コロシアムでチャンピオンになった勇者は、気ままに魔王討伐にむかいます

ヒムネ

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 炎を纏った拳と拳がぶつかり合う。そんな二人はニヤリと頬を上げる。
「クックックッ、同じ炎使いとは笑ってしまうよ!」
「オレも、自分と同じ炎使いとなんて初めてだよ。でもっ、オレが勝つっ!」
「ほざけっ」
 ヴォレムは一度上空へ、そしてどこから出たのか背中から二本の剣を出す。
「双剣」
「さっきの拳は試しただけだ、オレの本当の武器はこの二本の剣よっ、炎剣フレイムッ!」
 二本の剣に炎が燃える。それに対抗するためかシャルルも右手に剣を持ち替えた。
炎剣フレイム
「フフッ、剣一本でふせげるかっ!」
 下降して襲いかかるヴォレムにシャルルは構えた。
 そんな真剣勝負と思っていないエリイと、トレチは気になっていたフードの男の元へと向かっていた。
「ちょっとトレチッ……もうっ!」
「――よっと」
「誰だ、オレの後に立つ奴は」
「あなた、さっきからずっと何かを見てるみたいね」
「貴様には関係ないだろう、去れ」
「関係あるわよ、だってあたし彼の仲間だもん」
「仲間? そうかあの勇者の仲間か」
 雰囲気が変わったのを察知したトレチは逃げられるように右足を後ろに下げた。
「そっ、だから困るのよ、あなたが敵ならね」
 杖を両手で持ち構えたトレチ。すると後ろからは家から家に飛び移り上がってきたエリイ。
「トレチ……そいつは?」
「あたしが宿で見かけた、フード男」
 雰囲気を感じとってエリイは構えだし相手を睨んだ。
「狙いはなに、シャルル?」
「格闘家か……」
「答えなさいっ!」
「結果さ、この戦いのな」
「はい?」
「それよりも助けに行かなくていいのか」
 フード男の向か先には双剣に苦戦するシャルルが見えた。
「オラァッ、どうした勇者ぁっ!」
〔くっ、相手の双剣で攻撃が通らないうえに、同じ炎属性でダメージも薄い〕

「シャルル、くっ」
「行こうエリイ」
「……ええっ」
 いまは左手が徒手空拳のシャルルは変わりに炎魔法を使うも当然相手は炎使いのため通じない。

「さっきの勢いはどうしたっ……これはっ!?」
 ヴォレムの周りを風が砂煙となって渦巻いていく。
「なんだ?」
「風魔法突風ウィンド~、グルグルグル~」
「そうかっ、勇者の仲間かっ!」
 トレチが緑に光る魔法の杖を持って腕を回転させ起こした砂煙で小石が目に入り視界を奪われていると、急に足を滑らせた。
「はぁぁぁあっ!」
 低く滑らすようにして現れたエリイがヴォレムの脚に強力な回転蹴り。

「しまっ、ぐはあっ!」
 仲間に気がつき隙を逃さずヴォレムの右の頬に拳がはいる。
 壁に激突したありがとヴォレム、その隙に三人は集まり体勢を整えた。相手に考えさせる時間を持たせるわけにはいかない。
「トレチッ、お願いがある!」
「はい」

「うおおおっ、これでは魔王様に顔向けできんっ!」
「あれはっ、炎獄の鎧ヘル・ファイヤー!」
 怒り白目のヴォレムの身体全体が炎で包まれていく。
炎獄の鎧ヘル・ファイヤーは魔力で全身を包みその上をさらに炎で包む炎魔法……〕
「奴は、普通じゃないわ!」
「ヴォレムは自分の炎耐性に任せて身体を包んでいる」
「それって、リスク大きいじゃん!」
「オレには分かる、あの炎は通常よりも強い!」
「そうね、纏う魔力を炎に変換って感じね」
「二人とも、オレが隙を作るから作戦どおりに頼むっ!」

「死ねぇっ、勇者ぁぁぁっ!」
「うおぉぉぉっ!」
 向かってくるシャルルに二本の剣が大きな炎を纏い振り下ろされた。
「このくらいっ!」
 右手に持ち替えた片手の剣で二本の剣を捌くも両肩に切り傷を負う。しかしそんなことは気にすることもなく、シャルルはヴォレムの右肩に剣を刺し、左肩を強く掴んだ。

「くっ、離せっ、勇者ぁっ!」
「そうはいかないね、炎獄の鎧ヘル・ファイヤーッ!」
「なっ、なんだと!?」
「炎の勇者だぜこれくらいは使えるっ、さあ我慢比べだっ!」
 ヴォレムはその意味に一瞬困惑した。
「貴様っ、ふぞけるなぁっ!」
「ふざけて……ねえさ。オレの炎がお前の炎を上回れば、オレが炎獄の鎧ヘル・ファイヤーを操れる!」
「なにっ!?」
「くう~っ、さすがにオレでも熱い、熱すぎるぜ……だけど、操らせてもらうぜっ!」
 その時、ヴォレムに青空が見えるとキラキラ光る物が。
「雨じゃない氷の針だよ、千の氷針アイス・ニードル!」

「ぐぁあぁああっ!」
「くっ!」
「貴様このために炎を」
「ダメージはオレも受けるけどね」
「力尽きるぞっ、バカめ」
「そう、だな……」
 ヴォレムを掴んでいた手と片手剣を手放し後ろにフワッと血だらけのシャルルは倒れる。愚かと思った、そのとき目の前が暗くなり同時に顔面に衝撃を受けた。

「回転脚っ、大嵐ぃぃっ!!!」

 エリイが身体を思いきり回転させヴォレムの顔に蹴りを浴びせ続ける。それに続き倒れたと思わせたシャルルは既にしゃがみ両足にに炎を集中させていた。

炎の龍フレイム・ドラゴンっ!」

 ヴォレムの顎に両足から炎を爆発させ勢いに乗ったアッパーがきまり、上空へと舞い上がった……。
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