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二度目の合流
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「幻術ではないんだけどね。どちらかと言うと君達の方が色々とくっついてるんだよ。知らないだろうけど。」
船の中で横になっていたら、いつのまにか眠ってしまったベアトリスが目覚めると、既に事は終わっていた。船は豪華客船で、他にも各国の貴族や、裕福な平民が旅を楽しんでいる。互いに事情を探ることもないため、安全だと言う。
アルフレッドとクリス、ベアトリスらは食事を楽しんだあと、クリスの部屋で事情を聞くことになった。
彼の部屋も広いが、何か違和感を感じると眺めていると、空間が揺れて、新しい部屋が一つ出てきた。
クリスはベアトリスの様子を楽しんでいるように見える。
「こちらで話そう。絶対に邪魔されたくはないからね。」
得体の知れない部屋だと言うのに、公爵家の護衛は安全だと頷いた。彼のことは全面的に信用しているため、言われたとおりにする。
彼が、こう言うのなら、多分普通の部屋なら危険だと言うことだ。もしかしたら、他の客の中に、不穏分子が隠れていたのかもしれない。部屋の中に入り、扉を閉めると、内緒話には最適な部屋が出来上がった。
「さて、ではまず、脱出おめでとう!皆様は無事女神の加護から逃れられましたことをお喜び申し上げます。」
クリスが大袈裟な態度で、舞台に上がっている役者のように、宣言した。
ベアトリスらは、王妃教育において、女神の加護の話を聞いたことはあるが、真実を知っていたのではないらしい。含みのある物言いに、不穏な影を感じ、彼女らの表情が固くなった。
「その様子なら女神の加護について、真実は教えて貰ってないみたいだね。」
アルフレッドは、鞄から資料を取り出し、彼女らの目の前に置いた。
「読み終えたら勝手に燃えますので。火は燃え移らないので、安心してください。」
荷物をあまり持って来れなかったのではないか、という心配は杞憂に終わった。その資料には私達の知らない女神の加護について、書いてあった。私達が知らないのも無理はない。最初からこの内容を話していたなら、王妃になりたい、とは誰も言わないだろう。
「この力は王家になくてはならない力ではないですよね。」
毎回王妃にだけ受け継がれ、最後には身を滅ぼしかねない大きな力。だいたい、王様の方に引き継がれないのは何故ですか。
「王には受け入れる器がないからだ。女神の逆鱗に触れ、器がなくなったんだ。」
「その昔、国は聖なる乙女と、国王と王妃で治めていた。女神のお気に入りの乙女は、清らかで何にも穢されない。今から思うとその頃加護を受けていたのは、この乙女で、王妃ではなかった。
ある日王達は欲を出し、乙女を王家に取り込もうとした。王子の婚約者にでもしたんだろう。そのまますんなりと結婚して、大切にすれば、何もなく、平和に過ごせたのに、そうはならなかった。王子は公務や、面倒なことを全て王妃となった乙女に任せて、遊び歩いた。乙女が亡くなった後、加護を受け取る少女が現れず、緊急措置として、その役割を担ったのは、王妃だった。
王妃は自らが加護を受け取りながら、乙女に対する態度を反省した。こんなにひどい話だと聞いていなかったから。ただ王は反省しないどころか、これがあるべき姿である、と開き直った。
だから、女神は王に何の権限も持たせないことにした。
それからずっと王は傀儡で、王妃に莫大な加護を授けられるようになった。
力が莫大でそれが王妃の体を蝕むのに、何故それを緩めないのか、それは、未だに女神が王家を許してないからだ。とここまでが古い伝承である。」
アルフレッドは言葉を一旦切ると、ヘラヘラした笑顔を隠した。
「今まで貴女達は、女神の加護を内緒で一方的に与えられ続けていました。莫大な加護を王妃様お一人で受けることができなかったからです。それにより、副作用が生じていました。何かわかりますか?」
アリーチェが手を挙げて、発言する。
「疲れやすいとか、ですか?」
「それも、そうでしょうね。他にはありませんか。今はない昔の体の不調などは。」
ローゼリアと顔を見合わせて、戸惑っていると、クリスが助け舟を出してくれた。
「記憶がない時期や、人を認識できない、などの副作用があります。その中で一番怖いのは、やっぱり寿命が削られるというものです。
何らかの力を無償で貰えることなんてありません。彼ら王家はそのことを失念していたのです。
結論から言いますと、貴女達があのままあの国にいたら数年後には、命を落としていたでしょう。
今の貴女達には加護の力は感じませんが、少し残像を感じます。これを完全に無くすためにはもう少し祖国から離れなければいけません。だから、悪いとは思いますがもう少しだけ移動しますね。この後は、あの方にお会いするまでは、少し騒がしくなると思うので、気を引き締めてください。」
私達の寿命を贄に、国を治めていた、というのは、初めて聞く話で、驚いた。
だが、それよりも何よりも気になるのは、少し騒がしくなると言うところ。まだ何かあるの?
