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ボツキャラと兄弟
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「宏隼・・・店長」
「沙姫さんは外に」
「はい」
宏伸は気をつかって沙姫をいったんお店の外に出してあげた。
「まあ、あたしが描くわけじゃないからもしかしたら気にくわないかもしれないけど」
「舞ちゃん、兄さんは君が働き始めたときから動いてくれていたんだ」
「え、うそ・・・」
舞が働くと決めたとき兄弟でどうやって続きを描くかと話した。その結果、弟は編集者であるためネタに困っている人探しで沙姫を、ならばと店長で今はオカマの宏隼は自分の店で勇気 舞という人間を知ってもらうためにお店として使ってもらおうと思いついた。その期間が大体1ヶ月位だろうと踏んで。
「あたしには、なにも・・・」
「それはあなたの本気をあたしなりにちゃんと見たかったから、でもちゃんと伝わったわ、仕事に真面目でお客さん期待にも応えて、だからあたしもあんたを生み出した親としてけじめのために動いたの」
「店長・・・うっ」
「あら、泣いちゃったの?」
つい涙が出てしまった。希望を捨てまいと必死に働いて、でも我慢していた涙が高橋兄弟の優しさによって流れた。
「ゴメンね舞ちゃん」
「宏伸、さん」
「いまの僕たちじゃどうしても漫画を描くことが出来なくて時間かかっちゃって」
そんなことはない、宏伸も時間があればオカマバーに顔を出して舞を心配してくれていた。
冷たく感じた店長でオカマの宏隼と太っちょ編集者の宏伸の兄弟と舞とのわだかまりは無くなった。舞はおもわず宏隼に抱きつくと、その彼女を包む宏隼の両手も父や母のようなあたたかさを感じていたのだった・・・。
その次の日の早朝、3人は明治神宮へと来ていた。
「ちゃんと帰れるの?」
「うん、この世界に来るときも明治神宮で毎日祈ったらこれたから、おそらく」
「舞ちゃんが帰るなんて寂しくなるよ」
「宏伸さん・・・宏隼店長お世話になりました、あたし最初は兄弟を許さないって思ってきたけど、こんな嬉しいような寂しいような気持ちになるなんて夢にも思わなかった、来てよかった」
「これから沙姫ちゃんが描くあなたの物語が始まるの、戻ったら大変よ」
「うんあたし頑張る、沙姫さんにもありがとうって伝えておいてください」
「OK、僕から伝えとくよ」
「じゃあ、名残惜しいけど」
「それじゃこれはあたしから」
「店長これって、お酒? あたし無理ですよ」
「この『ジントニック』は大人になってから飲みなさいな」
「あ、ありがとうございます」
「じゃあ、さっさと行きなさい」
「はい」返事をすると舞は手と手を合わせて『帰りたい』と強く祈った。すると優しい光の玉が舞を包むように周り同時に体が半透明に。兄弟はそれを黙って見守った。
「ありがとう・・・さようなら」
舞は大人っぽくも子どものような表情で完全にその場から消えていった。
「きえ、ちゃったね兄さん」
「・・・そうね、ほらさっさと仕事に戻るわよ」
「うん、じゃあ僕はこれで」
かつて夢を抱いていた若き日の二人も時がたち、またそれぞれの職場へと向かって別れる。段ボールの中に埋もれていたボツキャラの舞、彼女の幸せを想いながら・・・。
「沙姫さんは外に」
「はい」
宏伸は気をつかって沙姫をいったんお店の外に出してあげた。
「まあ、あたしが描くわけじゃないからもしかしたら気にくわないかもしれないけど」
「舞ちゃん、兄さんは君が働き始めたときから動いてくれていたんだ」
「え、うそ・・・」
舞が働くと決めたとき兄弟でどうやって続きを描くかと話した。その結果、弟は編集者であるためネタに困っている人探しで沙姫を、ならばと店長で今はオカマの宏隼は自分の店で勇気 舞という人間を知ってもらうためにお店として使ってもらおうと思いついた。その期間が大体1ヶ月位だろうと踏んで。
「あたしには、なにも・・・」
「それはあなたの本気をあたしなりにちゃんと見たかったから、でもちゃんと伝わったわ、仕事に真面目でお客さん期待にも応えて、だからあたしもあんたを生み出した親としてけじめのために動いたの」
「店長・・・うっ」
「あら、泣いちゃったの?」
つい涙が出てしまった。希望を捨てまいと必死に働いて、でも我慢していた涙が高橋兄弟の優しさによって流れた。
「ゴメンね舞ちゃん」
「宏伸、さん」
「いまの僕たちじゃどうしても漫画を描くことが出来なくて時間かかっちゃって」
そんなことはない、宏伸も時間があればオカマバーに顔を出して舞を心配してくれていた。
冷たく感じた店長でオカマの宏隼と太っちょ編集者の宏伸の兄弟と舞とのわだかまりは無くなった。舞はおもわず宏隼に抱きつくと、その彼女を包む宏隼の両手も父や母のようなあたたかさを感じていたのだった・・・。
その次の日の早朝、3人は明治神宮へと来ていた。
「ちゃんと帰れるの?」
「うん、この世界に来るときも明治神宮で毎日祈ったらこれたから、おそらく」
「舞ちゃんが帰るなんて寂しくなるよ」
「宏伸さん・・・宏隼店長お世話になりました、あたし最初は兄弟を許さないって思ってきたけど、こんな嬉しいような寂しいような気持ちになるなんて夢にも思わなかった、来てよかった」
「これから沙姫ちゃんが描くあなたの物語が始まるの、戻ったら大変よ」
「うんあたし頑張る、沙姫さんにもありがとうって伝えておいてください」
「OK、僕から伝えとくよ」
「じゃあ、名残惜しいけど」
「それじゃこれはあたしから」
「店長これって、お酒? あたし無理ですよ」
「この『ジントニック』は大人になってから飲みなさいな」
「あ、ありがとうございます」
「じゃあ、さっさと行きなさい」
「はい」返事をすると舞は手と手を合わせて『帰りたい』と強く祈った。すると優しい光の玉が舞を包むように周り同時に体が半透明に。兄弟はそれを黙って見守った。
「ありがとう・・・さようなら」
舞は大人っぽくも子どものような表情で完全にその場から消えていった。
「きえ、ちゃったね兄さん」
「・・・そうね、ほらさっさと仕事に戻るわよ」
「うん、じゃあ僕はこれで」
かつて夢を抱いていた若き日の二人も時がたち、またそれぞれの職場へと向かって別れる。段ボールの中に埋もれていたボツキャラの舞、彼女の幸せを想いながら・・・。
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