4 / 14
呑気な人達①
しおりを挟む
王家の仕事を一手に引き受けていたアレクサンドラが、既に国を出たと言うのに、今回の騒動の渦中にいる連中は呑気に会談を重ねていた。
陛下と王妃は、男爵令嬢が王子を選んでも、男爵令息を選んでもどちらにせよあまり関心がない。王子の廃嫡は決定事項だし、アレクサンドラを逃す手はないと思っている。彼らの頭の中では、アレクサンドラが彼らの為に働くのは臣下として当然のことで、そこに婚約破棄などの諸事情はあってないようなものである。
アレクサンドラの国外脱出の件は、クララが根回しに走ったのと、アレクサンドラを憐れんだ心ある貴族連中の協力により水面下で行われた。
レニエ公爵は、娘より王家に味方していたため、その詳細を秘匿され、娘とは金輪際会えなくなってしまったことをまだ知らない。
何より彼らは留学生のクララの正体をしらないので、彼女から追うことすらも叶わない。彼女とアレクサンドラが仲良くしていても、ただの友人だと侮ってこうなる危険性を考えなかった。
こういう時、何故愚か者は自分だけが我慢を強いられていると、思えるのだろう。大した仕事もなく、女と遊び歩いていた男と、やる必要のない仕事に追われていたか弱い女性。後者の我慢の度合いの方が明らかに高いのに。
中でも一番の愚か者代表、男爵令嬢は、婚約者と王子を天秤に掛け、どちらにしようか、迷っている。選んだところで向かう先は幸せではないというのに。
彼女は血筋だけで何とかなると思っている馬鹿王子よりも罪深い。ちゃんとした計画を持ってアレクサンドラの居場所を無くした。そのおかげでクララが用意した新しい人生を彼女は歩むことになったのだから、ある意味では感謝すべきかもしれない。
でもだからといって彼女が費やした時間分の努力を踏み躙ったことを、許すつもりはない。
クララも王族の端くれであるから、国を背負う大変さはわかっているつもりだ。
王族には自由などない。あるのは、皆が自由でいられるように国に尽くすことだけ。あの国にはそのことを理解している者がアレクサンドラしかいなかった。
まさに宝の持ち腐れ。クララは成り行きでも、彼女をスカウトし、自国に多大なる貢献をしたことを誇りに思う。
彼女だけではなく、うっかり生き別れの婚約者まで発掘した時は笑ってしまったけれど。
男爵令嬢マリナは、偉い人の話を聞いている余裕がなかった。地位だけなら一択で王子を選ぶのだが、ここに来て急に男爵令息に心を奪われたのだ。
この人、こんな顔だったかな。
「髪を切ってメガネを取っただけ」の婚約者は、マリナ好みのイケメンで、実際、王子よりも好きな顔をしている。どこで覚えたのか女性に気を使える様子も、何でもしてもらって当然の王子よりも高評価で、マリナは今更悩んでしまった。
マリナにまともな感覚が少しはあったなら、自分が壊したアレクサンドラと王子の婚約の後始末として、自分がアレクサンドラの代わりになるように努力するのだろうが、彼女にはそんな気は一切ない。彼女は彼女。自分は自分。
一男爵令嬢に、公爵令嬢の代わりなんて出来るわけもない、と、図らずも王族と同じような考えに陥っていた。
「あの人なら王子様が頼んだら好きに働いてくれるわ。」
この時アレクサンドラ・レニエ公爵令嬢と言う人物は居なくなっている。アレクサンドラは、新しい名前と身分を持って、クララの国に来た。彼女は名をサーシャと改め、クララの従姉妹になった。
陛下と王妃は、男爵令嬢が王子を選んでも、男爵令息を選んでもどちらにせよあまり関心がない。王子の廃嫡は決定事項だし、アレクサンドラを逃す手はないと思っている。彼らの頭の中では、アレクサンドラが彼らの為に働くのは臣下として当然のことで、そこに婚約破棄などの諸事情はあってないようなものである。
アレクサンドラの国外脱出の件は、クララが根回しに走ったのと、アレクサンドラを憐れんだ心ある貴族連中の協力により水面下で行われた。
レニエ公爵は、娘より王家に味方していたため、その詳細を秘匿され、娘とは金輪際会えなくなってしまったことをまだ知らない。
何より彼らは留学生のクララの正体をしらないので、彼女から追うことすらも叶わない。彼女とアレクサンドラが仲良くしていても、ただの友人だと侮ってこうなる危険性を考えなかった。
こういう時、何故愚か者は自分だけが我慢を強いられていると、思えるのだろう。大した仕事もなく、女と遊び歩いていた男と、やる必要のない仕事に追われていたか弱い女性。後者の我慢の度合いの方が明らかに高いのに。
中でも一番の愚か者代表、男爵令嬢は、婚約者と王子を天秤に掛け、どちらにしようか、迷っている。選んだところで向かう先は幸せではないというのに。
彼女は血筋だけで何とかなると思っている馬鹿王子よりも罪深い。ちゃんとした計画を持ってアレクサンドラの居場所を無くした。そのおかげでクララが用意した新しい人生を彼女は歩むことになったのだから、ある意味では感謝すべきかもしれない。
でもだからといって彼女が費やした時間分の努力を踏み躙ったことを、許すつもりはない。
クララも王族の端くれであるから、国を背負う大変さはわかっているつもりだ。
王族には自由などない。あるのは、皆が自由でいられるように国に尽くすことだけ。あの国にはそのことを理解している者がアレクサンドラしかいなかった。
