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ある日、その護衛は要らなくなった
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エレーナの従兄ダリオは、リカルドの側近をクビになった。学園の教師を殴りつけたことで謹慎になったからだ。
ミリアに会いに行った先で彼女に覆い被さる怪しげな男を見つけたから殴ったら、教師だった。ミリアは何故か向こうを庇うし、大きな音がしたことでダリオがリカルドの側を自らの意思で勝手に離れたことが明るみになってしまった。
リカルドはリカルドでダリオを庇うことはせずにミリアの言葉のみを聞いては神妙そうな顔をしている。だがダリオは知っている。リカルドはあの顔をしている時、大したことを考えていない。ただ難しい顔をして、時間稼ぎをしている。その内、勝手に進言する者が現れて、その案に乗ることで、自分の体面を保っているにすぎない。
リカルドがいつまで待っても、その日は彼らに進言する者はいなかった。エレーナはその場にいなかったし、ダリオ以外の側近など公爵家に婿入り予定のリカルドには用意されていない。
あえて言うなら生徒会の面々がこれまでは気を利かせてくれていたのだが、その彼らも、近づいて来ないのだ。
彼らはこちらを遠くから一瞥すると、警備の男達を呼び、ダリオを摘み出す。生徒会の中にはダリオの妹であるアリシアがいたが、此方を見ようともしない。アリシアは二言三言ミリアと話をすると彼女を何処かに案内して行く。教師もダリオと同じように警備に連れて行かれて何も知らないリカルドだけがその場に残された。
彼は難しい顔をしたままだったが、誰一人としてそこに触れる人もなく、放置された。
ダリオは結局、リカルドがその後どうなったのか知りようもなかった。彼はそのまま家に帰らされ、謹慎となったからだ。リカルドの婚約者であるエレーナの従兄であったから卒業後も護衛として働かせて貰うと言う約束の元、ダリオはその地位を与えられていた。
ならばリカルドにエレーナ以外の羽虫が近づこうものなら身を挺してでも止めなければならない。それがダリオが取れる最低限の行動だった。
なのに、蓋を開けると、そもそもの話。婿入り先の婚約者ではないどこかの馬の骨、いや羽虫を払うどころか囲い込み、将来の就職先である公爵家のご令嬢に説教するなど、何様だ、と言われても仕方ない。
ダリオは謹慎ばかりに頭が向いていたが、卒業後の就職先を失っていることには気づいておらず、その為、謹慎が明けても学園に通う必要もなくなった。
従兄のよしみでエレーナに取り継いでもらうにも、断られる始末。
学園に通っていないダリオにミリアが心配して様子を見に来ることもない。ミリアにとってダリオは少し顔が良いだけの勘違い男で、お気に入りの教師を追い出したことで逆恨みをしていたのである。
そして、リカルドの周りには目に見える護衛がいなくなった。
ミリアに会いに行った先で彼女に覆い被さる怪しげな男を見つけたから殴ったら、教師だった。ミリアは何故か向こうを庇うし、大きな音がしたことでダリオがリカルドの側を自らの意思で勝手に離れたことが明るみになってしまった。
リカルドはリカルドでダリオを庇うことはせずにミリアの言葉のみを聞いては神妙そうな顔をしている。だがダリオは知っている。リカルドはあの顔をしている時、大したことを考えていない。ただ難しい顔をして、時間稼ぎをしている。その内、勝手に進言する者が現れて、その案に乗ることで、自分の体面を保っているにすぎない。
リカルドがいつまで待っても、その日は彼らに進言する者はいなかった。エレーナはその場にいなかったし、ダリオ以外の側近など公爵家に婿入り予定のリカルドには用意されていない。
あえて言うなら生徒会の面々がこれまでは気を利かせてくれていたのだが、その彼らも、近づいて来ないのだ。
彼らはこちらを遠くから一瞥すると、警備の男達を呼び、ダリオを摘み出す。生徒会の中にはダリオの妹であるアリシアがいたが、此方を見ようともしない。アリシアは二言三言ミリアと話をすると彼女を何処かに案内して行く。教師もダリオと同じように警備に連れて行かれて何も知らないリカルドだけがその場に残された。
彼は難しい顔をしたままだったが、誰一人としてそこに触れる人もなく、放置された。
ダリオは結局、リカルドがその後どうなったのか知りようもなかった。彼はそのまま家に帰らされ、謹慎となったからだ。リカルドの婚約者であるエレーナの従兄であったから卒業後も護衛として働かせて貰うと言う約束の元、ダリオはその地位を与えられていた。
ならばリカルドにエレーナ以外の羽虫が近づこうものなら身を挺してでも止めなければならない。それがダリオが取れる最低限の行動だった。
なのに、蓋を開けると、そもそもの話。婿入り先の婚約者ではないどこかの馬の骨、いや羽虫を払うどころか囲い込み、将来の就職先である公爵家のご令嬢に説教するなど、何様だ、と言われても仕方ない。
ダリオは謹慎ばかりに頭が向いていたが、卒業後の就職先を失っていることには気づいておらず、その為、謹慎が明けても学園に通う必要もなくなった。
従兄のよしみでエレーナに取り継いでもらうにも、断られる始末。
学園に通っていないダリオにミリアが心配して様子を見に来ることもない。ミリアにとってダリオは少し顔が良いだけの勘違い男で、お気に入りの教師を追い出したことで逆恨みをしていたのである。
そして、リカルドの周りには目に見える護衛がいなくなった。
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