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淑女は家出しました
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ストック公爵家からの苦情の手紙は、母から妹へ「謝罪の手紙」を書くように、との命令と共に家族に公開された。
兄はシスティーナへ、「お前の婚約者なのだから、お前が手助けすべきだ。」と意味のわからないことをほざいていたけれど、母の口からははっきりと、「自分のしたことに責任を持ちなさい。」と一刀両断され、「謝罪の手紙」は、ロザリアが一人で書くことになった。勿論出す前に母の添削がある。
弟のマイルズが文章の練習のため、と称して一緒に「謝罪の手紙の書き方」を学びたいというから、ロザリアは誤魔化すことが出来なくなった。
「アランくんも、可愛い義妹が会いたがっているのだから、いくら忙しくても少しぐらい時間を作ってくれてもいいのになぁ。」
呑気な声で侯爵がそんな常識外れなことを口にするが、母は容赦ない。
「姉の婚約者とは言え、此方より身分の高い公爵家に先触れも出さずに窺ったロザリアが悪いのです。当然の行いです。逆の立場なら貴方は許せるのですか?親しき仲にも礼儀あり、と言う言葉の通りです。私は、娘がそんなことも知らないなんて恥ずかしくて顔から火が出そうよ。」
母の意見には大っぴらには反対しないのは父だけでなく、兄も同じ。彼らは長いものには巻かれるタイプ。
ならシスティーナには、どうか。彼らは嫌われたくないと言って、ロザリアには気を遣うが、システィーナにはそんな気が起きないらしい。
此方のご機嫌を伺うような縋るような目をして、見てくる父に見向きもせず、兄は目障りだから無視をして、システィーナは、マイルズと母グレータにだけ話をする形で、食事の時間を終えた。
父からは何を思ったか、食事の後に執務室に来るように、と言われたけれど、無視をした。
どうせ、ロザリアの為に力を貸してくれと言われるだけだ。ロザリアに助けられたことなんて、全くないのに、どうして此方側からだけ一方的に助けなくちゃいけないんだ。
救いは母が此方の味方であることだけ。
「貴女も、あの子と同じようにやってみれば良いんじゃない?ロザリアはあの性格だから、一部のちょっと問題のある人間にしか効果を発揮しないけれど、貴女なら、皆を巻き込むことが可能よ?」
母が提案したのは、ロザリアの言う姉を演じてみること。今までは「そんなことをしていない」と否定するばかりだったが、実際やってみるのである。
やってみて、「それが悪いこと」にならなければ良い、と。
「あの子はあんな姉で可哀想と言われたいの。貴女が否定しても否定しなくてもあの子は嘘をつき続けるでしょう。そうしたらどうなるかわかる?」
「私を知らない人が信じてしまう、かもしれない?」
「そうね。淑女ってなるには大変だけど、大変さがあまり伝わらないのよね。どれだけの努力を要したかは、やったことのある人しかわからない。
だから、平気な顔をしている貴女みたいな人は、言いがかりをつけやすいの。だから、ね。ちゃんとわからせるの。淑女もできるし、歳相応のこともできますよって。弱味をわざと見せるの。
やってみたら、面白いぐらい周りが変わるわよ。
今まで我儘しか言ったことのないロザリアなんて、足元にも及ばないぐらいに、ね。
私はね、ロザリアにもアレクシスにも夫にも怒っているの。勿論自分にも。
システィーナにばかり大変なことを押し付けてしまったこと。使えるものは何でも使いなさい。私は貴女を応援するわ。」
兄はシスティーナへ、「お前の婚約者なのだから、お前が手助けすべきだ。」と意味のわからないことをほざいていたけれど、母の口からははっきりと、「自分のしたことに責任を持ちなさい。」と一刀両断され、「謝罪の手紙」は、ロザリアが一人で書くことになった。勿論出す前に母の添削がある。
弟のマイルズが文章の練習のため、と称して一緒に「謝罪の手紙の書き方」を学びたいというから、ロザリアは誤魔化すことが出来なくなった。
「アランくんも、可愛い義妹が会いたがっているのだから、いくら忙しくても少しぐらい時間を作ってくれてもいいのになぁ。」
呑気な声で侯爵がそんな常識外れなことを口にするが、母は容赦ない。
「姉の婚約者とは言え、此方より身分の高い公爵家に先触れも出さずに窺ったロザリアが悪いのです。当然の行いです。逆の立場なら貴方は許せるのですか?親しき仲にも礼儀あり、と言う言葉の通りです。私は、娘がそんなことも知らないなんて恥ずかしくて顔から火が出そうよ。」
母の意見には大っぴらには反対しないのは父だけでなく、兄も同じ。彼らは長いものには巻かれるタイプ。
ならシスティーナには、どうか。彼らは嫌われたくないと言って、ロザリアには気を遣うが、システィーナにはそんな気が起きないらしい。
此方のご機嫌を伺うような縋るような目をして、見てくる父に見向きもせず、兄は目障りだから無視をして、システィーナは、マイルズと母グレータにだけ話をする形で、食事の時間を終えた。
父からは何を思ったか、食事の後に執務室に来るように、と言われたけれど、無視をした。
どうせ、ロザリアの為に力を貸してくれと言われるだけだ。ロザリアに助けられたことなんて、全くないのに、どうして此方側からだけ一方的に助けなくちゃいけないんだ。
救いは母が此方の味方であることだけ。
「貴女も、あの子と同じようにやってみれば良いんじゃない?ロザリアはあの性格だから、一部のちょっと問題のある人間にしか効果を発揮しないけれど、貴女なら、皆を巻き込むことが可能よ?」
母が提案したのは、ロザリアの言う姉を演じてみること。今までは「そんなことをしていない」と否定するばかりだったが、実際やってみるのである。
やってみて、「それが悪いこと」にならなければ良い、と。
「あの子はあんな姉で可哀想と言われたいの。貴女が否定しても否定しなくてもあの子は嘘をつき続けるでしょう。そうしたらどうなるかわかる?」
「私を知らない人が信じてしまう、かもしれない?」
「そうね。淑女ってなるには大変だけど、大変さがあまり伝わらないのよね。どれだけの努力を要したかは、やったことのある人しかわからない。
だから、平気な顔をしている貴女みたいな人は、言いがかりをつけやすいの。だから、ね。ちゃんとわからせるの。淑女もできるし、歳相応のこともできますよって。弱味をわざと見せるの。
やってみたら、面白いぐらい周りが変わるわよ。
今まで我儘しか言ったことのないロザリアなんて、足元にも及ばないぐらいに、ね。
私はね、ロザリアにもアレクシスにも夫にも怒っているの。勿論自分にも。
システィーナにばかり大変なことを押し付けてしまったこと。使えるものは何でも使いなさい。私は貴女を応援するわ。」
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