美少年は男嫌い

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母(隼人)

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光とお姉さんが話している横でもらい泣きしていると、携帯が鳴る。
断って、電話に出ると、制服とあと必要なものを取りに来い、と言う。

は?なんで。

母が帰ってきたのは、失恋したからではなくて、うちで、彼氏と住むから、邪魔だと言うわけだ。今度はちゃんとしてるのだろうか、と考えて、愚問だと思った。ちゃんとしてる人なら、息子を追い出したりはしない。

ああ、やっぱり勝手だな。

でも、一緒に住むのも嫌だ。
荷物を取りに戻る。光にお願いして、何日か泊めてもらおう。

荷物は家の前に一式置いてあった。
こんな物か。自分の荷物の少なさに驚く。今更だけど。
光の所もそうだけど、うちも相当おかしな家だな。

まぁ、もういいか。

荷物とともに戻ってきた俺を見て光が嬉しそうな顔をした。

「ようこそ。」
光は、母のことを何も聞かなかった。
単に俺が一緒にいるのが嬉しいみたい。

俺が腐らず、まあ、いいかと思えたのは、きっと光のおかげだ。

光の部屋は、何もない。
生活感がない。テレビもない。
ベッドとテーブルだけのシンプルな部屋。着替えもあまりないのか、もたないようにしているのかわからないが、綺麗な部屋だった。端の方に持ってきた荷物を置かせてもらう。初めて来たのに、当然のように上がり込む自分も大概だと思った。

勝手に冷蔵庫をあける。ずっとうちに泊まっていたから、当然なのだが食材とか食べられそうなものがない。

「買い物行くか。」呟くと、一緒に行こうと用意をし始める。
外は暗くなり始めたところだった。

上着を出そうとして、荷物を解くと、中から封筒が出てきた。2万円入っている。これで何をしたら良いやら。この金額は何を想定してのもの?我が母ながら、思考がよくわからない。

つくづく、バイト代があって良かった。バイトしていて良かった。光がいてくれて良かった。と思う。

2万円は、封筒に入れ直して、財布と、エコバッグをもつ。袋にお金は払いたくない。家を出ると、自然に光の手を握る。特に嫌がらないのをいいことに、そのまま歩くと光はされるがまま付いてきた。

スーパーについて、カゴを持つために手を離すと、光が真っ赤な顔をして立っていた。

「お前、どうした?風邪か?」
顔を覗き込むと、手で、隠された。しかも何かちょっと怒ってるし、俺なんかしたか?

「なんか食べたいもの、あるか?」
顔を手で仰いでいた光に声をかけると、もう怒ってないようで、元気よく「肉!」と叫んだ。

安くて噛み応えのありそうな肉を買う。高校生男子二人の食事量なんて、舐めたら痛い目を見る。食欲は無限でも、お金は有限だ。

やりくりは得意だから、悲観はしていないのだが。





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