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ケイト・モリス⑤
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キンバリー・グリーンが絡んでこなくなったのは、それから少ししてのこと。理由は、ケイト以外のことに忙しくなったから。
それをケイトは、ミラから聞いた。何故彼女かと言うと、キンバリーがケイト以外に心を移した相手というのが、ミラの婚約者だったから。キンバリーは生まれて初めての恋に落ちていた。思い込みの激しい彼女が恋に落ちると、相手に婚約者がいようが関係なく突き進んで、どんな汚い手でも使うことは容易に想像できた。
彼女の使った汚い手は、ミラから彼を奪うのではなくて、誰か第三者にミラを奪わせること。ミラのことをあまり知らない彼女は誰でも良いかと、リスキー侯爵家の放蕩息子を焚き付けた。
この男がまた良くない人選で、キンバリーの嫌がらせは群を抜いて、嫌らしかった。ミラの婚約者は、それでもミラと結婚するつもりだった。二人は愛し合っていたから。
だから、ケイトはできるだけ、二人の力になろうとした。だけど、どうにもならなかった。リスキー侯爵家は高位貴族だ。下位貴族の身分で敵うわけもない。
侯爵家の放蕩息子は筋金入りの女好きで、ミラに愛を囁きながらも、他にも恋人が何人もいた。
侯爵家の圧力に、子爵家は耐えられずに、ミラの婚約は解消となった。
それからの彼女は見ていられないほどに憔悴した。ケイトは大好きな彼女が自殺でもするんじゃないかと、気が気ではなかった。
キンバリーはその後もミラの元婚約者に婚約を迫っていたが、元婚約者も婚約解消に憔悴しているようで、それからの話は聞こえて来なかった。
キンバリーは、女学園を卒業後高等院には入らなかった。噂では恋に溺れて、勉強に身が入らなくなった結果、高等院に入れなかったそうだが、正直ケイトは安堵していた。
高等院では、死に物狂いで勉強すると決めていたから。折角婚約者に無理を言って待ってもらっているのだから、自分がやりたいと思っていることができるまでは、何に邪魔されることなく、勉強がしたいと思っていた。
高等院では、女性だから、と距離を置く者は確かにいたが、特に何も思わなかった。こちらも婚約者がいる身。不用意に近づく意味もない。
婚約者とは授業が終わってから、待ち合わせをして、デートをしたり、充実した毎日を送っていた。
ミラは、リスキー侯爵家に契約妻として嫁いで行くことになっている。
「三年、お飾りの妻でいれば、離縁して今後一切近づかないって契約して貰ったの。お金もたんまりくれるらしいわ。」
彼女はリスキー侯爵家の夫人から、ある契約を持ちかけられていた。彼女はミラを陥れた一連の行為に心を痛めていて、(ミラが聞いたところ、義母もほぼおなじような経緯で婚姻させられたらしい。)ミラには自由に生きて貰いたいと思っていた。彼女はこれから侯爵夫人としての教育を受けてから婚姻となるので、長くとも五年以内には自由になれると言っていた。
「五年経つと、流石に行き遅れだけど、いいわ。アレと縁が切れるなら。」
調べた結果、ミラの元婚約者は独身のままだ。キンバリーとは始まりもしなかったらしい。
楽しい日々の中、ケイトはシルバに会いにいく時間が減ってしまったことについて申し訳なく思っていた。高等院に入ってからは課題以外にしたいことが多すぎて、単純に時間がなかったことが原因だったが、ケイトは会いに行かなかったことを後悔するとは思いもしなかった。
高等院に入ってからも女学園時代の頃の友人とは、続いていた。たまにお茶会を開いたり、互いの家に行き会ったりしていた頃、マリアという友人の言葉がきっかけだった。
「最近、小さな箱が毎日届くようになったの。」
「箱?中には何か入ってた?」
「いいえ、空の箱よ?綺麗な装飾があるただの箱。少しずつ大きくなっていって、装飾も段々多くなっていくの。何故か奇妙な既視感があって、ああ!こういう話、聞いたことあるって思ったの。」
「ああ、あのシルバの話?」
シルバの名前を聞いたのが久しぶりで、一気にその場は盛り上がる。
「でも、その話、ちょっと気持ち悪くなかった?」
「あら、そうだった?」
肝心のマリアが結末を覚えていなかった。
「ねえ、ケイトはシルバとまだ連絡取っているの?」