船の中で横になっていたら、いつのまにか眠ってしまったベアトリスが目覚めると、既に事は終わっていた。船は豪華客船で、他にも各国の貴族や、裕福な平民が旅を楽しんでいる。互いに事情を探ることもないため、安全だと言う。
アルフレッドとクリス、ベアトリスらは食事を楽しんだあと、クリスの部屋で事情を聞くことになった。
彼の部屋も広いが、何か違和感を感じると眺めていると、空間が揺れて、新しい部屋が一つ出てきた。
クリスはベアトリスの様子を楽しんでいるように見える。
「こちらで話そう。絶対に邪魔されたくはないからね。」
得体の知れない部屋だと言うのに、公爵家の護衛は安全だと頷いた。彼のことは全面的に信用しているため、言われたとおりにする。
彼が、こう言うのなら、多分普通の部屋なら危険だと言うことだ。もしかしたら、他の客の中に、不穏分子が隠れていたのかもしれない。部屋の中に入り、扉を閉めると、内緒話には最適な部屋が出来上がった。
「さて、ではまず、脱出おめでとう!皆様は無事女神の加護から逃れられましたことをお喜び申し上げます。」
クリスが大袈裟な態度で、舞台に上がっている役者のように、宣言した。
ベアトリスらは、王妃教育において、女神の加護の話を聞いたことはあるが、真実を知っていたのではないらしい。含みのある物言いに、不穏な影を感じ、彼女らの表情が固くなった。
「その様子なら女神の加護について、真実は教えて貰ってないみたいだね。」
アルフレッドは、鞄から資料を取り出し、彼女らの目の前に置いた。
「読み終えたら勝手に燃えますので。火は燃え移らないので、安心してください。」
荷物をあまり持って来れなかったのではないか、という心配は杞憂に終わった。その資料には私達の知らない女神の加護について、書いてあった。私達が知らないのも無理はない。最初からこの内容を話していたなら、王妃になりたい、とは誰も言わないだろう。
「この力は王家になくてはならない力ではないですよね。」
毎回王妃にだけ受け継がれ、最後には身を滅ぼしかねない大きな力。だいたい、王様の方に引き継がれないのは何故ですか。
「王には受け入れる器がないからだ。女神の逆鱗に触れ、器がなくなったんだ。」
「その昔、国は聖なる乙女と、国王と王妃で治めていた。女神のお気に入りの乙女は、清らかで何にも穢されない。今から思うとその頃加護を受けていたのは、この乙女で、王妃ではなかった。
ある日王達は欲を出し、乙女を王家に取り込もうとした。王子の婚約者にでもしたんだろう。そのまますんなりと結婚して、大切にすれば、何もなく、平和に過ごせたのに、そうはならなかった。王子は公務や、面倒なことを全て王妃となった乙女に任せて、遊び歩いた。乙女が亡くなった後、加護を受け取る少女が現れず、緊急措置として、その役割を担ったのは、王妃だった。
王妃は自らが加護を受け取りながら、乙女に対する態度を反省した。こんなにひどい話だと聞いていなかったから。ただ王は反省しないどころか、これがあるべき姿である、と開き直った。
だから、女神は王に何の権限も持たせないことにした。
それからずっと王は傀儡で、王妃に莫大な加護を授けられるようになった。
力が莫大でそれが王妃の体を蝕むのに、何故それを緩めないのか、それは、未だに女神が王家を許してないからだ。とここまでが古い伝承である。」
アルフレッドは言葉を一旦切ると、ヘラヘラした笑顔を隠した。
「今まで貴女達は、女神の加護を内緒で一方的に与えられ続けていました。莫大な加護を王妃様お一人で受けることができなかったからです。それにより、副作用が生じていました。何かわかりますか?」
アリーチェが手を挙げて、発言する。
「疲れやすいとか、ですか?」
「それも、そうでしょうね。他にはありませんか。今はない昔の体の不調などは。」
ローゼリアと顔を見合わせて、戸惑っていると、クリスが助け舟を出してくれた。
「記憶がない時期や、人を認識できない、などの副作用があります。その中で一番怖いのは、やっぱり寿命が削られるというものです。
何らかの力を無償で貰えることなんてありません。彼ら王家はそのことを失念していたのです。
結論から言いますと、貴女達があのままあの国にいたら数年後には、命を落としていたでしょう。
今の貴女達には加護の力は感じませんが、少し残像を感じます。これを完全に無くすためにはもう少し祖国から離れなければいけません。だから、悪いとは思いますがもう少しだけ移動しますね。この後は、あの方にお会いするまでは、少し騒がしくなると思うので、気を引き締めてください。」
私達の寿命を贄に、国を治めていた、というのは、初めて聞く話で、驚いた。
だが、それよりも何よりも気になるのは、少し騒がしくなると言うところ。まだ何かあるの?
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