25日のスローライフ

ヒムネ

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トラブル

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「ったくよ……あっ、いらっしゃい」
「はい……」
「あんた、お客さんが引いてるよ」
「すまないねお嬢ちゃん」
 怒っていたのは店長らしき人、厨房に奥さんらしき人が見えてたのでもしかして夫婦喧嘩なのかもしれないと思い萎縮しながらカウンターの椅子に座った。チラッと店長らしき人を見ると怒ってはいたけど、顔はなんだか悲しそう。
「はい、お水」
「あ、ありがとうございます」
「決まりましたら、お呼びください」
 奥さんらしき人に水を貰って何にしようか目の前に置いてあるメニュー表を見る。笑顔だったから、夫婦喧嘩ではなさそう。
 メニューには味噌󠄀、醤油、豚骨のラーメンが載っていたので私は無難という言葉が合ってると思う醤油ラーメンにした。
「あ、あのっ」
「すまないお嬢ちゃん、おじさん今からちょっと行かなきゃいけなくて」
「え?」
「さっきの大声で出しちまっただろ? それでなんだ」
「はあ……」
「待たせるのも悪いし、今日は帰ってもらって明日きな」
「え……あの、どれくらい掛かりますか?」
「う~ん、それも分からないんだ、だから……」
「そうですか、わかりました」
「ごめんね」
 いえいえと椅子から立ってお店を出ました。でも私はあの店長の悲しい顔が気になって、悪い気がしたけど隠れながら見に行ってみることに。
 店長は私が出たあとすぐ走って行きました。私も見逃さないように様子を見ながら早歩きと走るを交互にやって追いかけていると、意外とこれが疲れるのです。息を切らしながら付いていくと、5分もたたずに店長は一人の男の人に何やら話しかけていました。

「まっ、待てっ、はあっ、はあっ、佐藤」
「あっ、あずま店長……」
「変わるために履歴書を持ってラーメン店うちに来たんだろ。一週間も経ってないのに、辞めるのか?」
「……やっぱりオレには無理ですよ、店長」
「どうしてだ、お前に~……パワハラした覚えもないぞ」
「パワハラなんかとんでもないです。でも、やっぱりオレには、を持ったオレには……」
「佐藤……」
「店長たちが、明るすぎるんすよっ!」
「おいっ、佐藤っ!」
 男の人は走り去って行きました。東店長は寂しそうに下を向いて首を横に振ってました。
「バカヤロ……もう、人生が終わっちまうってのに……」
 東店長の声が聞こえてハッとした私は気がついたら男の人の方へと走ってました。そうなんです、もう今日を除くと後24日しかありません。だから私は人生で悲しい思いをするのも、しそうな人を見るのも我慢ならないんです。

 しかし走っていった男の人を遠くで見ていた私からは距離があって見失ってしまいました。であればと、歩いていた人たち老若男女に話を聞き込みしてその男の人が歩いているのを見つけました。
「あの、すいません」
「へっ、オレ?」
「はい、私は後光一花といいます」
「はあ……で、何のようでしょうか?」
「実は私、先ほどのお話しを聞いてしまいまして」
「えっ!?」
「店長さん、悲しそうでした」
「あ、あんたには関係ないだろ」
「関係はあります……店長さん、お店から走っていったんですよ。すごい思われてるじゃないですか」
「そうか……でもオレには居る資格がないんだよ、どけっ」
 横切ろうとしたので、私もずっと同じ方向に動いて妨げました。
「おいっ、邪魔だよ」
「醤油ラーメン」
「へっ?」
「私さっきお店に入ったのに、店長があなたを追いかけたから醤油ラーメン食べられなかったんです。だからその責任取ってください」

「――ふぅ~」
 お店に帰ってきた東店長、元気を無くした姿を見かねて奥さんが見て気合いを出すように促すも顔を上げられない東店長。

「じゃあ金渡すから……わるいっ!」
「あっ、ちょっとっ、もうっ!」
 お金を出すふりをして素早く走って逃げ出した佐藤さん、私も追いかけようと走りました。ですが、相手は男性なので足が速く見逃してしまう。

 ――ある日オレは、決意をして店に訪れた。
「へい、いらっしゃい」
「あの~……仕事の募集をみたんですが~」
「ああ、家で働きたいってバイトの人ね」
「はい、佐藤さとう 海斗かいとです」
 最初は怖かったけど、この地球最後にオレは人の役に立ちたいと思い張り紙を見て面接に行くことに決めた。
「――なるほど」
「でもオレは……最後くらいは人の役に立ってここで死にたいんです」
 オレの眼をジッと見つめる東店長、オレは思いをちゃんと伝えて歯を食いしばって目をそらさなかった。
「よしっ、合格だ」
「えっ、やったーっ……」
 オレは最後のさいごに、ラーメン屋の面接を受かって働くことになった。これは二週間前の話……。

「東店長……奥さん……どうしてオレは……」
「はぁ……はぁ……見つけました」
「きっ、君はっ!?」
 私は見逃しても道端の人に聞いて何とか河川の下に座ってる佐藤さんを見つけ出したのです。
「……どうしてそこまで……って君っ、血が出てるよ」
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