18 / 53
元気な理由
しおりを挟む
大学生でたまに物忘れをするうっかりものの美代さん、そんな彼女にたまに届けてくれる倉仁さん。二人は次第に顔を覚えていきました。
「う~ん」
「後光さん」
「灯田さん!」
「なにか悩みごとですか?」
倉仁さんはこれからの先の未来が心配で悩んでいると美代さんに話しました。
「とくに成績も良いわけでもなく才能もあるわけでもない自分に……不安になってしまって」
「そんなあ未来なんて、倉仁さんなら大丈夫ですよ~」
「そうですかね~……はあ~」
この時からたまに彼を大学で見かけてはいつも眉尻を下げて不安気な表情をしていました。それでも自分が忘れ物をすると親切に届けてくれる倉仁さん。
「――はい、お財布、盗まれたら大変ですよ」
「ありがとうございます……まだ、悩んでるんですか?」
「えっ、はっ、はあ~……実は~、このまま大学にいても良いのかとかも悩んじゃって」
「未来って」
「え……」
「未来って、明るくするために見るものだと思いませんか」
「灯田さん?」
「未来をしっかり考えることは後光さんの良いところだと思います。でも、その未来を暗くしちゃったら、未来を見るのがもったいないと思います。『人事を尽くして生命を待つ』という言葉があるように、自分でできる限りの努力をしたら最終的な結果は天に任せても良いと思いますよ」
「灯田さん、そこ『人事を尽くして天命を待つ』です」
「すいません、フフッ」
「ハハハッ」
この事がきっかけで美代さんは不安症な倉仁さんが忘れ物を届けてくれては彼にポジティブな言葉送りました。
そんなやり取りが続いてやがて倉仁さんが惚れていきお付き合いすることになっていくのです……。
「――あれ?」
「どうしたのよ一花?」
「お母さんがお父さんに惚れたんじゃ……」
「何言ってるのよ、お母さんにお父さんが惚れたからネガティブだけど仕方なく付き合ってあげたのよん、うふふふっ♡」
お父さんの話しではお母さんが、お母さんの話しではお父さんが惚れたって言ってて私は頭を悩ませました。でもこれは、考えても仕方ないと判断してお父さんのお買い物の帰りを待ちました……。
「ただいま」
「「お父さんっ!」」
「はっ、はいっ!?」
帰ってきたお父さんは私とお母さんが怒ってるように見えたのか驚いた様な顔をしていました。
「――えっ、いやっ、ホラッ、お母さんがうっかり者で忘れ物を届けたオレに惚れて」
「ちーがーうっ、お父さんが不安人間だったから、あたしが慰めてそっちが惚れたんでしょっ!」
話しが互いに違っていてヒートアップしていきました。
「いや~、あの時はお母さんがっ!」
「いーえっ、アレは間違いなくお父さんですっ!」
「ちょっと二人とも落ち着いて……」
「フンッ!」
「はあ~っ」
私が興味本位で馴れ初めを聞いてしまったせいで二人は家の中は険悪な雰囲気。
「お父さんっ、お母さんっ!」
だから私が何とかしなくちゃと思いました。
「ケンカはやめて……二人とも愛してるんでしょ?」
「「えっ!?」」
「だから話を整理しようよ、二人の大切な思い出なんだから」
「一花……」
「ふぅ~……そうね一花の言うとおりだわ、冷静になりましょう」
私の言葉で二人は冷静さを取り戻して話し合いました。そのあと整理された話によると、二人の言うとおりで出会って徐々に相手を意識していて両思いでした。ただ当時の二人は互いに好かれてるという自信がありませんでした。それでも……。
「お、お母さんがお父さんと、デッ、デートしてくれる事を嫌そうにしてなくてこっ、告白したんだよ」
「へ~!」
「たしか~、10回目位のデートかな」
「フッ、フーン、お父さんちゃんと覚えてるんだ」
「う、うん、OKもらって、すごく嬉しかった」
「フッ、フーン」
「あっ、お母さん頬赤いよ」
「そ、そんな昔の話しするからよ」
「どうしてお母さんはお父さんをOKしたんですか?」
アナウンサー気分でお母さんに質問してみました。
「そっ、それは~……」
テーブルに座るお父さんは不安そうにお母さんを見ていました。
「あ、あたしが自分でもうっかりさんを嫌になっていたのに、お父さんは笑顔で届けてくれて、こんな自分でも良いんだって思えて……この人しかいないって……思っ、たの」
「え……」
「フフッ、じゃあ……お父さんは?」
「お、お母さんはいつもポジティブで、一緒にいて安心するから、この人しかいないって思って告白しました」
パチパチパチッ、私はつい両手で拍手しました。相思相愛で何の問題もないし、なんか少しずるいなあって思っちゃいます。それと、なんか嬉しい。
「お母さん、ケンカっぽくなってゴメンね」
「ううん、気にしてないから」
「めでたしめでたし……あっ、お母さん」
「ん、今度は何よ?」
こうなったらこの場で聞くしかありません。
「お母さんがうっかりさんだったのは分かったけど、どうして今は~……なんていうか元気お母さんなの?」
「フフッ、決まってるじゃない、一花が産まれたからよ」
「へ?」
「一花が生まれてきてくれたから、お母さんは元気お母さんになれたの」
「そういうことだよ一花」
なんか直接言われると恥ずかしいけど、今、とても幸せだと思いました。心が二人に抱擁されている様なそんな感じ。
「お父さんお母さん、産んでくれてありがとう」
残りは、18日……。
「う~ん」
「後光さん」
「灯田さん!」
「なにか悩みごとですか?」
倉仁さんはこれからの先の未来が心配で悩んでいると美代さんに話しました。
「とくに成績も良いわけでもなく才能もあるわけでもない自分に……不安になってしまって」
「そんなあ未来なんて、倉仁さんなら大丈夫ですよ~」
「そうですかね~……はあ~」
この時からたまに彼を大学で見かけてはいつも眉尻を下げて不安気な表情をしていました。それでも自分が忘れ物をすると親切に届けてくれる倉仁さん。
「――はい、お財布、盗まれたら大変ですよ」
「ありがとうございます……まだ、悩んでるんですか?」
「えっ、はっ、はあ~……実は~、このまま大学にいても良いのかとかも悩んじゃって」
「未来って」
「え……」
「未来って、明るくするために見るものだと思いませんか」
「灯田さん?」
「未来をしっかり考えることは後光さんの良いところだと思います。でも、その未来を暗くしちゃったら、未来を見るのがもったいないと思います。『人事を尽くして生命を待つ』という言葉があるように、自分でできる限りの努力をしたら最終的な結果は天に任せても良いと思いますよ」
「灯田さん、そこ『人事を尽くして天命を待つ』です」
「すいません、フフッ」
「ハハハッ」
この事がきっかけで美代さんは不安症な倉仁さんが忘れ物を届けてくれては彼にポジティブな言葉送りました。
そんなやり取りが続いてやがて倉仁さんが惚れていきお付き合いすることになっていくのです……。
「――あれ?」
「どうしたのよ一花?」
「お母さんがお父さんに惚れたんじゃ……」
「何言ってるのよ、お母さんにお父さんが惚れたからネガティブだけど仕方なく付き合ってあげたのよん、うふふふっ♡」
お父さんの話しではお母さんが、お母さんの話しではお父さんが惚れたって言ってて私は頭を悩ませました。でもこれは、考えても仕方ないと判断してお父さんのお買い物の帰りを待ちました……。
「ただいま」
「「お父さんっ!」」
「はっ、はいっ!?」
帰ってきたお父さんは私とお母さんが怒ってるように見えたのか驚いた様な顔をしていました。
「――えっ、いやっ、ホラッ、お母さんがうっかり者で忘れ物を届けたオレに惚れて」
「ちーがーうっ、お父さんが不安人間だったから、あたしが慰めてそっちが惚れたんでしょっ!」
話しが互いに違っていてヒートアップしていきました。
「いや~、あの時はお母さんがっ!」
「いーえっ、アレは間違いなくお父さんですっ!」
「ちょっと二人とも落ち着いて……」
「フンッ!」
「はあ~っ」
私が興味本位で馴れ初めを聞いてしまったせいで二人は家の中は険悪な雰囲気。
「お父さんっ、お母さんっ!」
だから私が何とかしなくちゃと思いました。
