3 / 4
遊園地
しおりを挟む
――あのあと大型ショッピングモールの中を見周り時間も昼頃になると「食べないと緑沙の~」と半ば脅迫じみたことを人形に言われ昼食を取り車に戻った。
「――ふぁ~あ~あ~」
「あんなに沢山寝てたのに眠そうね」
「あのな~、オレは2時間くらい運転してんだぞ。疲れるに決まってるだろ」
「元気出てきたじゃん」
「別に······飯食いや多少わな」
家に帰ると思いきや人形は次の場所を指定してきた。それは『遊園地』、もともとは緑沙と行ったところで今度はそこに行きたいと言われ、どうせ断ればどうなるか分かるし死ぬ前にとも頭の片隅で考えて向かうことにした。
――バンッ、とドアを閉めしっかり鍵を掛け、
「着いたぜ、人形様よ」
「あ~、なんか楽しみ~」
観覧車やメリーゴーランドなどいたって普通の遊園地で特別な物があるわけでもないが小さい人形にとってはさぞ大きく広大に見えることだろう。
オレにとっては緑沙とのかけがえのない想い出の場所、なのだが試練が訪れる。
「ジェッ、ジェット、コースター」
「うん、そう。さぁ行きましょ」
「······お、おれは、やめ、とく」
声がガチガチに、そう、オレはジェットコースターが嫌いだ。
「お、おまえ1人で行けよ」
「人形のあたしが乗れるわけないでしょっ」
「じゃっ、じゃあ無理だろう」
「それは大丈夫よ」
そして結局······。
ガタガタガタッとジェットコースターはゆっくりと登っていく。
「こ、こわ、い、こわい」
怖くて呂律も回らないのに対し人形はヒョコッとオレの服の中から顔を出す。人形の考えはオレの服の中に隠れて乗るということだった。
「もう、意気地なしね~」
「あわ、わっ」
「ダメだこりゃ」
呆れながらもワクワクな人形と怖がるオレにジェットコースターが頂点にたっした時、急降下する。
「ハギャアアアー!」
「キャーさいこうー」
オレは、地獄を味わった······。
ジェットコースターの試練を乗り越えベンチで休憩。もうほとんど死にかけの放心状態だが、
「はあ~やっぱりジェットコースターは最高だったわ~」
目をキラキラさせたように鞄から顔を出しそう思いを過ぎらせる人形、力が抜けたオレに対し元気が溢れてきたのか、このあともカップやカート、お化け屋敷でも遊ぶ。
死ぬことを考えるヒマもなくあっという間に空もオレンジ色に染まる。
「もうそろそろ閉園になるぞ」
「じゃあ最後はあれね」
「あれか」
あれとは観覧車。どうやら最後にと残していたらしい。
観覧車に1人乗る。もしかしたら係員にはおかしく思われたかもしれない。でもまさか人形が動くなんて想像はしないだろう。
ゴンドラがゆっくりと進んでいくと座ったオレは窓枠に肘を乗せ自分の顔を支えながらボーッと街並みや夕陽を眺めていた。
「ここなら自由よね」
テンションが高い人形、暴れ過ぎると窓から分かっちまうだろと注意したが、わりとすぐ大人しくなり夕陽を眺めだす。
「きれーい、なんかジンときちゃうな~。人形だから涙は出ないんだけどね」
ジンとくる。その言葉と人形の横顔にふと前の出来事を思い出す。
「そ~いや~、1度だけ緑沙を泣かしちゃったことあったな~」
「そうなんだ」
バイトで疲れて帰ってきて緑沙がオレの家の前でサプライズに待っていた。
「じゃ~ん、待ってました」
「あ、つかさ」
でも仕事で疲れていたオレは夕方のデートを断るとそこでケンカになって3日間のあいだ連絡をとらなかった。冷静になればちゃんと言葉があったはずなのに。
ダメ元でスマホで謝ってまた会おうと送ったら、彼女は会ってくれた。
「――つかさも、きっとあんたのこと好きだったのよ」
「ああ、そこでつかさが別れたくないって泣いてさ。オレもって言ってそこでデートし直したんだ」
「ふ~ん、でっ、どんな気持ちだったの?」
「悪いと思ったけど~······かわいくて、あと嬉しかった」
「かわいくて、嬉しいって、反省の気持ちはないわけっ?」
気が触ったのかゴンドラの中で怒鳴られる。
「反省はしたよ、したけど泣いてくれるとは思わなくってさ、だから嬉しくて」
「ったく、これだから男は~」
「ははっ······って、何で人形のお前に怒られなきゃいけないんだよ」
「だまらっしゃい、あっ」
その時ゴンドラは1番の頂点に到達し、そこからの夕焼けの眺めに2人は心を奪われた。
「「きれ~い」」
「「ん?」」
2人の言葉は重なり、不意にもオレは生きることも悪くないと小さく芽生える。人形のおかげで。
「なぁ、この次もどっか行くのか?」
「もちろんよ、1週間分は動いてもらうわよ」
「おいおい厳しいな」
それを聞いたオレは悪い気はしなくなっていて、この際だから今日はとことんまで付き合ってやることに決めた······。
「――ふぁ~あ~あ~」
「あんなに沢山寝てたのに眠そうね」
「あのな~、オレは2時間くらい運転してんだぞ。疲れるに決まってるだろ」
「元気出てきたじゃん」
