?何でそうなる?
「いやいやいや、違うよ。不貞だろうが何だろうが、王妃様が産んでいたら問題はないんだ。王妃様の子ならね。今の問題は、王妃様が産んでいない子が王太子にはなれないよね、って話だよ。論点をずらして、煙に巻こうとしないで。もう全てわかっているんだよ。」
侍女に反論も反抗も出来なかった少年時代。こんな驚いた侍女の顔を拝めるなんて思わなかった。
「それで?本物は、君が殺したの?」
大方、王妃の産んだ子は死産で、たまたま生まれたばかりの子を身代わりに据えた、とかいう筋書きだろうが、甘いんだよ。そんな偶然があってたまるか。
「王妃の子を殺したなら重罪だよ?」
王妃は気がついていなかったのか、目を大きく開いて、侍女を見た。イーサンを憎みすぎて歪んだ顔で全てを物語っている。
「どうされたいですか?」
王妃に向き直り、意思の確認をする。おそらく、王妃は何も知らなかった。うまく誤魔化されていたのだろう。
だからといって、彼女の罪がなくなる訳ではないけれど。
749
あなたにおすすめの小説
覚悟はありますか?
翔王(とわ)
恋愛
私は王太子の婚約者として10年以上すぎ、王太子妃教育も終わり、学園卒業後に結婚し王妃教育が始まる間近に1人の令嬢が発した言葉で王族貴族社会が荒れた……。
「あたし、王太子妃になりたいんですぅ。」
ご都合主義な創作作品です。
異世界版ギャル風な感じの話し方も混じりますのでご了承ください。
恋愛カテゴリーにしてますが、恋愛要素は薄めです。
元婚約者が愛おしい
碧井 汐桜香
恋愛
いつも笑顔で支えてくれた婚約者アマリルがいるのに、相談もなく海外留学を決めたフラン王子。
留学先の隣国で、平民リーシャに惹かれていく。
フラン王子の親友であり、大国の王子であるステファン王子が止めるも、アマリルを捨て、リーシャと婚約する。
リーシャの本性や様々な者の策略を知ったフラン王子。アマリルのことを思い出して後悔するが、もう遅かったのだった。
フラン王子目線の物語です。
【完結】好きでもない私とは婚約解消してください
里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。
そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。
婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧井 汐桜香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる