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ある日、教師がいなくなった

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第二王子リカルドの側には護衛がいる。彼はエレーナの従兄で幼い頃は遊び相手にもなってくれていた。第二王子リカルドとエレーナが婚約し、リカルドと疎遠になると、当然彼とも疎遠になった。彼はある日、エレーナにミリアを虐めるのはよせ、と見当違いの怒りを向けて来たことがあった。

そもそも彼女とエレーナの間には何もない。教室も違うし、学んでいることだって違う。休み時間すら異なるエレーナがどうやって彼女に虐めをするのか。

「それは誰かにやらせれば良い話だ。」

エレーナは従兄が馬鹿になってしまったことを残念に思う。彼の妹弟はとても良い子なのに。エレーナは従兄の馬鹿さ加減に飽き飽きして、調査書を大切に取っておくことにした。

中庭がなくなって困った彼らは、教師に頼んで手に入れた鍵を使って、空き教室を貸切にした。

リカルドがいる時には護衛として、リカルドがいない時にはミリアと二人で。リカルドの護衛なのに、ミリアと不貞なんて、エレーナは従兄が仕事を疎かにしていることに失望した。


「あんなの、護衛として役に立っていないのだから、外して仕舞えば良いのに。」

エレーナは思っていたことがうっかり口から出てしまったのかと驚いて口を塞いだ。だが、それは自分が発した言葉ではなかった。

エレーナの親友で、侯爵令嬢のアンナリーゼは、従兄との縁談の話が持ち上がったこともあるが、その頃から彼女は彼を「頭の固そうな男」と表現しており、縁談が纏まることはなかった。

「真面目だけが取り柄な男が真面目じゃなくなったら何が残るのか?家柄を使いたいのなら義務ぐらいは最低限果たさなきゃ。」

彼女の言葉はエレーナにも突き刺さる。形だけの護衛に形だけの婚約者。役目を果たせていないところは不本意ながら自分もよく似た立場である。

「因みに、ミリア嬢って彼らの他に少なくとも三人は関係を持っている男がいるそうよ。よくやるわよね。」

その内の一人に、空き教室を融通してくれた教師がいるのだと言う。

「彼の方はどちらかというと変なことをしないように問題児を見張っている感覚だろうけれど、ほらあの先生、見た目が良いって人気でしょう?だからミリア嬢は先生を籠絡しようとしているみたい。」

他の人といちゃついていることを見せつけて、どう仲良くなろうって言うのだろう。ミリアのやることはエレーナにはよくわからない。わかりたくもないけれど、婚約者はとんでもない女性に籠絡されたのだと呆れた。


「世界を滅ぼすボタン」はまだあった。夢の中、エレーナは知らない人にまた新しいボタンを押すか迫られていた。

次の選択肢は二つ。要らないものを排除するか否か。

勿論、するを選択し、エレーナはそれからの記憶がない。寝て起きたらスッキリして、よく眠れたようだ。

次の日、婚約者の側に、従兄の姿はなく、教師が解雇されたことを知った。

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