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エミリー
ルカ②
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ある日を境に、エミリーから、ルカに宛てた手紙が届くようになった。ルカは自分が大切なことを言葉にするのが難しいことをわかっていたので、手紙のやり取りがどうなるか焦ったが、生身の人間が相手ではないからか、対面するよりは正直に自分の気持ちを綴ることができた。
エミリーは生徒会を手伝うようになり、忙しく過ごしていた。
ある時から、彼女の手紙の中に、ルーミス家の先輩とやらが、度々現れるようになった。ルカはそれをご令嬢の方だと思い、二人の友情を見守っていたのだが。
彼女の手紙で、先輩が婚約者候補に立候補したことを知り、頭が真っ白になった。
ジュリア・ルーミスの兄、ジョージア・ルーミスはある意味、とても有名だった。彼は公爵家嫡男であり、女性達の注目の的でありながら、どんな美人にアプローチされても、どんな素晴らしい女性に誘われても、絶対零度の温度で対応し、彼の眼鏡にかなう女性はいないのではないか、とまで言われていた。
その彼が、エミリーに、近づいて、友情を育み、最後には婚約者候補にまで、と言ったら、ルカは自分の立場が、足元からグラグラと支えを失い壊れてしまう未来を想像した。
彼はルカが望んだエミリーの婚約者の場所と、彼女の親友の座をルカから奪おうとしているようだ。
とは言え、ルカはこの場を離れることなどできない。
これは、ルカが彼女を二度と傷つけないように与えられた試練であり、ここでどれだけ喚こうが悲嘆に暮れようが、彼女の選択についてルカが口を出す権利はない。
幸いなことに、未だにエミリーは自分に手紙のやり取りと言う慈悲を与えてくれている。
もしかしたらこのやり取りさえ、すぐにでもなくなるかもしれないのに。
日に日に暗くなっていく、ルカを哀れに思ったのか、単に好奇心かはわからないが、護衛対象の姫は何度かルカにアドバイスをくれた。
それは運命の目を持つ者に限った彼女との接触方法だった。
「後から文句はいわれたくないから、言っておくけど、これは貴方の大切な人に言い寄る虫に対する警告方法であって、彼女の心を繋ぎ止めるものではないわ。もしかしたら、怯えて、殻に閉じこもるかもしれないわ。
でも、これを使う利点は貴方のように彼女がどうしているかわからなくて、悶々と悩むことはなくなる、ということね。
もし、彼女のそばにいるのが、彼女に害をなす存在であれば、それを取り除くことも可能よ。
ただし、この力を使うには体力と精神力が必要よ。練習してみる?」
彼女は、ルカの手を握ると目を瞑った。ルカも釣られて目を瞑ると、頭の中にある映像が浮かび上がる。
「本来ならこれは貴方と遂になる女性で行うことなのよ。私が代わりにできるか、半信半疑だったけれど、出来てよかったわ。」
彼女が言うには、エミリーとルカが一緒にこれを行えば、互いのことが、自分のことのように分かり合え、関係を強固なものにできるものらしい。
今回はこちらだけのことなので、ルカからはエミリーを感じるだけ。エミリー側にはルカの様子はわからない。
「もしも、エミリー側がこの行為をしたら、こちらの様子がわかるようになりますか?」
「いいえ、それはやめた方が良いとおもうわ。誰が手伝うかによるけれど、最悪彼女の運命の相手の座を奪われてしまうかもしれない。」
ルカはエミリーの感覚を感じながら、背中に刃物を突きつけられたかのように、ゾッとした。
エミリーは生徒会を手伝うようになり、忙しく過ごしていた。
ある時から、彼女の手紙の中に、ルーミス家の先輩とやらが、度々現れるようになった。ルカはそれをご令嬢の方だと思い、二人の友情を見守っていたのだが。
彼女の手紙で、先輩が婚約者候補に立候補したことを知り、頭が真っ白になった。
ジュリア・ルーミスの兄、ジョージア・ルーミスはある意味、とても有名だった。彼は公爵家嫡男であり、女性達の注目の的でありながら、どんな美人にアプローチされても、どんな素晴らしい女性に誘われても、絶対零度の温度で対応し、彼の眼鏡にかなう女性はいないのではないか、とまで言われていた。
その彼が、エミリーに、近づいて、友情を育み、最後には婚約者候補にまで、と言ったら、ルカは自分の立場が、足元からグラグラと支えを失い壊れてしまう未来を想像した。
彼はルカが望んだエミリーの婚約者の場所と、彼女の親友の座をルカから奪おうとしているようだ。
とは言え、ルカはこの場を離れることなどできない。
これは、ルカが彼女を二度と傷つけないように与えられた試練であり、ここでどれだけ喚こうが悲嘆に暮れようが、彼女の選択についてルカが口を出す権利はない。
幸いなことに、未だにエミリーは自分に手紙のやり取りと言う慈悲を与えてくれている。
もしかしたらこのやり取りさえ、すぐにでもなくなるかもしれないのに。
日に日に暗くなっていく、ルカを哀れに思ったのか、単に好奇心かはわからないが、護衛対象の姫は何度かルカにアドバイスをくれた。
それは運命の目を持つ者に限った彼女との接触方法だった。
「後から文句はいわれたくないから、言っておくけど、これは貴方の大切な人に言い寄る虫に対する警告方法であって、彼女の心を繋ぎ止めるものではないわ。もしかしたら、怯えて、殻に閉じこもるかもしれないわ。
でも、これを使う利点は貴方のように彼女がどうしているかわからなくて、悶々と悩むことはなくなる、ということね。
もし、彼女のそばにいるのが、彼女に害をなす存在であれば、それを取り除くことも可能よ。
ただし、この力を使うには体力と精神力が必要よ。練習してみる?」
彼女は、ルカの手を握ると目を瞑った。ルカも釣られて目を瞑ると、頭の中にある映像が浮かび上がる。
「本来ならこれは貴方と遂になる女性で行うことなのよ。私が代わりにできるか、半信半疑だったけれど、出来てよかったわ。」
彼女が言うには、エミリーとルカが一緒にこれを行えば、互いのことが、自分のことのように分かり合え、関係を強固なものにできるものらしい。
今回はこちらだけのことなので、ルカからはエミリーを感じるだけ。エミリー側にはルカの様子はわからない。
「もしも、エミリー側がこの行為をしたら、こちらの様子がわかるようになりますか?」
「いいえ、それはやめた方が良いとおもうわ。誰が手伝うかによるけれど、最悪彼女の運命の相手の座を奪われてしまうかもしれない。」
ルカはエミリーの感覚を感じながら、背中に刃物を突きつけられたかのように、ゾッとした。
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