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呪われた短剣
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アーサーに指示を出すまでもなく、少し調べればわかることに、デイビスは笑いしか出てこなかった。ケイトの胸に刺さった短剣は、伯爵家に代々伝わっているものだ。普段なら倉庫に厳重に保管されている筈だが、倉庫には短剣どころか、何も残されていなかった。
「ここにあった伯爵家の家宝はどこにいったんだ?」
担当者を呼び出して聞いてみると、別邸に保管しているとのこと。ベラを呼び出して聞いてみると、その通りだと言うので、何故保管場所を変えたのか聞くと、ケイトの指示だという。
別邸のどこにあるのかと聞くと、何故か要領を得ず、最終的にケイトの商会で管理しているのではないか、と言い出す始末。それならそれで、彼方側から預かっているとでもいいだしそうだが。
デイビスは半信半疑ながら、商会に問い合わせて見た。
「伯爵夫人、貴方のお母様の方から、ずっと預かっている物はあるわ。それは貴方でも、渡すことはできないの。そう言う契約を交わしているから。」
「なら、そこにケイトを刺した短剣がいつまであったか調べて欲しいんだ。」
「……それを持ち出したのは、母君よ。小道具として使うと言っていたわ。娘に頼まれているからって。」
こちらの沈黙に相手方の、ヴィクトリアは、何が知りたいのか問い、答えになるかわからないけれど、と前置きをした。
「ここにある分の伯爵家の所有しているものは全て誰かによって一度売られたものよ。前伯爵夫人曰く、邸に置いておくと、勝手に売られてしまうから、と緊急措置として、持ち出されたのよ。商会の倉庫なら、伯爵家の使用人達の手が届かないから。
あと、貴方の探している短剣については一番初めに売られてその後王家から問い合わせがあって、戻ってきたようなの。
多分何代か前に王家から、賜ったものらしいのよ。曰く付きと言われているのは、持ち主以外が持つことをナイフが嫌うといわれているから。当時柄の部分の装飾が珍しくついている宝石が希少価値だから、と狙われたりした見たいだけれど、全て手に入れてすぐに不審死を遂げていることから、呪いの短剣とか言われるようになったみたい。
市場に出回るようになれば、そう言う曰く付きのものばかり集めるコレクターがいるから、すぐに買い手が付くでしょうね。」
「それらを売った使用人達は、処分されているんだよな?」
先程のベラの態度から、もしかして、彼女もその一味なのかと勘ぐれば、やはり回答は、予想通りだった。
「まだ何人かは残っている、と聞いたわ。多分、ケイトと前夫人で罠を仕掛けるつもりだったのではないかしら。それなりに策を練っていたみたいだし。」
アーサーの表情から彼が何かを知っている様子なのは感じていた。
「何で言ってくれないの?」
「ケイト様に口止めされておりまして、デイビス様が気がつくまで、黙っているようにと。」
「別邸の使用人達を呼び戻してくれ。多分あの男のように羽振りが良くなった者達ばかりだろうな。
あと、母上に会わなければならない。隠し事はこれだけではないだろう。」
「ここにあった伯爵家の家宝はどこにいったんだ?」
担当者を呼び出して聞いてみると、別邸に保管しているとのこと。ベラを呼び出して聞いてみると、その通りだと言うので、何故保管場所を変えたのか聞くと、ケイトの指示だという。
別邸のどこにあるのかと聞くと、何故か要領を得ず、最終的にケイトの商会で管理しているのではないか、と言い出す始末。それならそれで、彼方側から預かっているとでもいいだしそうだが。
デイビスは半信半疑ながら、商会に問い合わせて見た。
「伯爵夫人、貴方のお母様の方から、ずっと預かっている物はあるわ。それは貴方でも、渡すことはできないの。そう言う契約を交わしているから。」
「なら、そこにケイトを刺した短剣がいつまであったか調べて欲しいんだ。」
「……それを持ち出したのは、母君よ。小道具として使うと言っていたわ。娘に頼まれているからって。」
こちらの沈黙に相手方の、ヴィクトリアは、何が知りたいのか問い、答えになるかわからないけれど、と前置きをした。
「ここにある分の伯爵家の所有しているものは全て誰かによって一度売られたものよ。前伯爵夫人曰く、邸に置いておくと、勝手に売られてしまうから、と緊急措置として、持ち出されたのよ。商会の倉庫なら、伯爵家の使用人達の手が届かないから。
あと、貴方の探している短剣については一番初めに売られてその後王家から問い合わせがあって、戻ってきたようなの。
多分何代か前に王家から、賜ったものらしいのよ。曰く付きと言われているのは、持ち主以外が持つことをナイフが嫌うといわれているから。当時柄の部分の装飾が珍しくついている宝石が希少価値だから、と狙われたりした見たいだけれど、全て手に入れてすぐに不審死を遂げていることから、呪いの短剣とか言われるようになったみたい。
市場に出回るようになれば、そう言う曰く付きのものばかり集めるコレクターがいるから、すぐに買い手が付くでしょうね。」
「それらを売った使用人達は、処分されているんだよな?」
先程のベラの態度から、もしかして、彼女もその一味なのかと勘ぐれば、やはり回答は、予想通りだった。
「まだ何人かは残っている、と聞いたわ。多分、ケイトと前夫人で罠を仕掛けるつもりだったのではないかしら。それなりに策を練っていたみたいだし。」
アーサーの表情から彼が何かを知っている様子なのは感じていた。
「何で言ってくれないの?」
「ケイト様に口止めされておりまして、デイビス様が気がつくまで、黙っているようにと。」
「別邸の使用人達を呼び戻してくれ。多分あの男のように羽振りが良くなった者達ばかりだろうな。
あと、母上に会わなければならない。隠し事はこれだけではないだろう。」
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