第二王子の初恋

mios

文字の大きさ
上 下
9 / 20

お誘い

しおりを挟む
*ソフィアの視点です。

第一王子と公爵令嬢の婚約式の話が
届き、国中がお祝いモードに浮かれる中、まことしやかに囁かれている噂がある。

信じるのは、一部の貴族、それも実際に第二王子と公爵令嬢の人となりを知らない貴族だけであろう。

婚約者候補と言えど、他の候補者ほどノア殿下と絡んだことはないにしろ、何度か会えば、そんなに器用なことが出来そうにないことはわかる。

今の王弟殿下といくら似ていても、ノア殿下はノア殿下。全く別の人間だ。


そんなに似てるかしら。


殿下の顔を思い出すが、いつも顔を赤くして、ニコニコしている印象しかない。


剣の訓練の時の凛々しいお姿も素敵だったわ。

以前たまたま居合わせた、訓練での様子を思い出し、顔が赤く染まるのを感じた。

確かにあのお姿は、王弟殿下と通じるものがあるのかしら?

叔父と甥なので、見た目は似ているものの、普段のノア殿下を見慣れているので、不思議な感じがした。


それにしても、婚約式だ。
アルノルト殿下とユーリア公爵令嬢は、
とても美しく、お似合いの最高のカップルだと思う。

幼い頃は、それでも自分とノア殿下の並んだ姿を想像したり、悶えたこともあった。

けれど、他の候補者の方々と楽しそうに話したり、笑いあったりしている様子を見て、そんな日は来ないのだと思った。

私と対面する時はいつも顔が緊張していて話も続かない。それでもこちらを気遣うようなそぶりを見せる。

公爵令嬢のユーリア様に関しては、
一時期マナーの家庭教師の方が、
公爵家と同じ方で、ユーリア様に同じ年の私のことを引き合いに出され、お説教された、と聞いたことがある。

年は同じでも、格下の貴族の田舎娘を
引き合いに出されたら、嫌でしょう。

けれど、それからすぐに
他のお茶会でお会いした時に
感謝され、お会いできて嬉しい、と
仰ってくださったことは、私の宝物だ。

そして、その次に訪れたお茶会で私はノア殿下に初めてお会いした。

初対面の私に「やっぱり綺麗だね、元気だった?」と仰られたけれど、緊張してあまり話せなかった。多分どなたかと間違えられているのかしら、とぼんやり思った。

執事が今日の手紙の束から
私宛の物を持って来てくれる。

あら、ノア殿下からだわ。
殿下は、お会いするときと、文面とで
見せられる表情が違う。
少し堅苦しい文面でも、お会いした時の柔らかい表情を思い浮かべれば、
少し違う見え方になる。

読み終わり、もう一通に手を伸ばす。

フェーン侯爵家のサシャ様からだった。
特に仲が良いと言うわけでもなく、お話したこともない相手からの手紙に
緊張を隠せない。

恐る恐る内容を確認する。
お茶会のお誘いだった。
ほうっと安堵のため息をついた。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

あなたが残した世界で

恋愛 / 完結 24h.ポイント:314pt お気に入り:55

AIが最強すぎて異世界生活が楽勝です。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:113

公爵令嬢はジャンクフードが食べたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:518

楽しい幼ちん園

BL / 連載中 24h.ポイント:220pt お気に入り:133

【BL-R18】敗北勇者への快楽調教

BL / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:178

孤独なまま異世界転生したら過保護な兄ができた話

BL / 連載中 24h.ポイント:61,398pt お気に入り:3,742

孤児だけどガチャのおかげでなんとか生きてます

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:2,138

処理中です...