「別に······飯食いや多少わな」
家に帰ると思いきや人形は次の場所を指定してきた。それは『遊園地』、もともとは緑沙と行ったところで今度はそこに行きたいと言われ、どうせ断ればどうなるか分かるし死ぬ前にとも頭の片隅で考えて向かうことにした。
――バンッ、とドアを閉めしっかり鍵を掛け、
「着いたぜ、人形様よ」
「あ~、なんか楽しみ~」
観覧車やメリーゴーランドなどいたって普通の遊園地で特別な物があるわけでもないが小さい人形にとってはさぞ大きく広大に見えることだろう。
オレにとっては緑沙とのかけがえのない想い出の場所、なのだが試練が訪れる。
「ジェッ、ジェット、コースター」
「うん、そう。さぁ行きましょ」
「······お、おれは、やめ、とく」
声がガチガチに、そう、オレはジェットコースターが嫌いだ。
「お、おまえ1人で行けよ」
「人形のあたしが乗れるわけないでしょっ」
「じゃっ、じゃあ無理だろう」
「それは大丈夫よ」
そして結局······。
ガタガタガタッとジェットコースターはゆっくりと登っていく。
「こ、こわ、い、こわい」
怖くて呂律も回らないのに対し人形はヒョコッとオレの服の中から顔を出す。人形の考えはオレの服の中に隠れて乗るということだった。
「もう、意気地なしね~」
「あわ、わっ」
「ダメだこりゃ」
呆れながらもワクワクな人形と怖がるオレにジェットコースターが頂点にたっした時、急降下する。
「ハギャアアアー!」
「キャーさいこうー」
オレは、地獄を味わった······。
ジェットコースターの試練を乗り越えベンチで休憩。もうほとんど死にかけの放心状態だが、
「はあ~やっぱりジェットコースターは最高だったわ~」
目をキラキラさせたように鞄から顔を出しそう思いを過ぎらせる人形、力が抜けたオレに対し元気が溢れてきたのか、このあともカップやカート、お化け屋敷でも遊ぶ。
死ぬことを考えるヒマもなくあっという間に空もオレンジ色に染まる。
「もうそろそろ閉園になるぞ」
「じゃあ最後はあれね」
「あれか」
あれとは観覧車。どうやら最後にと残していたらしい。
観覧車に1人乗る。もしかしたら係員にはおかしく思われたかもしれない。でもまさか人形が動くなんて想像はしないだろう。
ゴンドラがゆっくりと進んでいくと座ったオレは窓枠に肘を乗せ自分の顔を支えながらボーッと街並みや夕陽を眺めていた。
「ここなら自由よね」
テンションが高い人形、暴れ過ぎると窓から分かっちまうだろと注意したが、わりとすぐ大人しくなり夕陽を眺めだす。
「きれーい、なんかジンときちゃうな~。人形だから涙は出ないんだけどね」
ジンとくる。その言葉と人形の横顔にふと前の出来事を思い出す。
「そ~いや~、1度だけ緑沙を泣かしちゃったことあったな~」
「そうなんだ」
バイトで疲れて帰ってきて緑沙がオレの家の前でサプライズに待っていた。
「じゃ~ん、待ってました」
「あ、つかさ」
でも仕事で疲れていたオレは夕方のデートを断るとそこでケンカになって3日間のあいだ連絡をとらなかった。冷静になればちゃんと言葉があったはずなのに。
ダメ元でスマホで謝ってまた会おうと送ったら、彼女は会ってくれた。
「――つかさも、きっとあんたのこと好きだったのよ」
「ああ、そこでつかさが別れたくないって泣いてさ。オレもって言ってそこでデートし直したんだ」
「ふ~ん、でっ、どんな気持ちだったの?」
「悪いと思ったけど~······かわいくて、あと嬉しかった」
「かわいくて、嬉しいって、反省の気持ちはないわけっ?」
気が触ったのかゴンドラの中で怒鳴られる。
「反省はしたよ、したけど泣いてくれるとは思わなくってさ、だから嬉しくて」
「ったく、これだから男は~」
「ははっ······って、何で人形のお前に怒られなきゃいけないんだよ」
「だまらっしゃい、あっ」
その時ゴンドラは1番の頂点に到達し、そこからの夕焼けの眺めに2人は心を奪われた。
「「きれ~い」」
「「ん?」」
2人の言葉は重なり、不意にもオレは生きることも悪くないと小さく芽生える。人形のおかげで。
「なぁ、この次もどっか行くのか?」
「もちろんよ、1週間分は動いてもらうわよ」
「おいおい厳しいな」
それを聞いたオレは悪い気はしなくなっていて、この際だから今日はとことんまで付き合ってやることに決めた······。
0
あなたにおすすめの小説
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
least common multiple
優未
恋愛
高校卒業から10年を記念した同窓会に参加した詩織。一緒に参加予定だった友人の欠席により1人で過ごしていると、高校時代の人気者である久田に声をかけられて―――。マイペースな頑固者と本命には及び腰の人気者のお話。
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる