初恋は叶わないと知っている

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エミリー

新しい婚約者候補との関係

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新しい婚約者候補として、エミリーの前に現れたのは、親友で幼馴染の、ルカだった。

「何で?」
「いや、一緒にいたいからさ。」
「こんなことしなくても、一緒にいたら良いじゃない。」
「まあ、そうだけど。母さんに言われたんだ。今のままだったら、エミリーとずっと一緒にはいられないって。今回でわかったんだ。俺は、エミリーと俺の間に誰かが入ることが耐えられないんだ。」

イマイチ反応の薄いエミリーに畳み掛けるように話すルカ。

「今回はエミリーだけだったけどさ、間に互いの婚約者が入るんだよ?嫌じゃない?」

エミリーはそう言われて考える。
確かに、自分より仲の良い相手がルカに居ると思うと、明確に、嫌だと思う。だけどそれは貴族に生まれたからには仕方がないことだ。


本来、婚約者との間に恋心は必要ない。信頼関係が築けるならば、恋愛感情なんて、とは思う。けれど、元婚約者の様子を見ていたエミリーは、恋と言うものに対し、憧れがある。あんな風に、自分の立場や義務をわかっていながら抗えない、そんな力を持つものを体験してみたいとさえ、思っていたから。

今思うと、エミリーの初恋はおままごとみたいだった。一方的に自分の思いを彼の行動に当てはめて押し付けた。だから、彼は私の方を見なかったんじゃないだろうか。

「それは嫌だけど……もし今後ルカが恋焦がれて仕方ない相手が現れたらどうするの?自分の理性では抑えていられない激しい感情を覚えたら?……二度目はしんどいよ。」

「確かに、俺だけではなく、エミリーにも大切な相手が現れるのは、あり得ることではあるな。

でも、これは、信じてくれとしか言いようがないんだけど、今後そう言う激しい感情が生まれる相手は……エミリー以外には起こり得ない気がするんだ。

そもそも俺はあまり器用な方ではないし、婚約者ができたらその人のことでいっぱいいっぱいになると思う。もしも、エミリー以外に婚約者がいたら、エミリーとの関係も親友でいられなくなっていたと思う。

だから、エミリーが親友であり、婚約者になってくれたら、凄く助かるんだ。エミリー以外のことに時間を割かなくて良いから。こういうと、打算的だと言われるかもしれないけれど。」

ルカに以前言われたように、エミリーは自分には婚約なんてまだ早かったような気もする。

「婚約は、今はまだいらないかな。」
婚約解消から、またすぐに新しい婚約者なんて、そんなに簡単には気持ちは切り替わらない。

「うん、それでいい。じゃあ、あくまでも、候補として、俺を査定して?俺も、気安いから、以外の理由で選ばれるように頑張るから。」




「ルカの言う通り、ルカが婚約者なら、私は楽だわ。もう信頼関係はできているし、互いの家族とも交流はあるし。」

「じゃあ、とりあえずやってみよう。お試しで、と言うと軽いかな。一緒にいて、互いに思うことを話し合って、より良い関係を築くのは、今までと同じじゃない?俺達はこれからも良い関係を築いていけると思う。」

ルカに今のところ、悪いところはひとつもない。だから、断ることは勿論できなくて、とりあえず、婚約の件は後で決めることにした。

婚約は、二人の気持ちがきちんと整ったら、ということで、お試しの関係が始まった。

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