〜クイーン·ザ·セレブレイド〜

ヒムネ

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プリンセス ―ロング―

そのあと······

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 剣を振り上げた時、



 左横から剣が現れ咄嗟に後ろへと跳ぶラドルフの目に入ったのはプレナだった。


「デナは、殺らせない」


「まさかお姉さんが来るとは」


 目で睨みつつ意外だと思ったラドルフ。


「姉さんどうして、ロベリー王女は?」


「······殺る寸前デナの剣に気付いて来た」



 そんな、と絶句する。



 皆が結束しこの戦いを皮切りに二人をクイーン·ザ·セレブレイドにと想い命を懸けているというのに。


 自分を護るために駆けつけてきた姉に、


「······愚かな」


 もう少しのところでとラドルフが構えると、


「ま、待ってラドルフ!」


 恐怖していたロベリーは何とか自分を言い聞かせ歩いて来たのだ。


「ロベリー、王女」


「プレナ王女、もう止めてください」


 まだ説得を続けるロベリー。そこにラムールも騎乗しながら駆けつけた。


わたくしはいま死んでいました。でも、それはデナさんも一緒です」


 ボロボロなデナの姿を見てこれ以上の戦闘はさせられず、思ったよりも手こずったロベリー王女。


 様々な現状にプレナは、



「退くぞ」



「姉さんっ!」


 退く事を決断したプレナ王女にラムールも、


「そんな、ここまでして退くとは」


「命令だ」


 王女の命令は絶対である。


 分かりましたとラムールが突然弓兵の弓を取り上げ、



「ならばっ!」



 素早く弓を引き、油断しているロベリーに向って放った。



 刹那の瞬間、



 ロベリー様と周りが声を出す前にバーナが彼女に飛びかかり矢を間一髪避けた。



「ロベリー王女ご無事で」

「は、はい」



 ラムール貴様と前に出ようとするバーナだがロベリーに止められ剣を収める。プレナも「気が済んだか」と言葉を掛けラムールは黙って頷いた。


「プレナ王女······」


 何も答えず兵士達を退かせて行く、ロベリーも皆を止めるよう命令し自分も動く······。


 かくして紛争は終わりランク国西の荒野で両軍で約1000人の兵士達は、


 重傷者約80人、軽傷者約半数の500人にも上り、


 死者は20人。



 遠くから進軍して来たプレナ達ラバーグの兵士の重傷者達を連れて行くのに時間が掛かりどうするかと悩んでいる所に、


「プレナ王女!」


「······なんだ、ロベリー王女」


 ロベリーはラバーグの重傷者もランク城が受け持つと言い出した。


「お前、私を愚弄する気か」


「傷付いた人を放っておく事は出来きません」


 先程まで自分達が傷付けた敵兵を治療するという何とも言えない気持ちを誰もが思いながら、
 

「勝手にしろ······」そう言い捨てたプレナ王女。



 日が沈みランクを抜けゴルドバ、ターキシムと渡りプレナ王女と兵士達はラバーグ城へと帰還する。
 ラバーグ城は土色の城壁に囲まれ3つの入り口に兵士が見張っていて、その奥にまた土色の壁で屋根がエメラルドグリーンの城がそびえ立つ。
 城の扉を開くと、壁一面に家系図という珍しいものが見え、真っ直ぐ進むとステンドグラスの下に2つの玉座があったのだが座る間もなくデナが、


「姉さん、どう言うつもりだっ!」


 姉を壁に付け胸ぐらを掴んで怒鳴りつけていた。


「うっ、デナ」


「皆なんの為に戦ったかこれでは分からないではないか、しかもラバーグ城の重傷者をランク城が見るだと、こんなふざけた話があるかっ!」


 それだけではない、デナの頭の中にはランク城を畳み掛けようと追加の騎兵等約500人があの戦場に参戦させる算段だった。
 だが結果、軍は撤退、途中で向かって来ていた騎兵達と出会い事情を説明して引き返す羽目にまでにいたる。


「悪かったよ、デナ」


 妹の強く見る目を逸らさずに謝り自分の愚かさを否定せずプレナは、


「だが、私が助けなければ、デナは死んでいた」


「そうだとしても」



「それではダメだっ、私とお前、二人で勝ち残ってこそ意味があるんだ!」



 姉の目付きが変わり掴んだ胸ぐらを離すデナ。


「その為なら、たとえ罵声を浴びようとも私の考えは変わらない」


「姉さん」


 デナはクイーン·ザ·セレブレイドにすれば良いと考えていが姉は違う。


 、この世界を統べるクイーン·ザ·セレブレイドになるつもりだった。


 姉の意思を知り城を出たすぐ左に二人の家があり、『王女が右の手のひらを裏返す彫刻の扉』を開けて自分の部屋へと向かった。
 複雑な気持ちでも双子は互いを信じて······。



 争いを終えたランク城の兵には批判をする者は少なからず居たもののロベリー王女の慈悲だと自身を理解させラバーグの兵の治療にあたっていた。
 勿論その敵軍も命を奪おうとした相手に治療され、割り切れない心境になる。


 肝心のロベリーはその夜、自身の部屋で、



「みんなが、みんなが······死んでいく」



 心身を病んでいた。


 初めての戦い、争い。その全てが彼女の脳は鮮明に記憶し兵士達の遺体、叫び、怒り、嘆きがこだまするように。


「わたしの、せい、で」


 自分を責めるが、


「うご、かないと······」


 それでも彼女は傷付いた兵達を治療する治療班の手伝いへと向かっていく。


 ランク城は四方に塔があり上空から見て右下は『剣と槍の部屋』左下が『斧と盾の部屋』になっていて準備や訓練をする場所なのだがそこに重傷者を寝かせ治療に当てざるおえず、軽傷者は廊下に並びそこでかすり傷やアザなどの治療を受け自宅に帰るのだ。


 そこにロベリーも加わり軽傷者の手当に周ると「ロベリー様すいません」「ありがとうございますロベリー様」などの兵に、


「いえ、城のために戦ってくれた皆さんですから」


 と言いつつ兵士達から送られる感謝の言葉1つ1つが彼女の病んだ気持ちの少しの救いとなるのだった。


 治療班からも感謝され笑顔で次へ行く王女。それは戦死した兵士達の場所、ランク城の入り口の外には亡くなった兵士の家族達の姿も、


「王女様っ」


「すいませんでした。私の力が足らないばかりに」


 戦死した兵士の上に1枚の白い布が被さっていて、兵士の両親が「せめて息子の顔を」と王女に見てほしいという親もいた。
 それに応じ1人1人の顔を確認するロベリー、その表情は皆純粋に平和を求める顔だと彼女には見え、夜中には全て見終えると、



「彼等に永遠とわの安らぎを」



 松明での温かい光の中で王女と兵士そしてその家族達で祈りを捧げた。そこには窓を開けベッドからも顔を見せたプログ王もまた祈りを捧げる。


 そして彼らはランク城の崖の海のへと水葬され日の出が顔を見せ夜が開けたのだった······。



 1度全てを見周り、自分の部屋の扉で一息付くロベリー、戦ったあとも休まずやるべき事を寝る間も惜しんで続けた彼女、それでも襲う不安な気持ち、扉に背もたれしぼーっと天井を見ていたら。


「ロベリー様、お疲れ様です」


「バーナ、ちょっと休んでいただけです」


 彼も右腕に包帯を巻いていた。


「その怪我は」


 もしかしてあの時庇ってと直感する。


「いえ、ただ少しあざが出来ただけですよ」


「そうですか······バーナ」


「どうされました?」


「すいません、私のせいで」


 そんな事はありませんと目を閉じ笑みを浮かべて話しだす。


「昨日の戦争はラバーグ城が仕掛けて来たもので、それをロベリー王女は果敢に止めようとしたではありませんか」


 王女は必死に止めようとしたと彼女の行動は適切だったと言うがロベリーの顔は右下な向き、


「でも結局は」


 結局は争いを止められず、


 怪我人を出し、


 死人を出てしまった自分を責めずにはいられなかった。


 自分を強く咎めていると感じたバーナは、


「王女様は悔やまれていると思いますが、残念ですが戦争を止めるというのはそう簡単にはいきません」



 いまなら、分かる気がする。



「それでも私はロベリー様の意思を尊重します」


「えっ」


「私も戦争は嫌いです。いや、兵士達皆そうです。だからロベリー様のと言う言葉は、私達兵士の死した仲間の調希望です」



 と素直に言われ嬉しくて頬を赤くするロベリー、



「ですからロベリー王女がどうか心身を回復する事を勝手ながら祈らせて頂きます」



「バーナ、ありがとうございます」



 朝の日の出に太陽が王女を照らし彼女の笑みが溢れた······。


 澄んだ雰囲気の中、予期せぬ事がロベリー王女に伝えられる。


 それはお昼前の事、ロベリーは玉座でうとうとと、うっかり眠ってしまっていたらそれを見た兵士達は多忙だった事もあり静かに見守っていたのだが、


「ロベリー王女っ!」


「はうっ」

 
 ビクッとヤクナの声で目を覚ますと、


「どうしました、ヤクナ」


「どうしたもこうしたもないんです、これをっ!」


 渡された手書きの新聞には大きな字で、



――』
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