第二王子の初恋

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楽しいお茶会

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*ソフィアの視点です。

フェーン侯爵家のお茶会に招かれたのは、私とエミリー侯爵令嬢だった。

第二王子の婚約者候補の三人。

人見知りの私は、たった三人きりのお茶会に緊張していた。
ただ、他のお二方とも年上の方なので粗相がないように注意した。

エミリー様は一番年上で、面倒見が良い方。サシャ様からも穏やかな雰囲気が見てとれ、どこか安心していた。

「一度ゆっくりお話してみたかったの。」
そう言われたら、「ぜひ」と言うほかない。

お茶会は庭園で行われた。
いつもノア様とここで、話したりお茶を飲んだり、のんびりして過ごしてるそうで、確かに芝生は気持ち良さそうだった。

エミリー様は庭園の隅にある小さなハーブ園に興味があるようで、後で見せてもらう約束をする。

「私、婚約者候補を降りようと思っておりまして。」
と、なんでもないことのようにエミリー様は話始めた。

私は凄く驚いたのだけど、
サシャ様は「お父様は説得されたのですか?」と、普通に話していたので、
よく上る話題なのだ、と思った。

「いいえ、まだ。だけど時間の問題だと思うわ。だってノア様には想い人がいらっしゃるし。」
チラリと、こちらを見たエミリー様と目が合う。

想い人…いらっしゃるわよね…

私が思い詰めたような顔をしていたのか、サシャ様はクスリと笑って
「まだノア様はぐずぐずしてらっしゃるのね。」と、聞きようによっては、不敬なことを仰った。

「そんなことより、このお菓子は新作なの。感想聞かせて?」
目の前に美味しそうな色とりどりのお菓子が現れた。
目を輝かせた私を二人のお姉さんはにこやかに見つめていた。


「そういえば、最近噂がちらほら出始めましたわね、ほら、ユーリア様の。」
サシャ様が噂について話したいようだった。
「ああいう話が好きな方はいらっしゃるけど、まさかあのユーリア様とノア様に限ってはないわよ。」
エミリー様は、二人の矢印が全く別のところに向いていて決して絡まない、と話した。

「アルノルト様が恐ろしい形相だったとノア様が仰ってたわ。お手紙で。」

アルノルト様が怒る?
いつも優しそうな感じなので、想像がつかない。

サシャ様はケラケラと笑って、
「血の雨がふるわね。」と物騒なことを口にした。

「そういえば、サシャ様は魔力をおもちなのですか?」
ずっと聞きたいと思っていたことを口にした。

不躾だったかしら?


「ええ。ユーリアと同じで持ってるわ。
何の役にもたたないけれど。」

「魔力を、使ってみたことはあるのですか?」

「あるにはあるけど。生きている物に使ってはいけないの。花とかなら、凄く綺麗に咲いてすぐ散るとか、人ならすぐに老化するとか、成長を促しすぎる副作用があるみたいで。魔力を使わず生きていけるなら、必要はないわね。」

使い所が難しいのよね、とサシャ様は困った顔をした。 






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