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別邸で起きたこと②
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奥様と奥様のお客様はいつも、とても楽しそうにお茶をなさる。社交界とは全く関係のない、本当の友人との気安い会話は、日々忙しく立ち回っておられる奥様にとって、宝物のような瞬間だったようだ。旦那様がいたら、嫉妬してしまうかもしれないと思うようなとびきりの笑顔をされている。奥様第一のココにとって、ご褒美のような空間。
それを切り裂いたのば、呼ばれてもいない図々しい客だ。
怪しい動きをする侍女は、別邸からは外されており、違う別の仕事が与えられた。たが、どういう訳か途中で放り出したようでニヤニヤと下品な笑いを浮かべている。他に目を向けると、彼女とは対照的な怯え顔が目に入る。
ココは伯爵家の護衛が、躊躇う様子を見せたところで、権力のある人間が一部紛れていることに気がついた。
エミリア嬢も異変を察知したのか、奥様にはわからないように彼らの姿を奥様の視界から外す。
そのことに傷ついたような顔を浮かべている人物は、奥様のご友人のお一人だった。
「どうして貴女がここにいるの?」
ココは、侍女を捕まえて、話を聞いた。
「私だって、奥様付きの侍女じゃない。いてもおかしくはないわ。」
「いいえ、貴女は別の仕事をお願いされた筈よ。侍女長からの指示に従ってちょうだい。」
侍女はココを軽く睨みつけ、初めて見る無礼な態度で話し出す。
「ふぅん。貴女が私の邪魔をしたって言うのね。悪いけれど、奥様を処分する時には貴女も一緒にすることにするわ。ああ、それか貴女にも役をつけてあげましょうか?」
「奥様を処分、ですって?」
「そうよ。だってこれからの華々しい私の将来に、奥様だけ余計なのよね。私デイビス様と結婚して、啓斗を愛人にするわ。それなら神との約束を破らなくて済むし、私も悪いことをしなくて済むでしょう?奥様がご健在なのに、虜にしちゃえば、不貞だとか、騒がれるじゃない?でも、居なくなれば、そうはならないんだから、いいのよ。」
彼女が何を言っているのか、わからない。何の非もない奥様をどうしたら、悪いことにならないのだろうか。
「処分ってどう言うこと?殺したら充分悪いことよ?」
「やめてよ。殺さないわ。物騒ね。少しの間だけ、隠れて貰うだけだわ。奥様はちゃんとその先で幸せになるわよ?このアントンっていう王子様が奥様を助けてくださるから。だから、心配なら貴女も引き受けてあげようかって言ってるの。」
彼女はシルバという男とは前世で夫婦であったらしい。
「と言っても、内縁の妻なんだけどね。彼は資産家の娘と結婚していたから。形だけの結婚。でも、来世では結婚するつもりだったのよ。今度こそは!ってね。でも、私、好きな人が出来ちゃったの。」
「それが……旦那様とでも?」
「そう。私、彼に会った時は、痺れたわ。めちゃくちゃタイプだったんだもの。ここだけの話、今世の啓斗はイマイチなのよね。顔は良いけど、ちょっと違うのよ。可愛くて甘い顔じゃなくて、くたびれた顔が好きなのよね。ホラ、その手のおじさんって若い子を甘やかしてくれるじゃない?」
あまりの言いように、ココは絶句した。下位貴族に人気のある旦那様はここにも夢みがちな人間を作ってしまった。だからといって同情はしない。分不相応にも雇用主の奥様に殺意を持ち、亡き者にすることは重罪だ。
「貴女には何も出来ないわ。アーサー様にお願いして、ちゃんと手は足りてるの。貴女達は、捕まるしかないのよ。」
ココの言葉に彼女は血迷ったのか短剣をどこからか取り出すと、ココめがけて手を伸ばした。
それを切り裂いたのば、呼ばれてもいない図々しい客だ。
怪しい動きをする侍女は、別邸からは外されており、違う別の仕事が与えられた。たが、どういう訳か途中で放り出したようでニヤニヤと下品な笑いを浮かべている。他に目を向けると、彼女とは対照的な怯え顔が目に入る。
ココは伯爵家の護衛が、躊躇う様子を見せたところで、権力のある人間が一部紛れていることに気がついた。
エミリア嬢も異変を察知したのか、奥様にはわからないように彼らの姿を奥様の視界から外す。
そのことに傷ついたような顔を浮かべている人物は、奥様のご友人のお一人だった。
「どうして貴女がここにいるの?」
ココは、侍女を捕まえて、話を聞いた。
「私だって、奥様付きの侍女じゃない。いてもおかしくはないわ。」
「いいえ、貴女は別の仕事をお願いされた筈よ。侍女長からの指示に従ってちょうだい。」
侍女はココを軽く睨みつけ、初めて見る無礼な態度で話し出す。
「ふぅん。貴女が私の邪魔をしたって言うのね。悪いけれど、奥様を処分する時には貴女も一緒にすることにするわ。ああ、それか貴女にも役をつけてあげましょうか?」
「奥様を処分、ですって?」
「そうよ。だってこれからの華々しい私の将来に、奥様だけ余計なのよね。私デイビス様と結婚して、啓斗を愛人にするわ。それなら神との約束を破らなくて済むし、私も悪いことをしなくて済むでしょう?奥様がご健在なのに、虜にしちゃえば、不貞だとか、騒がれるじゃない?でも、居なくなれば、そうはならないんだから、いいのよ。」
彼女が何を言っているのか、わからない。何の非もない奥様をどうしたら、悪いことにならないのだろうか。
「処分ってどう言うこと?殺したら充分悪いことよ?」
「やめてよ。殺さないわ。物騒ね。少しの間だけ、隠れて貰うだけだわ。奥様はちゃんとその先で幸せになるわよ?このアントンっていう王子様が奥様を助けてくださるから。だから、心配なら貴女も引き受けてあげようかって言ってるの。」
彼女はシルバという男とは前世で夫婦であったらしい。
「と言っても、内縁の妻なんだけどね。彼は資産家の娘と結婚していたから。形だけの結婚。でも、来世では結婚するつもりだったのよ。今度こそは!ってね。でも、私、好きな人が出来ちゃったの。」
「それが……旦那様とでも?」
「そう。私、彼に会った時は、痺れたわ。めちゃくちゃタイプだったんだもの。ここだけの話、今世の啓斗はイマイチなのよね。顔は良いけど、ちょっと違うのよ。可愛くて甘い顔じゃなくて、くたびれた顔が好きなのよね。ホラ、その手のおじさんって若い子を甘やかしてくれるじゃない?」
あまりの言いように、ココは絶句した。下位貴族に人気のある旦那様はここにも夢みがちな人間を作ってしまった。だからといって同情はしない。分不相応にも雇用主の奥様に殺意を持ち、亡き者にすることは重罪だ。
「貴女には何も出来ないわ。アーサー様にお願いして、ちゃんと手は足りてるの。貴女達は、捕まるしかないのよ。」
ココの言葉に彼女は血迷ったのか短剣をどこからか取り出すと、ココめがけて手を伸ばした。
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