望んだことをしてあげただけなのに、妹が烈火のごとく怒り出したのですが

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何で私が

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「お兄様!」
やっぱり持つべきものは便利な兄である。すぐに出してもらえると思っていたのに、数日かかったのは気に入らないが、兄は憮然としながらも、迎えに来てくれた。

歯切れ悪く兄が話した内容は到底信じられないものだった。

「どうして私が!」

「……元はといえば、お前が!勝手に第一王子に不用意に近づいたからだろうが!何故貴族家に生まれて彼のことを知らないんだ!知らなかったじゃ、許されないんだぞ。騙されたって言っても、システィーナだって俺だって父だって、皆で反対しただろう。そこで調べることだってできた筈だ。やれ、姉が反対しているから、羨ましいんだわ、なんて、本当の馬鹿はお前だと思ったよ。

これはまたシスティーナのせいにするだろうが、残念ながら侯爵家の総意だ。お前がいくら納得しなくても、身分を剥奪し、修道院に送られる。すぐ出てこれる、なんて甘い期待は捨てろ。これは決定事項で父ではない、母が侯爵家当主として決定した。」

兄の剣幕に、聞くことしかできなかったロザリアだが、何度決定したと言われても、そう言って本当は助けてくれるつもりなんでしょ?って思っていた。

だけど、父が勝手に言っていることではなくて、母が言ったことならば、もしかしたら本当に、何もかも終わってしまうんじゃないかと言う気持ちになった。

「嫌よ、そんなの。」
はらはらと涙を流しても前のようにハンカチの一つも出さない兄。兄は兄でそれどころじゃないのだが、ロザリアからは兄がロザリアを見捨てる気であるのだと思った。


「どこの修道院になるか、わかる?」逃げるのは修道院に移送されるその時しかない。こうなったら最後まで足掻いてやるわ。ロザリアは頼りにならない父と兄に捨てられるぐらいなら、こちらから捨ててやる。あの感じでいくと、兄も保身の為に、ロザリアを説得し、修道院に送るまでが、課されているのだろう。

システィーナが相手ならば、こんな気も起きなかったけれど、兄ならば、逃げるチャンスは絶対にある。逃げた先は、ひとまず、私のファンの一人に連絡を取って匿ってもらおう。

ロザリアは自分が花畑脳である自覚がない。第一王子とのことで親切にも、苦言を呈してくれた男性のことを、第一王子に嫉妬した自分のファンだと思い込んでいた。初対面でも、女性については覚えなくとも、男性なら家名と爵位は覚えている。

確か……シイド侯爵家のマルクス様だったわね。顔はぼやんとしか覚えてないけれど中々の美丈夫だった筈。

「最後に迷惑をかけた人に手紙を書きたいの。」

兄にしおらしく伝えると、紙とペンを持って来てくれると言う。

「また来る」と言って、兄が帰って行った後で、ロザリアは未だ気持ち悪い笑みを浮かべていた。

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