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元妻 ミシェル
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お久しぶりです、元旦那様。本当に来るのが大変遅くなり、随分とお待たせしてしまいましたね。すみませんでした。
あの傍迷惑な宝物事件に始まり、伯爵家に潜んでいたダニ退治が漸く叶いましたので、本日はその報告です。
ご要望通り、お爺様の遺品は、ちゃんと正当な後継者にお渡し致しました。長年、伯爵家にのさばっては私腹を肥やしていた使用人もこの機会に捕まえることが出来ました。
貴方の遺した文書の通りに差配しましたが、これで本当に良かったのかは疑問が残ります。
私がウィリアムを妊娠中に、貴方と私の間には少しの隙間ができました。貴方の遺書によるとそれは意図したものとは少し違ったとありましたが、それが元で貴方が命を落とすことになったのであれば、少し悔いが残るのです。
貴方のことをただの女好きだと誤解していたぐらいが私はまだ幸せだったのだと思います。
貴方の愛人について、ですが、平民の方々は、盗みの罰は受けましたが、それだけで命も取られず、彼らに捕まることもなく、逃げ切っております。
何人かの貴族の方は、修道院にて、身柄を保護されており、人質に取られたりはしておりません。
ライラ嬢は救うことができませんでしたが、クロエ嬢は、ユーゴという男と共に捕まえることが出来ました。私は今までライラ嬢がクロエ嬢を裏の世界へ引き摺り込んだとばかり思っていたのですが、そうではなく、全くの反対だったのですね。クロエ嬢が結婚しようとしていた相手は、ライラ嬢の愛する人だったのだと聞いて、驚いています。ライラ嬢を思い通りに動かすための人質だったと聞いて、本当に胸が痛くなりました。
旦那様はいつも、ライラ嬢と共にいらっしゃいましたが、アレは相互監視のような状態だったのでしょうか。その割にライラ嬢には黄色が似合うと、黄色のカーネーションを送っていましたから、私にも二人の仲は甘いものではないのだと理解したのです。
とはいえ、貴方がロクデナシだったことは事実として、過去は変えられませんから。子ができて、今までの自分の生き方を改めたと、知っているのは私とエルナぐらいです。
貴方が冬の日に置き去りにして殺したとされている家令の娘は、実はそうではありませんでした。すぐに助けられ一命を取り留めた彼女を母親毎湖に落として死に至らしめたのは、家令本人でした。貴方がそのことを盾にジョセフに脅されていたこと。死の真相を知った上で、貴方を追い詰めたライラ嬢を、私はやっぱり許せなかったので、彼女を助けられなかったことに後悔はありません。
そして、使用人の一人につきましては、前家令を心中に見せかけて殺害したことを認めましたので、一緒に捕縛してもらった次第です。
彼に至っては、昔からギャンブル依存になっていたこと。ザビ家の妹が姉を殺したことをネタにお金を強請っていたことから、前家令の犯行に気がつき、揉めたそうです。
ザビ家の姉と前の家令は不倫の間柄にありました。前家令は女癖が悪く姉ばかりか妹にまで手を出していました。同じ愛人なら子を産んだ方が正妻に近いと、妹は母子共々の殺害を画策します。恐ろしいことにその計画に前家令は少しの躊躇なく、乗りました。ザビ家は双子の妹ばかりを可愛がっていましたから、姉を虐げても特に文句はなかったようです。
こう言っては何ですが、皆がそれぞれに幸せになることはこうも難しいのでしょうか。
ああ、それと、忘れていました。
実は、ジョセフさん以外にも、伯爵家の庭に何かを埋めた人がいましてね。
大金の入った袋を何重にも梱包して、花壇に隠したそうなんです。
それがなくなって半狂乱になったそうなのですが、身近に宝くじが当たった人などいませんよね。
