望んだことをしてあげただけなのに、妹が烈火のごとく怒り出したのですが

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味方ならば後始末を

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ロザリアが拘束されたことを知り、グレータがまず最初にしたことは、離縁届の作成である。ついでに長男と夫の分も作成したい気にもなったが、今はロザリアだけで良い。

「これを作ることになるなんてね。」

部屋の外では何かを落としたような音が聞こえる。「あの人でも慌てることなんてあるのね。」グレータの呟きを聞いている女官は、笑いを噛み殺したような顔をした。笑っていいかわからなかったのだろう。

侯爵家で何があっても、ニコニコして、動じなかった夫。昔はあの姿が頼もしく見えたものだが、真実は単に他人事だっただけだ。

「ついでに夫の分も作ろうかしら。」
「宜しいと思いますよ。」

女官や侍女に止められもしない。寧ろどこか嬉しそうな彼女達に苦笑して、冗談のつもりが少しは本気で作ろうかと思ってしまった。

システィーナから来た連絡によると、ロザリアは貴族牢で泣き喚いていたと思ったら、人がいなくなればケロッとしているらしいから、反省なんてこれっぽっちもしていない。
「そんな様子ならもう少しそのままにしても良いわね。」

ロザリアはグレータの母に似ている。少しは血が薄まったから、まだマシではあるが、人の話を聞かずに動くくせに、何でも人のせいにする。世界の中心には自分がいて、他の人は自分に傅くのが当たり前だと思っている。

システィーナのフォローがなくなって、ロザリアがやらかす度に侯爵家に来る苦情は格段に増えた。それでも、ただ抗議として手紙を送ってくる家は少なく、これまでの自分やシスティーナの行いに同情してくれる人達も一定数いるのが、まだ救われていると言える。

次男のマイルズには心配されてしまった。

「貴方に引き継ぐ時には全て解決するから安心して。」
「いえ、でもあまりご無理はなさらないようにしてください。当主の代わりはいても母様の代わりはいませんので。」

マイルズの優しさの十分の一でも、アレクシスに備わっていれば、そこまで心配はしなかった。彼が損得感情抜きに他人と接することが出来なくとも、甘い言葉に弱すぎてすぐに騙されてしまっても、それが息子の優しさからくるものならば、何とかしてやりたい、と思うのだが。

彼はロザリアには面倒だから、と甘やかしてもう一人の妹システィーナに厳しい役をやらせ、本人はその役を押し付けた妹を悪として笑う。

アレクシスは、本人は認めたくないだろうが、夫にそっくりだ。彼が致命的に悪いところは、夫とは異なり、自分に価値があると思い込んでいるところ。

母として出来ることの、これが最後になってもいい。ロザリアの行いの後始末をシスティーナではなく、アレクシスにさせる為、彼を執務室に呼び出した。







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