ケイトはそう言えば疎遠になっていることを話し、リディのその後について何か知っているか聞いたところ、皆一様に首を横に振った。
それをケイトは、ミラから聞いた。何故彼女かと言うと、キンバリーがケイト以外に心を移した相手というのが、ミラの婚約者だったから。キンバリーは生まれて初めての恋に落ちていた。思い込みの激しい彼女が恋に落ちると、相手に婚約者がいようが関係なく突き進んで、どんな汚い手でも使うことは容易に想像できた。
彼女の使った汚い手は、ミラから彼を奪うのではなくて、誰か第三者にミラを奪わせること。ミラのことをあまり知らない彼女は誰でも良いかと、リスキー侯爵家の放蕩息子を焚き付けた。
この男がまた良くない人選で、キンバリーの嫌がらせは群を抜いて、嫌らしかった。ミラの婚約者は、それでもミラと結婚するつもりだった。二人は愛し合っていたから。
だから、ケイトはできるだけ、二人の力になろうとした。だけど、どうにもならなかった。リスキー侯爵家は高位貴族だ。下位貴族の身分で敵うわけもない。
侯爵家の放蕩息子は筋金入りの女好きで、ミラに愛を囁きながらも、他にも恋人が何人もいた。
侯爵家の圧力に、子爵家は耐えられずに、ミラの婚約は解消となった。
それからの彼女は見ていられないほどに憔悴した。ケイトは大好きな彼女が自殺でもするんじゃないかと、気が気ではなかった。
キンバリーはその後もミラの元婚約者に婚約を迫っていたが、元婚約者も婚約解消に憔悴しているようで、それからの話は聞こえて来なかった。
キンバリーは、女学園を卒業後高等院には入らなかった。噂では恋に溺れて、勉強に身が入らなくなった結果、高等院に入れなかったそうだが、正直ケイトは安堵していた。
高等院では、死に物狂いで勉強すると決めていたから。折角婚約者に無理を言って待ってもらっているのだから、自分がやりたいと思っていることができるまでは、何に邪魔されることなく、勉強がしたいと思っていた。
高等院では、女性だから、と距離を置く者は確かにいたが、特に何も思わなかった。こちらも婚約者がいる身。不用意に近づく意味もない。
婚約者とは授業が終わってから、待ち合わせをして、デートをしたり、充実した毎日を送っていた。
ミラは、リスキー侯爵家に契約妻として嫁いで行くことになっている。
「三年、お飾りの妻でいれば、離縁して今後一切近づかないって契約して貰ったの。お金もたんまりくれるらしいわ。」
彼女はリスキー侯爵家の夫人から、ある契約を持ちかけられていた。彼女はミラを陥れた一連の行為に心を痛めていて、(ミラが聞いたところ、義母もほぼおなじような経緯で婚姻させられたらしい。)ミラには自由に生きて貰いたいと思っていた。彼女はこれから侯爵夫人としての教育を受けてから婚姻となるので、長くとも五年以内には自由になれると言っていた。
「五年経つと、流石に行き遅れだけど、いいわ。アレと縁が切れるなら。」
調べた結果、ミラの元婚約者は独身のままだ。キンバリーとは始まりもしなかったらしい。
楽しい日々の中、ケイトはシルバに会いにいく時間が減ってしまったことについて申し訳なく思っていた。高等院に入ってからは課題以外にしたいことが多すぎて、単純に時間がなかったことが原因だったが、ケイトは会いに行かなかったことを後悔するとは思いもしなかった。
高等院に入ってからも女学園時代の頃の友人とは、続いていた。たまにお茶会を開いたり、互いの家に行き会ったりしていた頃、マリアという友人の言葉がきっかけだった。
「最近、小さな箱が毎日届くようになったの。」
「箱?中には何か入ってた?」
「いいえ、空の箱よ?綺麗な装飾があるただの箱。少しずつ大きくなっていって、装飾も段々多くなっていくの。何故か奇妙な既視感があって、ああ!こういう話、聞いたことあるって思ったの。」
「ああ、あのシルバの話?」
シルバの名前を聞いたのが久しぶりで、一気にその場は盛り上がる。
「でも、その話、ちょっと気持ち悪くなかった?」
「あら、そうだった?」
肝心のマリアが結末を覚えていなかった。
「ねえ、ケイトはシルバとまだ連絡取っているの?」
ケイトはそう言えば疎遠になっていることを話し、リディのその後について何か知っているか聞いたところ、皆一様に首を横に振った。
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