20年前のボツキャラと兄弟のやり残し

ヒムネ

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自分の世界とこの世界

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「――ふぅ~、終わりっと・・・待ってるかな~」
 階段を下りていくと入り口のドア先に見える勇気 舞の姿、やっぱり夢ではないかと再び確認するように自分のほっぺをつねりながら歩く。


「やぁ、待たせてゴメン」
「別に・・・さっ、あんたのお兄さんに会わせて」
「・・・わかったけどその前に君はどうして僕と兄さんのことを」
「わかってるでしょ」
「君の口からききたい」
「あたしの世界はあんたたちが描いた漫画、そこからこの世界にやってきた、話によればあたしは世界を救うはずだった」
 あの頃の兄さんはたしかにそう言っていたと後ろ頭をかく宏伸、話はもはやファンタジー。
「でもその漫画は・・・」
「その漫画の主役があたし、でもそのあとは音沙汰なくボツになった」
 「数年後に漫画をやめたから・・・それは悪いことをしたね、わかった付いておいでよ」


 彼は会社からすぐ目の前の横断歩道を渡る。
「こっちなんだ」
「あー、この先から10分位歩くから」
 舞が向かったコンビニは新宿一丁目の方だったため方向は違うよう。
「あ、これ、カード返す」
「うん」
「・・・あのさ」
「ん、なんだい?」
「すごい発展してるのね、ここ」
「そりゃあここは東京だもん、たぶん日本で1番発展してるんじゃないかなハハッ・・・でもなんで?」
「なんか、良いな、ちょっと羨ましい」
「へ・・・もしかして君の世界は」
 話しながらも道路を一つ二つと渡り三つ目に看板が、そこには『居酒屋』の字が、宏伸は看板下のお店えと躊躇なく入っていった。


「いらっしゃーい」
 魅惑のお姉さん、中は掃除を毎日してるのか綺麗で花瓶にバラとかも、カウンターの後ろにお酒があるけど居酒屋のような古びた感じがしない。この中に宏伸のお兄さんがいるはずだ。
「やぁ、お姉さん」
「あいたかったわ~、また随分とふくよかにったわねん」
「ほっとけっ」
「あら、めずらしいお嬢さんね、いくつ?」
「あ、はい、16です」
「キャーッ、じゅ・う・ろ・く、せ・い・ふ・く、純情で、若いって・ス・テ・キ、でも目元が怖いわよ、はいスマイルスマイル」
「あっ、はぁーあ」
 妙に馴れなれしいお姉さんについ足を引いてしまう。
「ほらほら、あんまり若い子を怖がらせちゃいけないよ」
 そこに現れたのは全身黒スーツだけどキラキラオーラを放つお兄さん。
「まさかっ、この人がっ!」
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