望んだことをしてあげただけなのに、妹が烈火のごとく怒り出したのですが

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醜い争い

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ロザリアがあれだけ楽しみにしていた夜会に出ることは出来なかった。第一王子クリストファーが彼女にドレスを用意できなかったからだ。彼は王子としての位を剥奪される前に、元婚約者候補に慰謝料を増額され、少しは余裕ある生活だったものがなくなってしまった。

「悪いが、君との関係はこれで最後だ。」

手紙だけを残して、ロザリアの前から去ったクリストファーは、平民として過ごすことを選んだ。

慰謝料を払い終えたので、王子として居座ることすら出来なくなったためだ。夜会に出られなくなったロザリアはクリストファーを追うが、すでに平民になった彼に彼女を養うことはできない。

「言っていることが違うじゃ無い!この嘘つき!」
「君が彼女にいらないことを言ったから悪いのだろう。君に用意したドレスを売らなければ、慰謝料が払えなくなって大変だったんだ。大体、私に色目を使ってきたのはそちらだろう。私が王子でなくなれば、此方を詰るんだから、嘘つきはどちらか、はっきりしているだろう。」
「だって……お姉様が悪いのよ。私に教えてくれなかったから。貴方のことだって、私にお似合いだって言うから。」

「システィーナ嬢の言ったのは嫌味だろうよ。出来損ないの二人だと、揶揄われたんだ。そんなこともわからなくて、よく王妃になりたいなんて願ったな。馬鹿か。」

「酷いわ。私、あのルイーズに勝てたと思ったのに。」
「あー、それが君の本音なんだな。セドリックを随分下に見ていたものね。私は内心ヒヤヒヤしていたよ。いくら平民になる前とはいえ、不敬は貴族にも適応されるのに、ってね。」
「そんなこと、知っていたなら教えてよ。私を見て嘲笑っていたなんて、性格が悪いわよ?」
「そんなことは、常識だから態々言わないよ。本当に君はあの家で何をしていたんだい?システィーナ嬢を見ていれば、周りが悪いとは思わないね。侯爵家の教師はちゃんとしているよ。偶々君に宛てがわれた教師の質が悪かったとはとても思えない。まあ、それをいうなら私も同じだが。結局は本人の質によるんだ。私がセドリックに敵わなかったように、君もシスティーナ嬢には敵わないんだよ。」

「私が姉に勝てないのは貴方のせいでしょう?」
「男を見る目がなかった君のせいだよ。」

ロザリアは語彙がなくなれば、同じ言葉を繰り返し、ひたすらモノを投げる。

「うるさいうるさいうるさい!」

彼女が投げた置物は、運悪くクリストファーではなく、いつの間にか後ろに控えていた男にぶち当たった。

「はい、そこまで。」
二人の醜い争いは、一旦終了した。置物が命中したのは、侯爵家の護衛。後ろにはシスティーナもいる。

「それにしても、こんなに離れているのにシスティーナを狙うなんて本当に君はブレないね。」

偶々だと思うけれど確かにシスティーナの方向に及んだロザリアの攻撃には驚いた。

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