「ケンカはやめて……二人とも愛してるんでしょ?」
「「えっ!?」」
「だから話を整理しようよ、二人の大切な思い出なんだから」
「一花……」
「ふぅ~……そうね一花の言うとおりだわ、冷静になりましょう」
私の言葉で二人は冷静さを取り戻して話し合いました。そのあと整理された話によると、二人の言うとおりで出会って徐々に相手を意識していて両思いでした。ただ当時の二人は互いに好かれてるという自信がありませんでした。それでも……。
「お、お母さんがお父さんと、デッ、デートしてくれる事を嫌そうにしてなくてこっ、告白したんだよ」
「へ~!」
「たしか~、10回目位のデートかな」
「フッ、フーン、お父さんちゃんと覚えてるんだ」
「う、うん、OKもらって、すごく嬉しかった」
「フッ、フーン」
「あっ、お母さん頬赤いよ」
「そ、そんな昔の話しするからよ」
「どうしてお母さんはお父さんをOKしたんですか?」
アナウンサー気分でお母さんに質問してみました。
「そっ、それは~……」
テーブルに座るお父さんは不安そうにお母さんを見ていました。
「あ、あたしが自分でもうっかりさんを嫌になっていたのに、お父さんは笑顔で届けてくれて、こんな自分でも良いんだって思えて……この人しかいないって……思っ、たの」
「え……」
「フフッ、じゃあ……お父さんは?」
「お、お母さんはいつもポジティブで、一緒にいて安心するから、この人しかいないって思って告白しました」
パチパチパチッ、私はつい両手で拍手しました。相思相愛で何の問題もないし、なんか少しずるいなあって思っちゃいます。それと、なんか嬉しい。
「お母さん、ケンカっぽくなってゴメンね」
「ううん、気にしてないから」
「めでたしめでたし……あっ、お母さん」
「ん、今度は何よ?」
こうなったらこの場で聞くしかありません。
「お母さんがうっかりさんだったのは分かったけど、どうして今は~……なんていうか元気お母さんなの?」
「フフッ、決まってるじゃない、一花が産まれたからよ」
「へ?」
「一花が生まれてきてくれたから、お母さんは元気お母さんになれたの」
「そういうことだよ一花」
なんか直接言われると恥ずかしいけど、今、とても幸せだと思いました。心が二人に抱擁されている様なそんな感じ。
「お父さんお母さん、産んでくれてありがとう」
残りは、18日……。
0
あなたにおすすめの小説
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
火輪の花嫁 ~男装姫は孤高の王の夢をみる~
秦朱音|はたあかね
キャラ文芸
王を中心に五家が支配する、綺羅ノ国。
五家に覡(かんなぎ)として仕える十六夜家の娘、久遠(くおん)は、幼い頃から男として育てられてきた。
都では陽を司る日紫喜家の王が崩御し、素行の悪さで有名な新王・燦(さん)が即位する。燦の后選びに戦々恐々とする五家だったが、燦は十六夜家の才である「夢見」を聞いて后を選ぶと言い始めた。そして、その夢見を行う覡に、燦は男装した久遠を指名する。
見習いの僕がこの国の后を選ぶなんて、荷が重すぎる――!
久遠の苦悩を知ってか知らずか、燦は強引に久遠を寝室に呼んで夢見を命じる。しかし、初めて出会ったはずの久遠と燦の夢には、とある共通点があって――?
謎に包まれた過去を持ち身分を隠す男装姫と、孤独な王の恋と因縁を描く、和風王宮ファンタジー。
※カクヨムにも先行で投稿しています
多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】
23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも!
そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。
お願いですから、私に構わないで下さい!
※ 他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる