コロシアムでチャンピオンになった勇者は、気ままに魔王討伐にむかいます

ヒムネ

文字の大きさ
3 / 40

早朝の出来事

しおりを挟む
「――魔王とは、魔界から来た王のことである100年以上前にこの地に侵略してきました……か」
「こんなんばっかで、これと言った情報はないや」
 どれも仮説や妄想の本ばかりでエリイは読み疲れたのか溜息をして愚痴をこぼす。トレチは眠くなったのかあくびをしていて、つられてシャルルも大きなあくび。外を見ればいつの間にか暗く夜になっていた。
「夜か~」
「シャルルも一休みしたらどう?」
「そうしたいけど、そうはいかないかなエリイさん」
「焦ってる?」
「……ちょっと」
「ちょっとか……」
「『魔王はつねに無敵である!』だって」
「トレチさん、なに?」
「『ここ50年以上勇者は魔王を倒すことが出来ずもはや無敵の魔王を倒す術がないのかもしれない』」
「無敵……なのか」
「まあたしかに魔物はずっと出てきてるからね~」
「ちょっとあたし怖くなっちゃった~」
 エリイが山のように持ってきた本の一部をトレチが読んだ『無敵魔王』という言葉に僅かな不安を感じたシャルルたち。
「たしかに勇者は、毎年コロシアムのチャンピオン」
「その度に勇者かれらは旅をして……帰ってきていない」
「行方不明っていうか~……」
「魔王に倒された、けど」
 シャルルは椅子から立ち上がり二人を力強く見つめた。
「それも今年で終わらす!」
 彼の力強い言葉に元気をもらい笑顔になった二人。情報はさほど得られなかったがもう遅いからと宿屋で寝ることにした。しかし早朝、シャルルは不審な音に目を覚ましてしまう。

「なんだ……」
 窓の外を見るとまだ日が出るかでないかというところで外が騒がしく宿屋を出て見ることにした。
「この街にあの方は居るはずだ、探せ!」
〔あれは髪の毛から出てる巻き角は魔族、魔王の手下か!?〕

「おい貴様っ!」
「は、はい、ひぃっ、魔族!?」
 どうやら魔族の手下が早朝に出歩いている人間に話しを聞いているようだが、それにしては目をつり上げ脅すようなドスの聞いた声で話しかけるなんて、ビビるのも無理はない。
「この街に魔族を見なかったか?」
「ま、まま魔族なんてっ」
「おいっ、どうなんだ人間っ!」
「みっ、見てませんよっ、ヒィッ!」
「いちいち怯えやがって……へっへっへっ、早朝だし一匹くらい殺ってもいいか」
「そっ、そんなっ!」

 ガンッ、と飛んできた剣が二人を離れさせるように壁に刺さる。
「誰だコラァッ!」
「やめろっ!」
「あーん?」
「そこのおじさん逃げてください」
「ヒィィィッ!」
「その紅い炎のような髪……ははーんお前が今年の勇者か」
「ああそうだっ、お前は魔王の手先かっ!」
「だったらどうしたぁーっ!」
「お前を、倒す」

 話し合う気もなく飛び込んできた相手が爪で刺し殺そうとした瞬間、シャルルの剣が相手の身体を横一文字に斬り裂いた。

「ぐはっ、バカな……き、さ……ほ……」
「まだ、いるみたいだな」
 シャルルはまだ脅している魔王の手下が近くにいるのではないかと思い街を見回ることにした。
「見つけた!」
「貴様はっ、勇者かっ!」
 もう噂が立っているようでシャルルに襲いかかってきため、反撃して一人、二人と倒していく。
「ぐあっ……」
〔どうしてこの二ビーチの街に隠れているんだ……まるで何かを探しているみたいに徘徊していた様な気がする……〕
 考えているとバサンバサンと羽音がして上空を見上げた。
「貴様か、私の部下を倒したのは」
「お前らが徘徊していたのか魔王の手下っ」
「こいつが勇者……クックックッ」
「どうしてこの街を徘徊しているっ」
「ニイッ、圧力爆発プレッシャー・バーストッ!」
 突然と人が丸々入るくらいの大きな炎の玉をシャルル頭上に放ってきて爆発した。その爆音で周囲の人達は飛び起き窓を開けると戦いだと気がついた。
「クックックッ」

「うわぁぁっ、戦いだっ」
「魔王の軍が攻めてきたのか!?」
「逃げろぉーっ!」

「これで終わりじゃ無いだろう
 土煙が風で晴れていくとその場にシャルルの姿が現れた。
「当然……あんたも、炎使いか」
「ああ、私は魔王様の部下ヴォレム、勇者、貴様も炎使いとはおもしろい」
「おりてこいっ!」
「降りてやるさっ、死ねっ、炎の拳バーニングッ!」
炎の拳バーニングッ!」

 大きな爆音はシャルルの泊まっていた宿屋の方にも響いていた。
「はにゃっ、なんの音っ!?」
「遅いぞトレチッ、シャルル居ないっ、おそらく外で戦ってるっ!」
「ちょっとまってよエリイ~!」
 急いで着替えてる間に既に着替えを終えていたエリイは外に出ていってしまった。慌ててコケながらも準備をしていると窓に見える人影。
「ん~、なんだろう?」
 気になって窓を覗けば既にエリイも戦っていて自分も下へと飛び降りた。

「はあぁぁぁあっ!!」
「ぐあっ!」
 格闘家エリイによる蹴りが魔王の手下を吹き飛ばす。するとそのあとすぐドデンと上から何かがエリイに落ちた。
「いたたた、ちょっとトレチッ、なにすんのよっ!」
「あはははは~……ごめん」

 その音に反応も見せずシャルルとヴォレムの戦いをトレチが発見したフード男は黙ってその戦いを観戦していた。
〔見せてみろ、チャンピオンとなった勇者の力を〕
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。 国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。 でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。 これってもしかして【動物スキル?】 笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...