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初顔合わせ
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「あれ?言ってなかっけ。悪い悪い。いやあ、国そのものの存続も怪しかったし、放っておいても、有耶無耶になるんじゃないかと思ってたんだけど、そうはならなかったね。まあ、生き延びたんならいっか。初顔合わせ、ってやつだね。」
玉座に座っているこの軽い口調の男は、クララの父で、軽い口調とは裏腹に、実はすごい怖い人物だったりする。
こんな口調で話すと言うことは、クララの婚約者である彼のことを気に入ってはいるのだろう。
「怒っちゃった?クララちゃん、ニコッて、笑ってごらん。綺麗な顔に凄みが出過ぎているよ。」
「元々こういう顔です。」
「そんなことないよ。クララちゃんは絶世の美女であるママに生き写しなんだから、笑ったら可愛いって知ってるよ?」
猫撫で声で娘の機嫌をとりたい父にうんざりする。生き写しって、母生きてるし。
「話が進まないのですけど。」
父はおいといて、先程から存在感を消している宰相に目線を送ると、漸く彼も本題を思い出したようで、父の戯言をぶった斬ってくれた。
娘の前ではすべからくポンコツになる父と、最初から花畑の住人の母の一人娘であるクララは、先妻の忘れ形見である兄とは仲が良い。
父の後は兄が継ぐことにも異論はない。だが、その兄がクララの親友アレクサンドラを好きだと知って、複雑な気分になっていた。
あの国で使い潰されそうになっていた彼女に自由を説いて連れてきたのに、結局は違う国の王族に目をつけられているのだから。
兄を応援する気持ち半分、アレクサンドラを応援したい気持ち半分。
だけど、彼女と義姉妹になれるならそれもアリな気がしている。
結果的に彼女を騙したのだと言われると、その通りだと思う。少しの罪悪感はあるものの、選ぶのは彼女だ。後は兄の頑張り次第。
だけど、兄と話している彼女は、見た限り満更でもなさそう?な様子なので、もしかしたらもしかするかもしれない。
思考をあちらこちらに飛ばしてぼんやりしているクララに、彼、エリアスは何も言わずクララの様子を眺めている。
「ごめんなさい。別のことを考えていて。」
「良いよ。私のことを思い出してくれたのなら、それで。」
「……貴方、隠していたとはいえ仮の姿の時と表情は変わらないのね。」
「あの姿の私の表情なんて、気にしてくれたのは、君だけだよ。隠していたから当然なんだけど。」
悔しそうな口調の割に、何故かうっすらと笑顔を浮かべた彼に、クララは不思議な感覚になる。
「とりあえず、まだ婚約者として、価値があると言うことなのかな。多分これからの身分は要相談だと思うけれど。
王女の婚約者なんだから、男爵令息と言うのはもう無理かもね。」
クララは、さっきの父の浮かれた様子に納得がいった。王太子としての兄がいるとして、王女は政略結婚の駒になるのが通例だが、彼が相手ならば祖国に帰ることはなく、この国に留まるだろうと見越したのだろう。
彼には悪いけれど、人質としてこの国に縛ることで、私が王女でなくなったとしても、国を出ることのないように。
クララは若干の忌々しさはあったものの、どこぞの変な王族に嫁がされることはなさそうだと、少しだけ安堵した。
玉座に座っているこの軽い口調の男は、クララの父で、軽い口調とは裏腹に、実はすごい怖い人物だったりする。
こんな口調で話すと言うことは、クララの婚約者である彼のことを気に入ってはいるのだろう。
「怒っちゃった?クララちゃん、ニコッて、笑ってごらん。綺麗な顔に凄みが出過ぎているよ。」
「元々こういう顔です。」
「そんなことないよ。クララちゃんは絶世の美女であるママに生き写しなんだから、笑ったら可愛いって知ってるよ?」
猫撫で声で娘の機嫌をとりたい父にうんざりする。生き写しって、母生きてるし。
「話が進まないのですけど。」
父はおいといて、先程から存在感を消している宰相に目線を送ると、漸く彼も本題を思い出したようで、父の戯言をぶった斬ってくれた。
娘の前ではすべからくポンコツになる父と、最初から花畑の住人の母の一人娘であるクララは、先妻の忘れ形見である兄とは仲が良い。
父の後は兄が継ぐことにも異論はない。だが、その兄がクララの親友アレクサンドラを好きだと知って、複雑な気分になっていた。
あの国で使い潰されそうになっていた彼女に自由を説いて連れてきたのに、結局は違う国の王族に目をつけられているのだから。
兄を応援する気持ち半分、アレクサンドラを応援したい気持ち半分。
だけど、彼女と義姉妹になれるならそれもアリな気がしている。
結果的に彼女を騙したのだと言われると、その通りだと思う。少しの罪悪感はあるものの、選ぶのは彼女だ。後は兄の頑張り次第。
だけど、兄と話している彼女は、見た限り満更でもなさそう?な様子なので、もしかしたらもしかするかもしれない。
思考をあちらこちらに飛ばしてぼんやりしているクララに、彼、エリアスは何も言わずクララの様子を眺めている。
「ごめんなさい。別のことを考えていて。」
「良いよ。私のことを思い出してくれたのなら、それで。」
「……貴方、隠していたとはいえ仮の姿の時と表情は変わらないのね。」
「あの姿の私の表情なんて、気にしてくれたのは、君だけだよ。隠していたから当然なんだけど。」
悔しそうな口調の割に、何故かうっすらと笑顔を浮かべた彼に、クララは不思議な感覚になる。
「とりあえず、まだ婚約者として、価値があると言うことなのかな。多分これからの身分は要相談だと思うけれど。
王女の婚約者なんだから、男爵令息と言うのはもう無理かもね。」
クララは、さっきの父の浮かれた様子に納得がいった。王太子としての兄がいるとして、王女は政略結婚の駒になるのが通例だが、彼が相手ならば祖国に帰ることはなく、この国に留まるだろうと見越したのだろう。
彼には悪いけれど、人質としてこの国に縛ることで、私が王女でなくなったとしても、国を出ることのないように。
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