まさに宝の持ち腐れ。クララは成り行きでも、彼女をスカウトし、自国に多大なる貢献をしたことを誇りに思う。
彼女だけではなく、うっかり生き別れの婚約者まで発掘した時は笑ってしまったけれど。
男爵令嬢マリナは、偉い人の話を聞いている余裕がなかった。地位だけなら一択で王子を選ぶのだが、ここに来て急に男爵令息に心を奪われたのだ。
この人、こんな顔だったかな。
「髪を切ってメガネを取っただけ」の婚約者は、マリナ好みのイケメンで、実際、王子よりも好きな顔をしている。どこで覚えたのか女性に気を使える様子も、何でもしてもらって当然の王子よりも高評価で、マリナは今更悩んでしまった。
マリナにまともな感覚が少しはあったなら、自分が壊したアレクサンドラと王子の婚約の後始末として、自分がアレクサンドラの代わりになるように努力するのだろうが、彼女にはそんな気は一切ない。彼女は彼女。自分は自分。
一男爵令嬢に、公爵令嬢の代わりなんて出来るわけもない、と、図らずも王族と同じような考えに陥っていた。
「あの人なら王子様が頼んだら好きに働いてくれるわ。」
この時アレクサンドラ・レニエ公爵令嬢と言う人物は居なくなっている。アレクサンドラは、新しい名前と身分を持って、クララの国に来た。彼女は名をサーシャと改め、クララの従姉妹になった。
46
あなたにおすすめの小説
【完結】姉を追い出して当主になった悪女ですが、何か?
堀多 ボルダ
恋愛
「お姉様、このマクレディ伯爵家は私が後を継ぎます。お姉様は邪魔なので今すぐこの家から出ていってください」
両親の急逝後、伯爵家を切り盛りしていた姉を強引に追い出して妹ダリアは当主となった。しかし、それが原因で社交界からは稀代の悪女として嫌われるようになった。
そんな彼女の元を訪ねたのは、婿に来てほしい男ナンバーワンと噂される、社交界で人気の高い幼馴染だった……。
◆架空の世界にある架空の国が舞台の架空のお話です。
◆カクヨムにも掲載しています。
【完結】さっさと婚約破棄が皆のお望みです
井名可乃子
恋愛
年頃のセレーナに降って湧いた縁談を周囲は歓迎しなかった。引く手あまたの伯爵がなぜ見ず知らずの子爵令嬢に求婚の手紙を書いたのか。幼い頃から番犬のように傍を離れない年上の幼馴染アンドリューがこの結婚を認めるはずもなかった。
「婚約破棄されてこい」
セレーナは未来の夫を試す為に自らフラれにいくという、アンドリューの世にも馬鹿げた作戦を遂行することとなる。子爵家の一人娘なんだからと屁理屈を並べながら伯爵に敵意丸出しの幼馴染に、呆れながらも内心ほっとしたのがセレーナの本音だった。
伯爵家との婚約発表の日を迎えても二人の関係は変わらないはずだった。アンドリューに寄り添う知らない女性を見るまでは……。
早く婚約解消してください!
鳴哉
恋愛
自己評価の低い子爵令嬢 と
その婚約者の侯爵令息 の話
短いので、サクッと読んでもらえると思います。
読みやすいように、6話に分けました。
毎日1回、予約投稿します。
悪の王妃
桜木弥生
恋愛
何度もその罪により処刑される王妃。処刑までの日数は三日間。数十回繰り返されたその生に、彼女は何を思い、何を求めるのか。
全21話完結済みで順次公開していきます。
1~4話公開済
5話 12/6 19:00公開
6話~19話 12/7~毎日7時と19時の1日2話公開
20話~最終話 12/14 0時公開
婚約者は嘘つき!私から捨ててあげますわ
あんり
恋愛
「マーティン様、今、わたくしと婚約破棄をなさりたいと、そうおっしゃいましたの?」
私は今何を言われてるのでしょう。
「ああ、もう2度と君の顔も見たくない、声も聞きたくない。君との婚約は僕の中では無駄な時間だったよ」
苦痛に歪むマーティン様のお顔は今まで見たことのない憎しみのこもった目で私を睨みつけておりました。
ほんの1ヶ月前まで「愛してる」と言ってくださったのに。
わたしの何が悪かったのかしら?
泣き腫らしたまま、待たせておいた馬車に乗り、何も分からないまま屋敷へもどるしかなかった。
―――別れの理由も、真実も、何一つ知らないまま。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
勘違いから始まるキャラ文系寄りのラブストーリー。
【完結】アナタが選んだんでしょう?
BBやっこ
恋愛
ディーノ・ファンは、裕福な商人の息子。長男でないから、父から預かった支店の店長をしている。
学生でいられるのも後少し。社交もほどほどに、のんびり過ごしていた。
そのうち、父の友人の娘を紹介され縁談が進む。
選んだのに、なぜこんなけっかになったのだろう?
緑の輪っかの魔法
荒瀬ヤヒロ
恋愛
ある国に双子の姉妹がおりました。
姉のシエラは王子様の婚約者、妹のサリーはそんな姉にいつだって辛く当たる意地悪な妹です。
十六の誕生日に指輪を贈られ求婚されるのがこの国の習わしです。
王子様が婚約者のシエラに指輪を捧げるその日が、刻一刻と迫っていきーー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる