男爵令息と王子なら、どちらを選ぶ?

mios

文字の大きさ
5 / 14

サーシャ

しおりを挟む
スレッジ侯爵家は、クララの母の兄が当主である貴族家としては善良な方に入る家である。クララとは従姉妹になるが、兄は先妻の子である為に、血の繋がりが濃いということもない。

サーシャのお披露目は何もなければ半年後を予定している。兄の予定では、その際に自身の立太子と、サーシャとの婚約を発表したいらしい、が。

「お兄様、半年以内に口説き落とさねばなりませんわよ。」

社交界に出て仕舞えばあの美しいサーシャに釣り書きはこれでもかと送られてくるだろう。

サーシャ本人は少し休ませてあげたいのは山々だが、兄の恋を応援したいのもあって、クララは迷っていた。

「ついでに、ではないけれど、半年で貴方の身分もしっかりさせないといけないわ。」

前の国では仮の身分ではあったが本来は公国の第二王子に当たるのだから、それを馬鹿正直に話してしまうと、クララが兄に叛意があるとされてしまうかもしれない。クララにとっては、王位継承権なんて、さっさと放棄してしまいたいものだけれど、貴族連中はそうではない。

彼には悪いけれど、男爵令息というのが一番しっくりはくるわね、とクララは、口には出さなかったが、エリアスを見てそう思っていた。

エリアスは一度、素顔を見せてしまうと、もう男爵令息と言われても疑問符を浮かべてしまうほど、素の自分に戻ってしまっている。

クララは成り行きをみつめると同時に一抹の不安を感じずにはいられなかったが、漸く会えた婚約者に心が浮き足だっていたのだろうか。それかこれ以上難しいことを考えたくなかったのか。

日々の生活を取り戻して行く過程で、うっかり考えるのを忘れてしまっていた。

思い出したのは、まさにそれが問題になったその時だったが、それはまた後の話。


表面上、エリアスと、クララは仲睦まじい友人のような関係に見えていた。

サーシャの教育はほぼ必要なく終わった。他国の公爵令嬢だった人なので、学ぶことと言えば、我が国独自の文化だけで、後は完璧だと、あの厳しい教師を唸らせたのだ。

「サーシャ、流石ね。」
「まあ、一応ね?早く慣れて落ち着きたいでしょ?今はまだ彼方も男爵令嬢につきっきりになっていても、いつアレクサンドラを追ってくるかもわからないんだし。」

サーシャの不安はごもっとも。不気味なのは、いまだにかの国が何の動きも見せていないこと。そんなことないだろうとは思うけれど、いまだにアレクサンドラがいない事実にさえ気が付いていないとかじゃないよね?

いくら何でも、と思ったのが間違いだった。彼らはこちらが思うより数千倍も愚かだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】姉を追い出して当主になった悪女ですが、何か?

堀多 ボルダ
恋愛
「お姉様、このマクレディ伯爵家は私が後を継ぎます。お姉様は邪魔なので今すぐこの家から出ていってください」 両親の急逝後、伯爵家を切り盛りしていた姉を強引に追い出して妹ダリアは当主となった。しかし、それが原因で社交界からは稀代の悪女として嫌われるようになった。 そんな彼女の元を訪ねたのは、婿に来てほしい男ナンバーワンと噂される、社交界で人気の高い幼馴染だった……。 ◆架空の世界にある架空の国が舞台の架空のお話です。 ◆カクヨムにも掲載しています。

【完結】さっさと婚約破棄が皆のお望みです

井名可乃子
恋愛
年頃のセレーナに降って湧いた縁談を周囲は歓迎しなかった。引く手あまたの伯爵がなぜ見ず知らずの子爵令嬢に求婚の手紙を書いたのか。幼い頃から番犬のように傍を離れない年上の幼馴染アンドリューがこの結婚を認めるはずもなかった。 「婚約破棄されてこい」 セレーナは未来の夫を試す為に自らフラれにいくという、アンドリューの世にも馬鹿げた作戦を遂行することとなる。子爵家の一人娘なんだからと屁理屈を並べながら伯爵に敵意丸出しの幼馴染に、呆れながらも内心ほっとしたのがセレーナの本音だった。 伯爵家との婚約発表の日を迎えても二人の関係は変わらないはずだった。アンドリューに寄り添う知らない女性を見るまでは……。

リリー・フラレンシア男爵令嬢について

碧井 汐桜香
恋愛
王太子と出会ったピンク髪の男爵令嬢のお話

早く婚約解消してください!

鳴哉
恋愛
自己評価の低い子爵令嬢 と その婚約者の侯爵令息  の話 短いので、サクッと読んでもらえると思います。 読みやすいように、6話に分けました。 毎日1回、予約投稿します。

悪の王妃

桜木弥生
恋愛
何度もその罪により処刑される王妃。処刑までの日数は三日間。数十回繰り返されたその生に、彼女は何を思い、何を求めるのか。 全21話完結済みで順次公開していきます。 1~4話公開済 5話 12/6 19:00公開 6話~19話 12/7~毎日7時と19時の1日2話公開 20話~最終話 12/14 0時公開

婚約者は嘘つき!私から捨ててあげますわ

あんり
恋愛
「マーティン様、今、わたくしと婚約破棄をなさりたいと、そうおっしゃいましたの?」 私は今何を言われてるのでしょう。 「ああ、もう2度と君の顔も見たくない、声も聞きたくない。君との婚約は僕の中では無駄な時間だったよ」 苦痛に歪むマーティン様のお顔は今まで見たことのない憎しみのこもった目で私を睨みつけておりました。 ほんの1ヶ月前まで「愛してる」と言ってくださったのに。 わたしの何が悪かったのかしら? 泣き腫らしたまま、待たせておいた馬車に乗り、何も分からないまま屋敷へもどるしかなかった。 ―――別れの理由も、真実も、何一つ知らないまま。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 勘違いから始まるキャラ文系寄りのラブストーリー。

【完結】アナタが選んだんでしょう?

BBやっこ
恋愛
ディーノ・ファンは、裕福な商人の息子。長男でないから、父から預かった支店の店長をしている。 学生でいられるのも後少し。社交もほどほどに、のんびり過ごしていた。 そのうち、父の友人の娘を紹介され縁談が進む。 選んだのに、なぜこんなけっかになったのだろう?

緑の輪っかの魔法

荒瀬ヤヒロ
恋愛
ある国に双子の姉妹がおりました。 姉のシエラは王子様の婚約者、妹のサリーはそんな姉にいつだって辛く当たる意地悪な妹です。 十六の誕生日に指輪を贈られ求婚されるのがこの国の習わしです。 王子様が婚約者のシエラに指輪を捧げるその日が、刻一刻と迫っていきーー

処理中です...