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元妻 ミシェル
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お久しぶりです、元旦那様。
時が経つのは早いもので、私達の息子ウィリアムが伯爵になりました。貴方を失ってから慣れないながらも試行錯誤を経て代理をしてきましたが、貴方から受け継いだ場所を正式に息子に渡すことが出来てホッとしています。
貴方は驚くかもしれないけれど、実はダニエルとは籍をいれていないの。私が彼の妻になってしまうと、伯爵家にはもう居られないから。ウィリアムに会えないこともだけど、それ以前に貴方の居た屋敷を離れる決意が出来なくて。
もういい歳なのに、若い子みたいなことを言うなと思われそうで恥ずかしいわ。
そうそう。前に伝え忘れていた隠されていた大金の犯人は貴方のお父上よ。意外でしょう?
と言うより埋めたのは、お母様の方ね。愛人に貢ぐためのお金、所謂へそくりね。それを偶々見つけたお母様が、隠し場所を勝手に変えた、と言う話ね。
結局、お金はもう二度と、出ては来なかったけれど、もう愛人の方とは手を切ったようだし、今では仲睦まじくお二人で過ごされているわ。
二人を見ていると、旦那様が亡くなっていなければ、と思うことがあるわ。今更言っても仕方ないのだけれど。
貴方が私達家族を巻き込まないように考えてくれたことに不満などはないのよ?だけど、もう少し貴方と一緒に年を取って行きたかったと思うの。
貴方はいつも、ダニエルやら他の男性が私の側にいるのを気にしていたけれど、人助けとはいえ、私だってライラ嬢の姿を見るたびに複雑な思いを抱いていたのよ。
貴方の愛人と言われた人達と貴方はそんな関係ではなかったけれど、それでも貴方の側に居られる彼女達に嫉妬したことも一度や二度じゃないわ。
旦那様、覚えている?私達が初めて出会った日のこと。婚約が決まったのは随分と先のことになったけれど、私はあの時から何故か予感があったのよ。
貴方の子を産むんじゃないか、って。
私は自分の人生を後悔していないわ。願わくはもう少しだけ貴方に長生きしてもらいたかったってことだけ。
ウィリアムは片親ということを鑑みても良くぞまあこんなにまともに成長したものだと、感心すらしています。
ねぇ、旦那様。あの子は物心がついた頃にはすでに貴方がいなかったというのに、考え事をしている時の仕草や寝転んだ時の背中や、ウキウキしている時の目の表情がとても貴方に似ているの。
一目だけでもせめてあの子と会って欲しかった。貴方への恨みつらみがあるならばこれぐらいかしら。旦那様、あちらの世界で罪を精算できたら、次こそは家族水入らずで過ごしましょうね。
終わり
読んでいただきありがとうございました!えーと、ちょっと伝わりにくかったかな、と思ったので補足です。
最初のエルナからの使用人の話には少しずつ旦那様相手なら簡単にわかる嘘が散りばめられていて、最終的に全てを鵜呑みにした相手が旦那様の偽物であることがわかる、という仕掛けでした。
使用人の中にも奥様、旦那様の敵と味方に分かれていたので、それでなんとなくこうなのかな、と思っていただけると、ありがたいです。 mios
時が経つのは早いもので、私達の息子ウィリアムが伯爵になりました。貴方を失ってから慣れないながらも試行錯誤を経て代理をしてきましたが、貴方から受け継いだ場所を正式に息子に渡すことが出来てホッとしています。
貴方は驚くかもしれないけれど、実はダニエルとは籍をいれていないの。私が彼の妻になってしまうと、伯爵家にはもう居られないから。ウィリアムに会えないこともだけど、それ以前に貴方の居た屋敷を離れる決意が出来なくて。
もういい歳なのに、若い子みたいなことを言うなと思われそうで恥ずかしいわ。
そうそう。前に伝え忘れていた隠されていた大金の犯人は貴方のお父上よ。意外でしょう?
と言うより埋めたのは、お母様の方ね。愛人に貢ぐためのお金、所謂へそくりね。それを偶々見つけたお母様が、隠し場所を勝手に変えた、と言う話ね。
結局、お金はもう二度と、出ては来なかったけれど、もう愛人の方とは手を切ったようだし、今では仲睦まじくお二人で過ごされているわ。
二人を見ていると、旦那様が亡くなっていなければ、と思うことがあるわ。今更言っても仕方ないのだけれど。
貴方が私達家族を巻き込まないように考えてくれたことに不満などはないのよ?だけど、もう少し貴方と一緒に年を取って行きたかったと思うの。
貴方はいつも、ダニエルやら他の男性が私の側にいるのを気にしていたけれど、人助けとはいえ、私だってライラ嬢の姿を見るたびに複雑な思いを抱いていたのよ。
貴方の愛人と言われた人達と貴方はそんな関係ではなかったけれど、それでも貴方の側に居られる彼女達に嫉妬したことも一度や二度じゃないわ。
旦那様、覚えている?私達が初めて出会った日のこと。婚約が決まったのは随分と先のことになったけれど、私はあの時から何故か予感があったのよ。
貴方の子を産むんじゃないか、って。
私は自分の人生を後悔していないわ。願わくはもう少しだけ貴方に長生きしてもらいたかったってことだけ。
ウィリアムは片親ということを鑑みても良くぞまあこんなにまともに成長したものだと、感心すらしています。
ねぇ、旦那様。あの子は物心がついた頃にはすでに貴方がいなかったというのに、考え事をしている時の仕草や寝転んだ時の背中や、ウキウキしている時の目の表情がとても貴方に似ているの。
一目だけでもせめてあの子と会って欲しかった。貴方への恨みつらみがあるならばこれぐらいかしら。旦那様、あちらの世界で罪を精算できたら、次こそは家族水入らずで過ごしましょうね。
終わり
読んでいただきありがとうございました!えーと、ちょっと伝わりにくかったかな、と思ったので補足です。
最初のエルナからの使用人の話には少しずつ旦那様相手なら簡単にわかる嘘が散りばめられていて、最終的に全てを鵜呑みにした相手が旦那様の偽物であることがわかる、という仕掛けでした。
使用人の中にも奥様、旦那様の敵と味方に分かれていたので、それでなんとなくこうなのかな、と思っていただけると、ありがたいです。 mios
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