第二王子の初恋

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今頃になって

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*第三王子 エリアスの視点です。

ソフィア嬢との下町デートを満喫したはずの、兄上は、帰ってきてからすっかり腑抜けになってしまった。

元から、ヘタレ王子と、不甲斐ない称号が付いていたのに。

「何をやらかしたの?」
「うーん?…」
顔を真っ赤にしながら、口にするのすら恥ずかしそうにしている。
「なんで、あの時は…あんな…」
何やらぶつぶつと呟いて、
また「恥ずかしすぎる…」と頭を抱えて悶えている。

見てるこっちが恥ずかしいわ…

デートの一部始終を目撃していた護衛達からは、拍手喝采だったのに、一日経つと、すでにこの状態で。

「あの、ノア様が…」
目を潤ませる護衛達が、教えてくれたが、それで、何で、兄上があんな状態なのかわからない。

頑張ったのに?
初キス、おめでとう!

なのに?

「この本には、キスのあと、どういう顔をしろ、とか書いてないんだよ。」

ノアが持っているのはあの忌まわしい本。
意外とハマってたのか。

頭が花畑過ぎる。

何で、それを参考にした!

兄上の残念さを舐めていたな、と苦笑した。

「手紙とかでいいんじゃない?」
「もう書いたよ。で、返事も貰った。」
「はやっ!」
「しかも、それによると、僕は経験豊富だと思われたみたいだ。」

本人にはこの前、軽く挨拶を交わしたが、何というか、姿は美しいのに、ふわふわした御令嬢だったな。

似た者同士というか、兄上にはとてもお似合いだと思う。

鈍感そうだしなぁ。
兄上のどこをみたら、経験豊富に見えるんだ。

で?そう言われると、夢を壊したくない?幻滅されるのが嫌なだけだろ。

幻滅も何も、ヘタレ王子の称号だけで、充分じゃないのか。

もう一人の兄上の称号は、腹黒王子だぞ。まだヘタレの方がマシではないかな。

とはいえ、ついこの前まで、意識すらされてなかったことを考えれば、大きな前進だと、思うのに。

おおかた、誰かに唆されてキスする運びになったのだろうが、その後を考えていないのが詰めが甘いというか、兄上らしい、というか。

「もう本当に婚約式しちゃえば。」と唆すと涙目の兄上が振り向いた。
「おめでたい話は重なっても良いのでは?」

はー、本当に追い詰められてるなぁ。
手紙また、書いちゃってるし。

本人気づいてないけどさ、そのやり方、腹黒王子と同じ手法だからな。

血は争えない。兄二人の好きな人への強引な囲い込みを見て、恐怖に震えた。


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