どう言った方法で何のために貯めた大金かは、多分すぐにでもわかるでしょう。また分かり次第、報告に来ますわね。
それでは、ご機嫌よう。安らかに。元旦那様。
あの傍迷惑な宝物事件に始まり、伯爵家に潜んでいたダニ退治が漸く叶いましたので、本日はその報告です。
ご要望通り、お爺様の遺品は、ちゃんと正当な後継者にお渡し致しました。長年、伯爵家にのさばっては私腹を肥やしていた使用人もこの機会に捕まえることが出来ました。
貴方の遺した文書の通りに差配しましたが、これで本当に良かったのかは疑問が残ります。
私がウィリアムを妊娠中に、貴方と私の間には少しの隙間ができました。貴方の遺書によるとそれは意図したものとは少し違ったとありましたが、それが元で貴方が命を落とすことになったのであれば、少し悔いが残るのです。
貴方のことをただの女好きだと誤解していたぐらいが私はまだ幸せだったのだと思います。
貴方の愛人について、ですが、平民の方々は、盗みの罰は受けましたが、それだけで命も取られず、彼らに捕まることもなく、逃げ切っております。
何人かの貴族の方は、修道院にて、身柄を保護されており、人質に取られたりはしておりません。
ライラ嬢は救うことができませんでしたが、クロエ嬢は、ユーゴという男と共に捕まえることが出来ました。私は今までライラ嬢がクロエ嬢を裏の世界へ引き摺り込んだとばかり思っていたのですが、そうではなく、全くの反対だったのですね。クロエ嬢が結婚しようとしていた相手は、ライラ嬢の愛する人だったのだと聞いて、驚いています。ライラ嬢を思い通りに動かすための人質だったと聞いて、本当に胸が痛くなりました。
旦那様はいつも、ライラ嬢と共にいらっしゃいましたが、アレは相互監視のような状態だったのでしょうか。その割にライラ嬢には黄色が似合うと、黄色のカーネーションを送っていましたから、私にも二人の仲は甘いものではないのだと理解したのです。
とはいえ、貴方がロクデナシだったことは事実として、過去は変えられませんから。子ができて、今までの自分の生き方を改めたと、知っているのは私とエルナぐらいです。
貴方が冬の日に置き去りにして殺したとされている家令の娘は、実はそうではありませんでした。すぐに助けられ一命を取り留めた彼女を母親毎湖に落として死に至らしめたのは、家令本人でした。貴方がそのことを盾にジョセフに脅されていたこと。死の真相を知った上で、貴方を追い詰めたライラ嬢を、私はやっぱり許せなかったので、彼女を助けられなかったことに後悔はありません。
そして、使用人の一人につきましては、前家令を心中に見せかけて殺害したことを認めましたので、一緒に捕縛してもらった次第です。
彼に至っては、昔からギャンブル依存になっていたこと。ザビ家の妹が姉を殺したことをネタにお金を強請っていたことから、前家令の犯行に気がつき、揉めたそうです。
ザビ家の姉と前の家令は不倫の間柄にありました。前家令は女癖が悪く姉ばかりか妹にまで手を出していました。同じ愛人なら子を産んだ方が正妻に近いと、妹は母子共々の殺害を画策します。恐ろしいことにその計画に前家令は少しの躊躇なく、乗りました。ザビ家は双子の妹ばかりを可愛がっていましたから、姉を虐げても特に文句はなかったようです。
こう言っては何ですが、皆がそれぞれに幸せになることはこうも難しいのでしょうか。
ああ、それと、忘れていました。
実は、ジョセフさん以外にも、伯爵家の庭に何かを埋めた人がいましてね。
大金の入った袋を何重にも梱包して、花壇に隠したそうなんです。
それがなくなって半狂乱になったそうなのですが、身近に宝くじが当たった人などいませんよね。
どう言った方法で何のために貯めた大金かは、多分すぐにでもわかるでしょう。また分かり次第、報告に来ますわね。
それでは、ご機嫌よう。安らかに。元旦那様。
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